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お膳立ての采配

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 首をすくめて上目遣いにうかがってくる炭治郎の手から、隊服を奪い取り放り投げる。
「あっ! なにするんですか、皺になっちゃうじゃないですか!」
「うるさいっ!」
 プンっと頬をふくらませて睨みつけてくるのに怒鳴りかえし、義勇は、有無を言わせず炭治郎を抱きすくめた。遠慮も配慮もあったものじゃない。悠長なことをしていれば、きっとまた邪魔が入る。
 焦りと苛立ちに背を押され、噛みつくようにふっくらとした唇を食んだ。
 柔らかい。感じた瞬間スッと頭が冷えて、ついで溺れそうなほどの陶酔感に見舞われた。
 名残惜しく軽く吸いつき、チュッと小さな音を立ててゆっくりと離れれば、炭治郎は腕のなかでカチンと固まっている。顔だけでなく耳もうなじも余すところなく真っ赤だ。

 まったくもって、かわいすぎる。どうしてくれようか。

 ふつふつとわきあがる幸福感に、義勇が微笑みかけたとき、炭治郎の声が薄暗くなった部屋に響き渡った。
「や、やり直しを要求します! こういうことはもっとこう、甘い雰囲気でするものだと思うのですがっ!」
「……おまえがそれを言うか」
 ことごとく失敗したお膳立ての敗因を探れば、何割かはおまえの空気の読めなさだろうが。
 気抜けした声で言った義勇が、やり直したかは、神のみぞ知る。
作品名:お膳立ての采配 作家名:オバ/OBA