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藍城 舞美
藍城 舞美
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炎倶楽部 第弐話 哀しみの鬼

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― 時は令和X年

 暗い赤色のリボンで結んだサイドテールの髪型に血のように赤い瞳、両耳には薄紫色のリボンのイヤリング、そして両肩と鎖骨を大胆に露出した黒ブラウスと膝丈のワインレッドのスカートといった服装の「上上弦の鬼」冠那(かぶりな)が、自室の壁に飾っている「喜怒哀楽」と書かれた横長の紙の「楽」の部分を不機嫌顔で破いた。
「やっぱり人間時代に基礎疾患ありじゃ、戦闘力も『さほどでもない』わね」
 彼女は破いた紙をくしゃくしゃにして床に投げつけ、さらにそれを踏むと、「喜怒哀楽」の「哀」の字をしばらく見つめた。そして、夜の街へ繰り出した。

 冠那はおもむろに足を止めて小さく笑い、スカートのポケットから小さな巾着袋を出し、中身の一部を取って「まきびし」のようにばらまいた。次に彼女はそれらに向かって両手をかざし、冷たい声で
「血鬼術・復鬼(ふっき)!」
と唱えた。するとどこからか何体もの人魂が飛んできて、少女がまいた物に吸い込まれるように融合した。その直後、それらは血走った眼に大きな口、鋭い歯を持った人喰い鬼どもに姿を変えた。

 鬼どもは獣のように低い声でうなり、自分の両手を見たり、辺りを見渡したりした。冠那は、藍色よりもさらに濃い青色で、胴体の部分に紫色の目と大きな口のある鎧をまとい、同じ色の兜と泣き顔の面頬(戦国武将が顔の下半分に着ける鎧のような武具)を着用した武者姿の鬼に近付いて話しかけた。
「あなたにすてきな名前とふさわしい血鬼術を授けてあげる。今日から『哀しみの鬼・哀泣(あいきゅう)』と名乗りなさい」
 彼女は「哀泣」と名付けた鬼の額に自分の鋭い爪を刺した。哀泣は、自分の全身により強い血が巡るのを感じ、涙を流して
「泣けるや~ん」
 と声を上げた。こうして哀しみの鬼・哀泣をはじめとする鬼どもは人間を喰うべく、さまざまな方角に走っていった。