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忘れないをポケットに。

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「うん」日奈子はにこやかに、声に出して頷いた。
「大丈夫、卒業した後も明日は来るから」絵梨花は日奈子に言った。「意外と大丈夫」
「はい」日奈子は笑った。
「今思うと、ずいぶんと贅沢な時間だったのでござるな~……」あたるは感慨深くそう呟き、尊そうに、日奈子を一瞥した。「きいちゃん殿の思い出が全て、小生の宝物でござるよ」
「ありがとお!」日奈子は鼻筋に皺を作って笑った。見方によっては、何かを威嚇(いかく)する小動物にも見える。
「きいちゃんのくれるダジャレの音声メール、よく聴くとちょっと笑ってる声が端っこに入ってるんだよ。ん可愛いな~!」夕はたまらずに笑った。
「メガネには眼がねえ、が俺的には一番響いた」稲見は眼鏡の位置を直しながら囁いた。
「きいちゃん、も抱きしめていい?」夕は日奈子を見つめる。
「いや、いやダメダメ」日奈子は焦った表情で素早く手を振った。
「きいちゃんさんか、与田ちゃんさんか……。というお話は、結局何のお話だったのですか?」駅前は磯野にきいた。
「あ? きいちゃんか与田ちゃんか? んーだっけな………」磯野は考える。そして、その顔を閃(ひらめ)かせた。「ああ~……。ぱいおつの事な!」
「ぱいおつ?」駅前は疑問に顔を険しくさせる。「ぱいおつとは?」
「ううん、おほん。………駅前さん、後で俺が説明しよう」稲見は慌てふためいた後で、無表情で冷静な口調で駅前に言った。「説明は後でもいいね?」
「ああ、ええ、はい」
「れんたんの映画、もう一回観れた」夕は飛鳥に言った。「飛鳥ちゃんの時、三回劇場通ったから、行けるかな、今回も行きたいな」
「観て来たー!」来栖はピースサインを作った。「主役がれんたんって事を忘れて没頭しちゃった~。あれは観ておかないとだよねー」
「与田ちゃんティラミスやってんじゃんかー?」磯野は祐希を見つめる。「葉月ちゃんとかでんちゃんもやってんのか、ティラミス」
「は?」祐希はは行の「は」を綺麗に発声した。
「ティラミス?」葉月は磯野に顔を険しくさせる。「あの美味しい奴?」
「ピラニアだったっけか?」磯野は顔をしかめた。「久保ちゃんもやってんのか?」
「全然、あの話が入ってこないんだけども……」史緒里は改めて座り直す。「ピラニア?」
「何だっけ? おい夕」磯野は夕を一瞥する。
「飛鳥ちゃん今度さあ」
「おい夕!」
「あ?」夕は嫌そうに磯野を一瞥した。「何だよ……」
「与田ちゃんやってんの、ティラミスだっけっか、ピラニアだっけか?」磯野は顔をしかめて夕に言う。「あんだっけ?」
「ピラティスな」夕は祐希を一瞥した。「だよね?」
「ああ~~……」祐希は納得した。「ピラティスね。やってるやってる。何で知ってんの?」
「与田ちゃんの事を好きだから、ですよ」夕はとびっきりの微笑みで祐希に返した。
「ピラティスってなんだ?」磯野は祐希に顔をしかめる。
「ピラティスはぁ~……、布? にぶら下がって……」祐希は説明する。
「絢音ちゃん今日何食べた?」怜奈は絢音にきく。「えここで食べた?」
「あ、うん。ここで食べた」絢音は姿勢よく丁寧に答えた。
「何食べた?」怜奈はきく。
「一番好きな丼(どんぶり)」絢音は美しく微笑んだ。
「え、絢音の好きな丼って、……何ぃ?」未央奈は謎に興味をそそられて微笑む。「え、韓国料理好きだよねえ?」
「好きい」絢音は微笑む。
「ビビンバ、とか?」未央奈はきく。
「あ。最近お母さんと食べました」絢音はにこやかに答えた。
「え、答えは?」怜奈は絢音に言った。
「鳥そぼろ丼」絢音はにっこりと微笑んだ。「美味しかった~」
「でん、今日何食べたの?」史緒里は自然と眼が合った楓に言った。「私はここで、さっきお刺身いただいたんだけど」
「あ私も、さっき無人レストランで与田と葉月と焼肉、食べて来た」楓は口元をにやけさせて史緒里に言った。「えどこで食べたの?」
「自分の部屋」史緒里は微笑んだ。
「ねんちゃんって最初ゆるゆるの可愛い子キャラだったよね?」日奈子は面白そうに言った。「それが急に、なんか秋田美人みたいになっちゃって」
「キャラ変ね」未央奈は言った。
「無理は、よくないな、と思って……」絢音は言葉を整頓して言った。
「ねえまだ生卵食べた事ないの?」未央奈は面白がって絢音にきいた。
「なぁーいの」絢音は答える。「カルボナーラもない……」
「え」日奈子は驚いた顔で眼を見開いた。「まだ? うちのお父さんカルボナーラ超うまいから今度おいでよ」
「うん行くぅ」絢音は微笑んだ。
「この前のお店よかったね?」絵梨花は飛鳥に言った。「美味しかったよねえ?」
「うん。うん、美味しかった」飛鳥はきょとん、と頷いた。
「あ。二人でお出かけ?」夕は二人に微笑んだ。
「そう」絵梨花は自慢げに答えた。
「ご飯ね」飛鳥は平然と言った。「でも、楽しかったね」
「たーのしかった~」絵梨花は眉間を寄せて言った。
「ねえ……、ず~っと手ぇ繋ぎ合ってなーい?」来栖は腰を上げて遥香と柚菜を観察しながら言った。「仲良しさん? それともそれは愛なのかなぁ?」
「かっきーは、柚菜のものなの」柚菜ははにかんで言った。
「ず、ずっきゅううん!」それをたまたま見ていたあたるは、柚菜にハートを撃ち抜かれた。
「あ変な関係じゃないですよ?」遥香は弁解する。「仲良しさん……」
「そういうのってレズっていうんじゃあ」磯野は言いかけて、やめる。咲希が大きな咳をしたからである。
「磯野さん、あなたね、少しお下品ですわよ……」咲希は姿勢を正して磯野を睨んだ。
「レズじゃないレズじゃない」遥香は笑いながら嫌がる。「ふ、普通だから」
「なら、やっぱり王子様がいいのかしら?」咲希は遥香に微笑みかけた。
「呼んだ?」夕はそう振り返ってから、遥香ににひっと微笑んだ。「いつか迎えに行きます」
「この世にもいるのね、王子様は」咲希は夕にうっとりとした表情を浮かべた。
「そうかあ~?」磯野は顔をしかめる。
「ん?」夕は咲希を見つめた。
「あー、ダメよ夕君そんなに見つめちゃ……」咲希は苦笑した。「妊娠しちゃいますわ」
「あんたも結構お下品よ」兎亜は横目で咲希に呟いた。
「そういえばさ、きいちゃんの夢を見たんだ」夕は新しい笑みを浮かべて言った。「この時期やっぱりきいちゃんの夢いっぱい見れちゃうんだけど、どのきいちゃんも無邪気で、積極的なんだ。実際のきいちゃんも、もし恋人ができたら積極的なのかな?」
「えー」日奈子は斜め上を見つめて考える。「ん。どーなんだろ……」
「て事はてめえ、夢ん中できいちゃんと何してやがんだっ!」磯野は急に興奮した。
「夢ん中まで教えないよ」夕は笑った。
「俺も実はきいちゃんの夢をよく見る」稲見はぼそり、と呟いたが、皆に注目されたので、続きをしゃべる。「確かに、夢の中は秘密なのが最適だね」
「あーてめえ! まさかっ」磯野は興奮する。「つ、付き合ったりしてねえだろうな!」
「そんな事とがめてどうするんだ、お前は……」夕は溜息をついた。「夢なんだぞ」
「夢でも許さん!」
「しょ、小生は乃木坂の何かしらの音声を流しっぱなしにしたまま朝まで眠るゆえ、夢の中では乃木坂と大体自然なトークをしているでござる」あたるはにっこりと微笑んだ。