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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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炎倶楽部 第弐話 哀しみの鬼

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 ここは神のおわす天上の世界。何本もの桜の木が常に満開に花を咲かせる草原に、炎倶楽部の面々が横一列に並んで座り、視線を宙に向けていた。
「ここは聖なる力に満たされているから、血鬼術は無力化されている。しかし再び地上に行けば、曙女史と灯青年の服装は幽霊装束になってしまう」
「煉獄さん、どうすれば血鬼術が解けますか」
 蘭須郎こと灯 春馬(ともしび はるま)が、部長の煉獄杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)に尋ねた。しかしさすがの煉獄もすぐに答えを出すことはできず、腕組みをして考え込んでいた。

 それから数分後のこと。短めに刈られた髪、特徴的な口ひげ、白いタンクトップと水色のデニムといった出で立ちの40歳前後に見える男が通りかかった。
「あれ、キョウジュロウ。みんなで何か考え事でもしてるのかい?」
「これはフレッド殿。俺たちは今、血鬼術の解除法を考えている」
 フレッドと呼ばれるその男は、煉獄たちとは面識があるようだ。それもそのはず、彼は炎倶楽部に声援を送ったり、時には戦闘の後方支援をする、「公認応援隊」の隊長なのだ。彼は部員一人一人の顔を見ると、何とおもむろに腕立て伏せを始めた。そんなフレッドの姿を目にして、阿礼楠こと紅 秀人(くれない ひでと)が軽く笑うと、彼と一緒になって腕立て伏せを始めた。
「うむ、フレッド殿の言わんとすることは理解した」
 煉獄部長はそう言うと、腕立て伏せに加わった。この何ともシュールな光景を見て、灯と曙 結子(あけぼの ゆうこ)は思わず吹き出した。
「ようし、俺たちだって!」
「やりましょう!」
 こうして、灯と曙までもが腕立て伏せを始めた。腕立て伏せを続けるうちに、5人の表情が明るくなった。
「灯青年、曙女史、心は燃えてきたか?」
 煉獄が尋ねると、二人は同時に答えた。
「燃えてきました!」

 やがて全員が草の上にべたっと倒れ、顔を横にして、目を線のようにして笑った。フレッドは立ち上がると、炎倶楽部に言った。
「これだけ心が燃えていれば、きっと血鬼術は解けているよ」
「うむ。フレッド殿、感謝する」
 煉獄とフレッドは、手を組んだ。