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みとなんこ@紺
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ロストマン

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キミがいなくなっただけのこの世界で、ボクたちは日常を、生活を繰り返してる。













気付いたのはほとんど偶然だった。


何となく携帯の写真を見てた時に、それに気付いた。
いくつか、自分では撮った記憶のない写真が混ざっていることに。


最初に気付いたのは、…何処だろう、港かな。夕方の水面の写真だった。
赤に染まった景色の中、さざめく水面が夕陽の光を金色に反射して、ひどくキレイで。
だけどきっとボクはこんなに綺麗な景色を見ても、キレイだなと思うだけで、写真に撮ろうって、たぶん思いつかない。

日付を確かめて、その頃はいったい何をしていたんだろうかと思い返すと、・・・最初の頃、カメラ付き携帯が珍しくて色々なものを被写体に遊んでいた頃のものだった。

他にも何枚か、知らない写真があった。
誰かに向かって笑いかけている、自分の写真も。

・・・そうだ。
部屋で遊んでいた時だ。
キミも何か撮らない? って聞いた時、もう一人のボクは、鏡に映したボクを。



『何か・・・ヘンな感じだね。ちゃんと写ってる?』
う、ちょっと腕がプルプルする。ちゃんと鏡の中の自分が写るようにする、その角度が難しい。
『もう少し右に傾けて・・・そのまま。いいぜ相棒』
『えー、何処見たらいいかわかんないよ~』
『じゃ、こっちだ。オレが見えるだろ』
鏡越しに目が合った、もう一人のボクが笑う。
何か変な感じ。初めて見る視点に何だかくらくらする。
『・・・鏡に映った自分を写真に撮ったりって…やらないよね、普通』
『これは相棒が撮ってるんじゃないぜ。オレが撮ってるんだ。…いいか?』
『わわ、待って!』
『こういう時なんて言ったかな。チーズ?』
『あはは、真面目な顔で言わないでよ』

 ピロリロリン♪

『え、』
『あ、』

『お、押しちゃった・・・』
『・・・でも結構良く撮れてるんじゃないか?』
『そーかなー・・・』
笑った拍子にボタンを押してしまったお陰で、結局その写真はちょっと斜めになってしまった。


だけど、ボクはすごく普通に笑ってた。
写真になるとちょっとしてしまうよそゆきの顔とかじゃなく、すごく楽しそうだった。
この先には彼が、いる。

・・・そういえばその時、二人で決めたんだ。
何か見せたいものとかあったら写真を撮って見せ合いっこしよう、って。
最初のうちは結構面白がって色々撮ったけど、そのうちあんまり使わなくなったんだっけ。

でも、もう一人のボクはこうして少しづつ、目に留まったものを撮ったりしてたんだ。
それとも、最初の写真に見付けたあの写真とか、ボクに見せてくれるつもりだったのかもしれない。
ボクは一枚づつ、それを、彼が見ていた景色を見ていった。


作品名:ロストマン 作家名:みとなんこ@紺