機動戦士ガンダムRSD 第46話 贖罪
ユート・シティーにある最高裁判所には地球軍関係者とマスコミが集まっており各々リラックスしていた。
そこに被告人であるアツシ・サオトメが入廷し所定の場所に座った。
そして裁判長と判事計11名が入廷し所定の場所に座った。
全員裁判長と判事が座るまで立っており号令がかかると皆座った。
「ここにコズミック軍事裁判を開廷し提示される問題を聴取する」
裁判長が裁判の開廷を宣言した。
検察側は、国際検察団のメンバーを紹介した。
なお地球連合側がスタンク・オノダ首席検察官を始めいち早く国際検察団を編制し万全な追訴準備を進めて裁判に臨んだのに対しコロニー連邦側は弁護団編成に手間取り後半3日目という有様だった。
しかしこれは、サオトメを死罪にさせたいブルーコスモスによる妨害行為ともささやかれている。
「起立」
裁判長の言葉で皆が起立した。
これで午前中の裁判は、終了し皆は出廷した。
同日午後には、皆が再び入廷した。
「被告人による大量破壊兵器による地球直接攻撃により多くの人命が失われたばかりか地球上の環境にも多少の影響を与えたのは、確かである。
これは、人類史上類を見ない大罪であり死罪ですら生ぬるいと言わざるを得ません」
法廷執行官であるミツエ・デュオデクテット大尉が起訴状を読んだ。
後半第1目が終了し皆が各々寮に戻っていった。
2日目皆が入廷した。
「ゼル裁判長は、この裁判をコロニー側・地球側に対する公平な軍事裁判であることを宣言いたしました。
検察側がサオトメ被告人の罪を著しく批判しておりますがそれは、コロニーに核を撃った地球軍側にも同様のことが言えるのではないでしょうか?」
カンチャル弁護士は、地球軍側による核攻撃も同様ではないかと指摘した。
しかし地球軍側は、撃った張本人であるウィリアム・サザーランド大佐やブルーコスモスの盟主でもありユーラシア連邦ムルタ・アズラエル前大統領が死亡していることを説明し彼らの起訴はないと説明した。
「ならばその責任は、現在大西洋連邦の臨時大統領であるラクス・クラインが受けるべきである。
それがかなわないのであればこの裁判は、速やかに閉廷すべきである」
2日目は、サオトメの罪状に対する弁論が繰り広げられたがカンチャル弁護士はまだ一人前の弁護士となって日が浅いためその弁論には感情論が含まれていた。
「それは、あなたの感情論です」
ゼル裁判長は、それを見抜いていた。
「裁判長、8国が本法廷に集まり告発の席にいます。
彼らは、秩序ある国家の代表です。
これらの国は、被告人の行為が悪であるとして代表者を派遣しているのです。
この状況下で被告人を裁かないという選択肢があるでしょうか?」
スタンク首席検察官がこの裁判の正当性を訴えた。
裁判長たちは、スタンク首席検察官の表現にやや苦笑いした。
「弁護人、ただいまの誇大な表現はこの際適当でしょうか?」
ゼル裁判長がカンチャル弁護士に表現の適当さを質問した。
「裁判長閣下のご注意に対する私の答えは、検察官側の言動が世界に向けられたものと理解いたしこの動機が全く問題にされないことは承知できません」
カンチャル弁護士は、発言内容が適当であるがその中身を議論されないことが問題であると説明した。
「西暦時代から戦争に関し国際法の法規が存在していることは、極東国際軍事裁判でも示された証拠であります。
戦争開始、通告、戦闘方法、終結を決める法規も戦争自体が非合法ならこの裁判も全く無意味です」
大西洋連邦側のサオトメの弁護士であるブルーズ・クラエスが極東国際軍事裁判を例に挙げて裁判の無意味さを訴えた。
この後ブルーズ弁護士は、血のバレンタインにも触れたがコロニー側・地球側双方にも記録は残っていない。
カンチャル弁護士は、再度弁護を行おうとしたが止められた。
「討論は、本件をもって終結いたします。
我々の決議は、後日に留保します。
文書による動議と被告の名前が明朝9時30分に提出されます」
ゼル裁判長が閉廷を宣言すると皆が立ち上がりまず裁判長と判事たちが退廷した。
明朝裁判が開廷された。
この日は、証人尋問としてタカノリ・サイジョウ元帥が入廷した。
「あなたは、サオトメの才能が疎ましく思い始めたため大量破壊兵器の存在を知りながらわざとそれを放置したのでは?」
カンチャル弁護士は、サイジョウ元帥が故意にサオトメをはめたと疑った。
「そんなことは、ありません。
もし知っていれば私は、今サオトメが立っている場所に立つ覚悟がありました」
サイジョウ元帥は、あくまで自分の無能さでサオトメを窮地に追いやったと感じていた。
「あなたは、サオトメが裁判を脱走しかねないか心配していますか?」
カンチャル弁護士は、サオトメの脱走の可能性を尋ねた。
「とんでもないことです。
サオトメは、現代によみがえったサダウル・オットーであると断言できます。
彼は、コロニー軍に身を置き地球軍兵士と戦いましたがそれは守るべき女性を守るためであってブルーコスモスだからではありません。
コロニー軍は、地球連合との戦争回避が不可能になってきたときのために孤児を少年兵として育てるべく引き取りました。
その一人がサオトメなのです。
すなわちサオトメが多くのコーディネーターの命を殺めなければならなくなった状況を作り出したのは、コロニー・地球双方だったのです」
サイジョウ元帥は、サオトメの過去を話した。
この証言の裏付けのため軍政系に努めていた軍人たちも証人喚問を受けた。
ここから検察と弁護人による証人喚問バトルが勃発した。
双方とも証人にいかに自分たちに有利な証言をさせるかの駆け引きが行われた。
「パナマ攻略戦後、コロニー軍による地球軍兵士の虐殺が行われました。
これを指導したのは、被告ではありませんが傍観していました。
止めるべきだったのでは?」
検察側は、パナマ大量虐殺を傍観した罪も取り上げた。
「被告人によると虐殺を止めなかった理由は、戦争による残虐性をその目に焼き付け二度と愚かなことが起きないよう次の世代に語り継がせるためとのことです」
カンチャル弁護士が答えた。
判事たちが入廷してきた。
それを皆は、起立し迎え入れた。
この日は、サオトメが証人台に立った。
「被告は、神に誓い真実のみを答えることを誓いますか?」
質問者がサオトメに質問した。
「誓います」
サオトメは、答えると着席した。
「あなたは、地球に大量破壊兵器を撃ち込むという暴挙を行いましたが地球への環境悪化などへの配慮はなかったんですか?」
検察側がサオトメに質問した。
「我々は、宇宙という人間が絶対に適応できない過酷な環境から隔離されたコロニーの中で暮らしています。
あなたたちは、そこに核ミサイルを撃ちました。
命中した隔壁近くにいた人々は、核の爆発力で即死しましたが免れた人々は状況を把握できないまま空いた穴から外に放り出されたでしょう。
そこは、酸素がなく陽が当たれば120°で日陰はマイナス150°の環境なのです。
そんなところに好いた女性の家族がいるとわかっていながら見殺しにできるでしょうか?
私は、女性の家族と地球の環境を天秤に乗せ女性の家族を取りました」
そこに被告人であるアツシ・サオトメが入廷し所定の場所に座った。
そして裁判長と判事計11名が入廷し所定の場所に座った。
全員裁判長と判事が座るまで立っており号令がかかると皆座った。
「ここにコズミック軍事裁判を開廷し提示される問題を聴取する」
裁判長が裁判の開廷を宣言した。
検察側は、国際検察団のメンバーを紹介した。
なお地球連合側がスタンク・オノダ首席検察官を始めいち早く国際検察団を編制し万全な追訴準備を進めて裁判に臨んだのに対しコロニー連邦側は弁護団編成に手間取り後半3日目という有様だった。
しかしこれは、サオトメを死罪にさせたいブルーコスモスによる妨害行為ともささやかれている。
「起立」
裁判長の言葉で皆が起立した。
これで午前中の裁判は、終了し皆は出廷した。
同日午後には、皆が再び入廷した。
「被告人による大量破壊兵器による地球直接攻撃により多くの人命が失われたばかりか地球上の環境にも多少の影響を与えたのは、確かである。
これは、人類史上類を見ない大罪であり死罪ですら生ぬるいと言わざるを得ません」
法廷執行官であるミツエ・デュオデクテット大尉が起訴状を読んだ。
後半第1目が終了し皆が各々寮に戻っていった。
2日目皆が入廷した。
「ゼル裁判長は、この裁判をコロニー側・地球側に対する公平な軍事裁判であることを宣言いたしました。
検察側がサオトメ被告人の罪を著しく批判しておりますがそれは、コロニーに核を撃った地球軍側にも同様のことが言えるのではないでしょうか?」
カンチャル弁護士は、地球軍側による核攻撃も同様ではないかと指摘した。
しかし地球軍側は、撃った張本人であるウィリアム・サザーランド大佐やブルーコスモスの盟主でもありユーラシア連邦ムルタ・アズラエル前大統領が死亡していることを説明し彼らの起訴はないと説明した。
「ならばその責任は、現在大西洋連邦の臨時大統領であるラクス・クラインが受けるべきである。
それがかなわないのであればこの裁判は、速やかに閉廷すべきである」
2日目は、サオトメの罪状に対する弁論が繰り広げられたがカンチャル弁護士はまだ一人前の弁護士となって日が浅いためその弁論には感情論が含まれていた。
「それは、あなたの感情論です」
ゼル裁判長は、それを見抜いていた。
「裁判長、8国が本法廷に集まり告発の席にいます。
彼らは、秩序ある国家の代表です。
これらの国は、被告人の行為が悪であるとして代表者を派遣しているのです。
この状況下で被告人を裁かないという選択肢があるでしょうか?」
スタンク首席検察官がこの裁判の正当性を訴えた。
裁判長たちは、スタンク首席検察官の表現にやや苦笑いした。
「弁護人、ただいまの誇大な表現はこの際適当でしょうか?」
ゼル裁判長がカンチャル弁護士に表現の適当さを質問した。
「裁判長閣下のご注意に対する私の答えは、検察官側の言動が世界に向けられたものと理解いたしこの動機が全く問題にされないことは承知できません」
カンチャル弁護士は、発言内容が適当であるがその中身を議論されないことが問題であると説明した。
「西暦時代から戦争に関し国際法の法規が存在していることは、極東国際軍事裁判でも示された証拠であります。
戦争開始、通告、戦闘方法、終結を決める法規も戦争自体が非合法ならこの裁判も全く無意味です」
大西洋連邦側のサオトメの弁護士であるブルーズ・クラエスが極東国際軍事裁判を例に挙げて裁判の無意味さを訴えた。
この後ブルーズ弁護士は、血のバレンタインにも触れたがコロニー側・地球側双方にも記録は残っていない。
カンチャル弁護士は、再度弁護を行おうとしたが止められた。
「討論は、本件をもって終結いたします。
我々の決議は、後日に留保します。
文書による動議と被告の名前が明朝9時30分に提出されます」
ゼル裁判長が閉廷を宣言すると皆が立ち上がりまず裁判長と判事たちが退廷した。
明朝裁判が開廷された。
この日は、証人尋問としてタカノリ・サイジョウ元帥が入廷した。
「あなたは、サオトメの才能が疎ましく思い始めたため大量破壊兵器の存在を知りながらわざとそれを放置したのでは?」
カンチャル弁護士は、サイジョウ元帥が故意にサオトメをはめたと疑った。
「そんなことは、ありません。
もし知っていれば私は、今サオトメが立っている場所に立つ覚悟がありました」
サイジョウ元帥は、あくまで自分の無能さでサオトメを窮地に追いやったと感じていた。
「あなたは、サオトメが裁判を脱走しかねないか心配していますか?」
カンチャル弁護士は、サオトメの脱走の可能性を尋ねた。
「とんでもないことです。
サオトメは、現代によみがえったサダウル・オットーであると断言できます。
彼は、コロニー軍に身を置き地球軍兵士と戦いましたがそれは守るべき女性を守るためであってブルーコスモスだからではありません。
コロニー軍は、地球連合との戦争回避が不可能になってきたときのために孤児を少年兵として育てるべく引き取りました。
その一人がサオトメなのです。
すなわちサオトメが多くのコーディネーターの命を殺めなければならなくなった状況を作り出したのは、コロニー・地球双方だったのです」
サイジョウ元帥は、サオトメの過去を話した。
この証言の裏付けのため軍政系に努めていた軍人たちも証人喚問を受けた。
ここから検察と弁護人による証人喚問バトルが勃発した。
双方とも証人にいかに自分たちに有利な証言をさせるかの駆け引きが行われた。
「パナマ攻略戦後、コロニー軍による地球軍兵士の虐殺が行われました。
これを指導したのは、被告ではありませんが傍観していました。
止めるべきだったのでは?」
検察側は、パナマ大量虐殺を傍観した罪も取り上げた。
「被告人によると虐殺を止めなかった理由は、戦争による残虐性をその目に焼き付け二度と愚かなことが起きないよう次の世代に語り継がせるためとのことです」
カンチャル弁護士が答えた。
判事たちが入廷してきた。
それを皆は、起立し迎え入れた。
この日は、サオトメが証人台に立った。
「被告は、神に誓い真実のみを答えることを誓いますか?」
質問者がサオトメに質問した。
「誓います」
サオトメは、答えると着席した。
「あなたは、地球に大量破壊兵器を撃ち込むという暴挙を行いましたが地球への環境悪化などへの配慮はなかったんですか?」
検察側がサオトメに質問した。
「我々は、宇宙という人間が絶対に適応できない過酷な環境から隔離されたコロニーの中で暮らしています。
あなたたちは、そこに核ミサイルを撃ちました。
命中した隔壁近くにいた人々は、核の爆発力で即死しましたが免れた人々は状況を把握できないまま空いた穴から外に放り出されたでしょう。
そこは、酸素がなく陽が当たれば120°で日陰はマイナス150°の環境なのです。
そんなところに好いた女性の家族がいるとわかっていながら見殺しにできるでしょうか?
私は、女性の家族と地球の環境を天秤に乗せ女性の家族を取りました」
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第46話 贖罪 作家名:久世秀一