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手袋を買いに行ったら大好きな人ができました2

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 岩はとても固いので、どんなに炭治郎たちが頑張っても、ちょっぴりずつしか欠けてはくれません。腕はどんどん重く疲れてくるし、手にはいっぱいマメができてとても痛くなりました。善逸は痛いよう疲れたようと泣きましたが、それでもツルハシを振るう手は止めませんでした。
 マメが潰れて血が出ると、洋服屋さんの不思議な布で傷を治して、みんなはまたツルハシを振るいます。眠くてお腹も空いてきましたが、誰も手は止めません。
 ガツン、ガツン、ガツン。岩を叩く音はずっと響き続けて、やがて空が白々と明けてきました。
「あぁぁっ! 朝が来ちゃうよっ!!」
「お日様が顔を出し切る前に水晶を見つけなきゃ、夜までに帰れなくなっちゃう!」
「くっそぉぉっ!! なんだってこんなに固ぇんだよっ!」
「みんな頑張れ! ほら、穴は大きくなってきてるぞ! きっと水晶は見つかるよ!」
 そう言って炭治郎がまたツルハシを岩に叩きつけると、キィンと澄んだ音が聞こえました。
「あっ!! 音が変わった! 炭治郎、きっとそこだよ!」
 耳のいい善逸が言うので、みんなは炭治郎がツルハシで叩いたところを覗き込みました。
 そこには固い岩に囲まれて、きらきらと光る透明な水晶が顔を出していました。
「やった! これの欠片を採れたら帰れるぞ!」
 みんなで力いっぱい水晶を叩きましたが、水晶は綺麗な音を響かせるばかりで、まったく欠けてはくれません。
 お日様はどんどんと昇ってきます。時間がありません。
「どうしよう、お兄ちゃんっ」
「うーん、よし! みんなちょっとどいてて!」
 言うなり炭治郎は、おでこを思い切り水晶に打ち付けました。
「うわぁっ、炭治郎お前なにやってんのぉ!?」
「お兄ちゃん、大丈夫!?」
「おい、権八郎! 頭突きじゃ駄目だっただろうが!」
「大丈夫。ほら!」
 心配するみんなに笑いかけ、炭治郎は、おでこを離すと水晶の下に手を差し出しました。手のひらにコロリと落ちてきたのは、きらきら光る水晶の欠片。
「やったぁぁぁっ!!」
 みんな飛び上がって大喜びです。けれどよく見ると、朝の陽射しを弾いて光る水晶は、たくさんヒビが入っていました。
「どうしよう……こんなにヒビが入ってる」
 困ってしまった炭治郎の頭に、ポンッと大きな手が不意に乗せられました。
 ビックリして炭治郎たちが振り向くと、岩柱様が立っていました。岩柱様はぽろぽろと大粒の涙を零しています。
「よくやった、小さき獣たちよ。この水晶はこれでいい。これは爆裂水晶というのだ。さぁ、これを持って帰るがいい」
 岩柱様がおっしゃるのなら、きっとこれでいいのでしょう。炭治郎たちはホッとして、岩柱様にお借りしたツルハシを返してお礼を言いました。
「岩柱様、道具を貸してくれてありがとうございました!」

「己で努力することなく神に願うばかりの者に、神は力を貸しはしない……。努力を知る小さき獣たちよ、私の名は悲鳴嶼という……もしも私を呼ぶときは、そう呼びかけるがよい」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇