二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Hello!My family 第1章

INDEX|28ページ/28ページ|

前のページ
 

「……お兄ちゃんも一緒は、やっぱりダメ?」
 不安げにポツリと言って、禰豆子がまた義勇に縋りつく。まろい桃色の瞳で見上げられた義勇は、どう答えたものかと言葉に詰まった。
 炭治郎は休みなのだからと言い聞かせたときには、納得した様子だったのに。だがこれは、うれしい変化だと思う気持ちもある。
 禰豆子はわがままを言ったことがない。なのにこんなふうに一度言い聞かせたことを再度ねだるなど、今までの禰豆子からすれば喜ばしい以外のなにものでもなかった。
 とはいえども、炭治郎に無理を強いるつもりも、義勇にはないのだ。ただでさえ堅苦しい場で気疲れもしているだろう。その上、休みだというのに家事どころかつき合いで外出までさせるなど、頼めるはずもない。
 逡巡する義勇に、禰豆子がしゅんと眉を下げただけでなく、炭治郎までもが、また悲しげに瞳を揺らせた。

 どうすべきだろう。迷う義勇が言葉を探しているうちに、現状打破の一言は、当の炭治郎の口から発せられた。

「禰豆子、俺のことは気にせず楽しんでおいでよ。俺はひとりでも大丈夫だから」
「……俺たちと一緒では、おまえの気が休まらないだろう? ひとりのほうが嫌なのか?」
 気詰まりだろうから自由にしていてもらおうと思ったのに、ひとりでも大丈夫とはどういうことだろう。わからずにまじまじと炭治郎を見つめた義勇を、炭治郎も、ポカンとした顔で見返してくる。
「だから、言葉足らずを自覚しろっつってんだろうがァ」
 やれやれと言いたげな不死川の声に、思わず義勇は首をかしげた。けれども視線は炭治郎からそらさない。炭治郎もまた、見開いた目をじっと義勇に据えている。
「じゃ、禰豆子ちゃんも喜ぶし、みんなでお出かけしましょ! えっと、炭治郎くん? それでいいかなぁ?」
「甘露寺がこう言ってるんだ、おまえらさっさと支度しろ」
 甘露寺と伊黒の言に、へぇへぇと不死川も立ちあがった。義勇に断りを入れるわけでもなく、プリンターなどを勝手知ったる他人の家とばかりにしまいに行くその背を、義勇は思わず視線で追いかけた。炭治郎も同様だ。
 そうして再び顔を見あわせたとき、クスリと笑ったのは炭治郎のほうだった。
「義勇さんが迷惑じゃなければ、俺も一緒に行ってもいいですか?」
「おまえを迷惑だと思うことなんてない」
 事実だから、ためらうことなく義勇は即答した。頬を淡く染めた炭治郎は、義勇が望むそのままの、幸せそうな顔で笑った。

《第2章へ続く》
作品名:Hello!My family 第1章 作家名:オバ/OBA