プレゼントは一生ものの逸品です
「お前が我慢強いのも、我儘を言わないのも、偉いと思っている。尊敬すらしてる。だがそれは、誰にでも見せる顔だろう? ほかの誰にも見せないお前の顔を、俺には見せろ」
そうしたら、もっと愛してやるから。
誘惑の声が、耳の奥に注ぎ込まれて、侵されていく。頭も、体も、心も。
唇がわなないた。義勇の腕に縋りついていなければ、体が崩れ落ちていきそうだ。
「……一緒に、いて、ください」
「うん」
「一人に、しないで」
「うん」
「本当は、いっぱい料理作って、ケーキも食べる予定だったんです」
「お前が元気になったら、一緒に食べよう」
「プレゼントも、買いました。なのに、箱、踏みつぶしちゃって……」
「青い包みか? 中身が壊れてなければ問題ないだろう」
「完璧に、お祝いしたかったんです……っ。だって、恋人になって初めての義勇さんの誕生日だから!」
「嬉しいよ」
「ほ、本当は、いつか義勇さんに捨てられるんじゃないかって、ずっと、思ってて」
「……あぁ」
「だから、あの、だから、特別な日の想い出を、全部作っておきたくてっ。嫌われて、す、捨てられても、俺の誕生日や、義勇さんの誕生日に、ちゃんと全部、想い出せるように、したくてっ」
「捨てないし、嫌わないし、想い出だけになんてさせるつもりはない。いらん努力はやめて、どうせするなら、俺に死ぬほど愛されても逃げない努力をしろ」
「……全部、義勇さんの全部、俺に、ください。ほかの人には、ひとかけらだってあげないでっ。全部、俺の物になって」
やっと言えたな偉いぞと、先生然と言った言葉とは裏腹に、義勇の微笑みは悪魔のそれで。途轍もなく優しくて、途方もなく綺麗だった。
作品名:プレゼントは一生ものの逸品です 作家名:オバ/OBA