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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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炎倶楽部 第参話 いざ反撃

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本編始まり



 深夜の京都市内の某所。藍色よりもさらに濃い青色で、胴体の部分に紫色の目と大きな口のある鎧をまとい、同じ色の兜と泣き顔の面頬(戦国武将が顔の下半分に着ける鎧のような武具)を着用した武者姿の鬼が、少し離れた所に居る通行人を見て、鉞(まさかり)をその人に向けた。
「血鬼術!」
 そう言い終わったときだった。
「えいっ!」
 何者かが短刀で哀泣の右ひじから先を勢い良く斬り落とした。山吹色のボウタイブラウスに白黒スクエア柄の長いキュロットといった出で立ちの女性剣士・或仁(あるじん)だ。哀しみの鬼はビビッて甲高い声を上げた。
「わ、何や!腕斬られた!」
 或仁はわざと哀泣の目の前に来て、ドヤ顔をした。女性剣士と対照的に、鬼は泣きそうな声で言った。
「えええ!あんた、俺の血鬼術を受けたはずやのに、何でや」
 表情を変えない或仁の隣に、袖をまくったワイシャツに赤色のネクタイを締め、濃い赤茶色のズボンを履いた短髪の青年剣士・蘭須郎(らんすろう)が来て、フッと小さく笑った。
「応援してくれる人が居るからさ。孤独な鬼とは違ってね」
 哀しみの鬼は膝を突き、空を仰いで左手で両目を覆って声を上げて泣いた。
「わあああ、嫌やぁ、しんどいわぁ」
 或仁と蘭須郎は、泣き虫鬼に軽蔑の目を向けた。

 哀泣は少しの間泣いてから、既に再生されていた右手で鉞を再び握り、立ち上がった。剣士たちは鬼から離れると、刀身に「悪鬼滅殺」と彫られた刀を構えた。哀しみの鬼は、鉞を振り回しながら二人に迫ってきた。

 ガキィン! ガキィン!

 蘭須郎と哀泣は、何度も激突音を立てながら武器の刃を交えた。やがて両者は鍔ぜり合いを始め、文字どおり「一歩も引かない」状態になった。蘭須郎はその額と手のひらに汗をにじませていたが、息をゆっくり吐きながら、自分の刀に意識を集中させた。すると、赤い刃が炎に包まれた。それを見て、哀泣は軽くひるんだ。その瞬間、蘭須郎は全身を燃やさんばかりの勢いで鬼を押し返した。哀泣は体勢を崩し、今にも転倒しそうになった。その隙に、或仁は鉞の柄を一振りで斬った。
 鬼が気付いたときには、鉞の上半分は既になかった。
「ああっ…」
 彼はただの棒となってしまった武器を、手を震わせながらじっと見ていた。
「或仁、ナイスです」
 蘭須郎は仲間に向かって微笑むと、地面に刺さった鉞に自分の刀を当て、「点火」した。哀しみの鬼の自慢の武器は、聖なる炎の中で崩れていった。
「鬼狩りはん、やりたい放題やんか。ほんま泣けるやん!!」
 哀泣は、鉞だった棒を投げ捨て、拳を握って蘭須郎のほうへ迫ってきた。青年剣士は、人間の5倍以上の速度と力で何発も繰り出されるパンチを刀1本で防御した。彼らの動く速度は、もはや常人の目では追えないものだった。

 やがて両者は攻防をやめ、距離を取った。蘭須郎は呼吸を整えながら武器を構え、哀泣に鋭い眼光を向けた。
(火力は…高めで!)