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あなたを好きで良かった

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「やれやれ、片付いたか」
「どうしたんだ?」
 私はムギからの届いたメールの内容を読んで安堵の表情を浮かべた。その様子を澪が不思議そうに聞いてきた。
「何でもないよ、何でも」
「む、律のくせに生意気だな」
 私のくせって普段どういう目で見てるんだか。
「なぁ澪。部活楽しいか?」
「何を突然。……まぁ悪くないと思ってるよ。ちょっと恥ずかしいけど仲間と一緒に演奏して、お茶して、お喋りして。結構楽しくやってるよ」
「さすが私の嫁だな」
「誰がっ!!」
 真っ赤になって抗議しようとする、何とも可愛いヤツよ。
「私はな、そんな風に皆が思ってくれるのが嬉しいんだ。別にここからプロになろうとか深く考えてる訳じゃなくて、澪が言ったみたいに仲間と楽しく過ごせたらいいなと思ってるのよ」
「でもその中で誰か一人でも楽しくない、辛い思いをしてるのならこの場所に意味なんてない。皆が楽しいと感じられないと駄目なんだ」
 普段と違う私の態度に静かになる。
「だから私はこのバンドを、この場所を護る為なら何だってやる覚悟なんだよ」
「律らしいよ、どうした急に?」
「別に、ただ私のバントに対する思いを聞いて欲しかっただけさ」
 そう言って私はカチューシャを外して前髪を降ろす。何だか真面目に話していたのが急に恥ずかしくなってきた。
「だと思った」
 澪は呆れたようにいった。でも顔は笑っている。
「そういうと思った」
 私も笑いながら応えた。
「明日は皆揃うといいな」
「揃うさ、きっとな」