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再見 五 その一

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「もう、、行くのか?。」

 あれ程騒がしく、藺晨の第一印象は最悪で、『さっさと、山を降りてくれれば良い、父の友の息子でなければ、とうに追い出して、清々できたのに、、』と思っていた連中。
 長蘇は、『治療が終われば琅琊閣を去る』とは言っていたが、いざ本当に去る事になると、藺晨の心の中は、寂しさで一杯になっていた。

「ああ。世話になった。」

 腹の立つことに、清々としたような、爽やかな微笑みを湛(たた)える長蘇。
 藺晨には、長蘇の笑みが、余計に腹立たしかった。
《、、、、しかも飛流を連れて行く、だと???。長蘇はこの私を、寂しさで『病』にさせる気か!、、。
 この連中の喧騒に、何だか、慣れてしまった自分が憎い。》
 飛流を連れていくのだけは、何がなんでも阻止したい。
 飛流がここに残れば、長蘇がこの琅琊閣に、ふらっと戻って来る気がした。





作品名:再見 五 その一 作家名:古槍ノ標