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手袋を買いに行ったら大好きな人ができました1

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 炭治郎と善逸は大慌てです。二人がかりで伊之助を止めていると、大きな笑い声がどこからか聞こえてきました。

「ずいぶんと面白い少年たちだな! 神の祠に殴りかかろうとするとは、よもやよもやだ!」

 篝火が突然ボッと音立てて高く燃え上がり、祠の上で空気がゆらゆらと、陽炎のように揺らめきだしました。
 ぽかんと見つめる炭治郎たちの目の前で、祠の屋根にふわりと降り立ったのは、金と赤のきらめく髪をした男の人です。きっと炎柱様でしょう。
「お参りに来たにしては乱暴なことだ。さて、少年たち。君たちはいったいなにをしにここへ来たのかな?」
 ずいぶんと気さくな神様のようです。大きくて朗らかな声に、炭治郎はホッとしました。
「初めまして、炎柱様。俺は狐の炭治郎です、こっちは妹の禰豆子に友達の善逸と伊之助です! 今日は洋服屋さんのお手伝いで、炎柱様の火の花をいただきに来ました!」
 大きな声で元気よく言った炭治郎を見て、炎柱様はおや? と首をかしげました。
 じっと炭治郎を見つめる大きな目は、すべてを見透かすようです。善逸はそれだけですっかり怯えてしまったのか、ブルブルと震えながら、俺が禰豆子ちゃんを守らなきゃと小さく呟いています。伊之助は伊之助で、こいつは強ぇぜ……だが絶対に俺様が勝つ! と鼻息を荒くしていました。
 失礼なことをしないでほしいなぁと、炭治郎はハラハラです。でも、炎柱様は気を悪くした様子もなく、ふむ、とうなずき、にっこりと笑ってくれました。
「なるほど! 手伝いとは感心な少年だな! じつに面白い!」
 どうやら炎柱様は、炭治郎を気に入ってくれたようでした。とても楽しそうに笑っています。
 炎柱様はおもむろに篝火に向かい、ふっと息を吹きかけました。とたんにふわりと炎がひとひら、炎柱様の手へと飛んできて、ゆらゆらと燃える一輪のお花へと変わります。
 それを炭治郎に差し出して、炎柱様はにっこり笑いました。
 熱そうだなと思いながらお花を受け取った炭治郎は、燃えているのにまったく熱くないお花にビックリして、パチパチと大きな目をしばたかせました。
「さぁ、これを持っていくがいい! だが狐の少年よ、花の対価に君はなにをくれるのかな?」
「このお花にはお代がいるんですか?」
「神へ願うなら、当然対価は必要だ! なにもせず、なにも手放さず、ただ願いを叶えてほしいと言う者の願いなど、神は決して聞き届けはしないぞ?」
 さて、困りました。洋服屋さんはなにも言っていませんでしたから、炭治郎は今日はお財布を持ってきていません。
 善逸は「ほらぁ、うまい話なんてないんだってぇ! きっと食べられちゃうんだ!」と大騒ぎですし、伊之助は「よしそれじゃ俺と手合わせしろ! 俺様が勝ってその花を貰っていくぜ!」と指を鳴らしだしています。
 そんな二人の様子にも、炎柱様は面白そうに笑うだけです。たいへんおおらかな方なのでしょう。けれども、炭治郎を見据える大きく力強い目は、決してズルは許さないぞと言っているようでした。
「そうだっ。お兄ちゃん、これがあるよ」
「あ、そっか! 炎柱様、俺と禰豆子のお弁当なんですけど、お代はこれじゃ駄目ですか?」
 禰豆子が取り出した果実や木の実の入ったお弁当を、炭治郎は炎柱様に差し出しました。
「これは君たちの弁当だろう? 俺にわたしたらきっと帰り道で腹が減るぞ? それでもいいのか?」
「かまいません。洋服屋さんに頼まれたお手伝いのほうが大事ですから!」
 炭治郎の言葉に禰豆子もこっくりうなずいてくれました。それを見て、炎柱様はたいへん満足そうに笑いました。

「では、受け取ろう。さぁ、その花はもう君のものだ、狐の少年よ! 俺の名は煉獄という。もしも俺を呼ぶことがあるなら、そう呼びかけるといい」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇