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機動戦士ガンダムRSD 第46話 贖罪

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 サオトメは、地球にコロニーレーザーを撃った理由を答えた。
 最終弁論が行われた。
サオトメは、この世で最も愛する女性とその家族を命に代えてでも守った戦士であると弁論した。
「確かに彼は、愛する女性とその家族を命に代えてでも守った戦士かもしれない。
しかし戦士である前に1人の人間である。
人間である以上罪を犯せば罰せられなければならない」
 検察側の最終論告でサムターン検察官は、サオトメの行動に一定の理解はあったがだからと言って無罪にする気はなかった。
 コズミック・イラ74年すべての審理が終わった。
「アツシ・サオトメ被告を死刑とする」
 サオトメは、死刑判決が言い渡された。
サオトメは、黙ったままだった。

                                   ※

 サオトメは、最後に誰にも会うことを許されずただ1人サイジョウ元帥とともに地球軍MPたちとともにシャトルで地球に向かっていた。
サオトメが銃殺される広場には、すでに観衆が暴挙になる寸前の大興奮に包まれサオトメに暴言が吐かれていた。
広場中央には、柱が立っておりサオトメはそこで目隠しをされ腕を柱の後ろに回され乱暴に縛られた。
男たちがサオトメに配慮する様子は、なかった。
「最後にいたことは、あるか?」
 それは、サイジョウ元帥の最後の優しさであった。
「いずれコーディネーターとナチュラルがいがみ合うことなくともに手を取り合えると信じている。
それが実現できるなら俺は、何度でも銃殺されても構わない」
 それは、サオトメの切なる願いであった。
「構え」
 サイジョウ元帥の号令とともに士官たちが自動小銃を構えた。
その音は、サオトメにも聞こえた。
「撃て」
 直後銃声が鳴り響きサオトメの意識は、暗転した。
こうしてサオトメの19年の人生劇に鮮血の幕が降ろされた。

                                   ※

 η艦隊の生き残りとα艦所属の兵士たちは、サオトメの死体を持ち帰ってくることを事前に聞いていたため宇宙放逐所でサイジョウ元帥を待っていた。
 サイジョウ元帥が到着したがサオトメの死体は、見当たらずなぜか黒いごみ袋を持っていた。
「サオトメは、どこですか?」
 ブライアン艦長がサイジョウ元帥に質問したがサイジョウ元帥は、黙って黒いごみ袋を差し出した。
シグマン少佐は、恐る恐る黒いごみ袋に近づき袋を開け中身を見た。
瞬間目を見開き部屋の隅に走ると激しく嘔吐した。
食べた内容物をすべて吐き出すと今度は、胃液を吐き出した。
鼻腔に胃液が侵入し涙を浮かべながら嘔吐し続けた。
その様子に女性陣は、完全にひいていた。
「処刑が終わった後観衆が暴徒と化し竹やりや棒でサオトメの死体を何度も突いたんだ。
そのせいで人間だった痕跡も残さない肉片になってしまった」
 サイジョウ元帥は、シグマン少佐の嘔吐が収まってからこうなった経緯を話した。
するとアイリス曹長がよろよろと立ち上がり部屋を出ようとしていた。
「どこへ行くんだ?」
 サイジョウ元帥は、サオトメの肉片が入ったごみ袋を置くとアイリス曹長の腕をつかんだ。
「あいつら皆殺さなくちゃ。
私のサオトメをこんなにしたんですもの」
 アイリス曹長の声は、心がなく普段の彼女を知っているη艦隊所属の人々は戦慄した。
「抑えろ。
あいつは、最期に『いずれコーディネーターとナチュラルがいがみ合うことなくともに手を取り合える』と言ったんだ。
あいつに一番愛された幸福な君が憎悪に駆られてどうする?」
 サイジョウ元帥の言葉にアイリス曹長は、うつむき泣いているのが分かった。
「じゃあどうすればいいの?
この憎悪は、いったいどうすればいいというの?」
 アイリス曹長は、泣き叫びながらサイジョウ元帥に質問した。
下士官が軍のトップに使う言葉ではなかったがそんなことをただす気は、誰もなかった。
「俺を殴れ。
俺を殴って紛らわせ」
 サイジョウ元帥は、そういうと目をつぶり棒立ちになった。
「アイリス」
 ステファニー軍曹が止めようとしたがブライアン艦長が制止した。
アイリス曹長は、泣きながらこぶしを握り腕を後ろに回すと思いっきりサイジョウ元帥の左頬を殴った。
華奢なアイリス曹長の体から想像できないほどサイジョウ元帥は、殴り飛ばされた。
アイリス曹長は、その場で泣き崩れた。
サイジョウ元帥も泣き始めた。
それは、決してアイリス曹長に殴られた頬が痛いわけではなかった。
自分もサオトメを殺したコーディネーターが憎かった。
しかし本当に憎かったのは、サオトメの言葉に耳を貸さなかった自分自身だった。
もしあの時サオトメの言葉をのみ1個師団以上の戦力を投入していればと思うとやりきれなかった。
しかしすべては、過去。
過去を変えることは、できない。
今サイジョウ元帥たちができるのは、サオトメの死を悲しみ泣くくらいだった。
それで死者がよみがえるわけでは、ないのだが。