二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

長き戦いの果てに…(改訂版)【8】

INDEX|5ページ/5ページ|

前のページ
 

だが自分に取っては大きな転機だった。ローデリヒが言っていた「誰にでも一度は訪れる」とはそういう意味だったのだろうか?
「何がおかしい!」
いきなり兄の怒声が飛んだ。どうやらうっかり口元が緩んだのを見られたらしい。
「いや何でもないよ、兄さん、今回の件については改めて謝りたい。本当にすまなかった、この通りだ」
そう言って、改めて深々と頭を垂れる。
「チッ、何だよ今更……分かりゃいいんだよ、分かりゃあ。いいから頭を上げろ!この話はこれっ切りだ」
顔を上げると兄は一瞬照れたように目を逸らしたが、すぐに真顔でルートヴィッヒを見据えた。
「だがな、忘れるなよ、ヴェスト。いいか、今度もし何かあったら一番に話すのは俺だからな」
「分かってる、兄さん」
今ここに、こうしていられるのは兄さんのおかげだ。兄さんがいなければ、俺は大切なものを失うところだった。
ギルベルトだけではない、今は亡き兄たちにも、祖父ゲルマンにも、命がけで彼に身体を貸したヨハンにも、ローデリヒにも、フェリシアーノにも、俺の為に命を落とした部下たちにも今は感謝している。
俺はライヒ──国家──ゲルマンの民をのせて時代を渡る船だ。
消えた兄さんたちの分も、多くの民をこの一身に背負って生きていかなければならない。だがそれは決して重荷ではない、俺を生かしてくれる力だ。ようやくそのことが分かったと兄に伝えると、
「分かりゃいいんだよ」
良い顔しやがって、ギルベルトはそう言って笑った。