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再見 五 その三の二

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 それにしても、こんなにゆっくり下りていったら、本当に日が暮れるぞ。仕方ない、琅琊閣でもう一晩位、お前の面倒を見よう。さ、戻るか。」
 支える藺晨の手を、長蘇は払った。
 そして藺晨に拱手して言った。
「忙しい琅琊閣の若閣主の、お手を煩わせては申し訳ない。、、去る者になぞ、お構いなさいますな。」
 こうまでされて、漸く藺晨は、長蘇が怒っている事に気がついた。
「長蘇、、さっきから、何をツンケンと、、、。
 今朝、私が少しばかり嫌味を言ったのを根に持って、、。全く、お前という奴は、何て器の小さい奴だ。そういう事は聞き流せ。」
「ぷっ、、。」
 藺晨の勝手な言い様に、長蘇は吹き出してしまった。
「長蘇、どうしても行くのか?。」
「行く。」
「残念だなぁ。来月にな、朱砂が陽西の街に、来ると言っていたぞ。会ってから行ってはどうだ?。それにその次の月は七弦の名楽士を呼んで、宴が開かれると。聞いてみたいだろ?、一世一代の名妓も共に来る。」
 黎綱が口を開いた。
「若閣主、朱砂殿も楽士殿も名妓も、若閣主がこれから呼ぶのでしょう?。江左盟の者達は、宗主が来るのを待っているのです。江左盟に着くまで、一体何ヶ月かかるのです?。」
「本当に煩いぞ黎綱。ノリが悪いな。
 少しは察して付き合え。」
 藺晨は、暫く無言で歩いていたが、
「決めた。私が廊州まで送って行く。私の患者なのだ。よし、そうしよう。」
 藺晨がそう言った時、黎綱が長蘇の顔を見て笑った。
「本当に宗主の言った通りですね。江左盟に若閣主の部屋を用意しておけと、命じたのは正解でしたね。」
 それを藺晨は聞き逃さない。
「あぁ?、何だと?。私の部屋?。
 何だ、お前、私に来て欲しいと思ってたのではないか。なら最初からそう言えば良いのだ。」
「黎綱!。」
 長蘇が渋い顔になる。
 黎綱は自分の口を押さえた。
「わはははは、今更、隠すな隠すな。」
「あ、いや、、、きっと若閣主が、押しかけるから用意しろと、宗主が命じたのであって、、来て欲しいとかそういった事では、、、。」
「あはははは、分かった分かった。言うな言うな、そういう事にしておくから。」
 黎綱が何を言っても、藺晨は取り合わなかった。上機嫌で長蘇を支えて、下りてゆく。
「かったるいな、、。長蘇、背負ってやろうか?。」
「やめろ!、絶対いやだ!!。」
「何だ?、初めてでは無いだろう??。」
「、、、煩いっ。」
 長蘇は藺晨の手を振りほどいて、歩を必死に早める。
「遠慮するな〜。」
 追いかける藺晨。


 浮かれた藺晨と、早く行きたい長蘇。
 絶えず笑い合い、珍道中は、廊州まで続く。

 


───────糸冬───────
作品名:再見 五 その三の二 作家名:古槍ノ標