午後4時のパンオショコラ
一度だけ。一度だけ行ってみようか。パンオショコラと、しばらく食べる分のロールパンなどを買ってくるだけ。もしも炭治郎の態度が素っ気なくなっていたなら、それで良し。執筆場所を探すという悩みは解決しないが、気に入りのパンはこれからも食べられる。
「……行くか」
自分で自分の背を押すように呟いて、義勇は溜息とともに立ち上がった。
もしもあの鉢植えがあのときのままなことを考えて、一応とノートパソコンを持って家を出る。我ながらいじましいなと思いながら、義勇は愛車へと足を進めた。
作品名:午後4時のパンオショコラ 作家名:オバ/OBA