D.C.IIIwith4.W.D.
「だから清隆、力を貸して。私と一緒に、ユーリを助け出しましょう」
「はい!」
威勢のいい返事をする清隆。
その声を聞いて安心した私は、魔法陣の描かれた羊皮紙を空中に浮かべ、そこに手を翳した。それに倣う形で清隆も手を翳す。
「魔力を練り上げることに集中して。私の魔力の流れに合わせて」
大きく深呼吸。
翳す掌に魔力を溜めていくイメージ。
私の掌に集まる魔力に、清隆も同調していく。
二人の魔力が混ざり合い、一つの大きな力になっていく。
「そう、その感じよ。そのまま――いくわよ!」
私と清隆、二人分の魔力を完全に放出しきった時。私はその魔力を魔法陣に一気に流し込んだ。
あとは、この魔法陣がうまく機能するだけ。
大丈夫。<失った魔術師>が、縁の魔法使いが作り出した魔術式なんだもの。絶対にうまくいく!
赤く刻印されているはずの魔法陣が青白く光った時。
そこに裂け目が現れていた。
「ユーリ!!」
そこに見える一人の青年の姿。
私は彼の名を叫んでいた。
◆ ◆ ◆
「ユーリ!!」
声が聞こえた。ここにはいないはずの友人の声だ。
俺は声のする方向を見た。
そこには元の世界と繋がる裂け目があった。その先に、俺の名を呼んだ少女とその想い人の姿があった。
俺は一目散に駆け出した。駆け出し、駆け抜け、俺は裂け目を潜り抜けた。
元の世界に辿り着いた瞬間、その裂け目は消えた。
やっぱり、二人の力を合わせてぎりぎりだったか。
ほっと一息するもつかの間。首を上げると、文字通り鬼の形相で仁王立ちする友人の姿があった。
ああ、これは思いっきり謝らないとな……。
作品名:D.C.IIIwith4.W.D. 作家名:無未河 大智/TTjr