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Byakuya-the Withered Lilac-6

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「ビャクヤ、起きなさい! 私の言うことが聞けないというの!?」
 ツクヨミは、ビャクヤを揺り動かし続けたが、やはりビャクヤは寝息をたてるだけであった。
「ビャクヤ……ビャクヤぁぁぁぁ……!」
 ツクヨミは、自らが付けたビャクヤの胸の傷を額に当てて涙した。
 ビャクヤは死ぬ、その悲しみに暮れるツクヨミであった。
 もっと自身の愛のままにビャクヤの側にいたかった。それも最早叶わぬ願いとなってしまった。
 亡骸となりゆくビャクヤからは、まだ鼓動を感じることができた。その鼓動は、死んでいく人間のものにしては明瞭であった。
 相変わらずビャクヤからは寝息が聞こえる。
 ビャクヤは、まるで単なる眠りについているようだった。
 ビャクヤは死んだのか、それとも生きているのか。『夜』の中で『眩き闇』を倒したというビャクヤ(プレデター)の噂は一度ピタリと止んだ。
 しかし、それからすぐにまたそれらしき、古風なセーラー服姿の女と一緒の少年の噂が『夜』に広がった。
 様々な噂に事欠かない『夜』に、ビャクヤはやはり生きているのか、それとも死んだのか。それは誰にも分からない事だった。
作品名:Byakuya-the Withered Lilac-6 作家名:綾田宗