BUDDY 12
俯いた顎を取られて顔を上げれば、ちゅ、って目尻にキスが……。
「ぇ……?」
驚いていれば、ぺろ、って舐められる。
「息が苦しかったか?」
「へ……い、き……」
「そうか」
ああ、知らないうちに涙が出てたのか。
少し離れたアーチャーを、おずおず見上げる。
じっと、真っ直ぐに俺を見ている。
アーチャーが俺を好きになるなんてことはないだろうけど、俺がアーチャーを想うことは許してもらえたみたいだ。
「っ……」
アーチャーにしがみつけば、優しく抱きとめてくれる。
「どうした?」
何も言えなくて、ただ、泣きそうになるのを、必死に堪えるのに精一杯で、なんでもないと首を振ることしかできなかった。
BUDDY 12 了(2022/1/9)