甘く煌めく
いまだ小指は絡んだまま。指切ったと離してしまうにはあまりにも惜しく。
高鳴る鼓動が義勇の耳へと届かぬことを、炭治郎は祈る。
「……料理も、今度また一緒に」
また一つ約束を口にする義勇に、いよいよ眩暈がする。
そんな約束をされたなら、小指だけでなくこの手に、この腕に、触れられ抱きしめられる日が、いつか我が身に訪れると期待を抱いてしまうではないか。
そっと離された小指を下ろし、炭治郎は小さく、はいと答えた。
恋の実る日がくるなど思ってはならぬ。言い聞かせても自然頬はゆるむ。
はい。はい、義勇さん。約束しましょう。いくつでも。
甘く赤いヂェリーをすくった匙を、ふと見つめて義勇がささやくように言った一言は
「お前の瞳の色だな」
笑んだ口元に運ばれた、炭治郎の瞳の色した煌めきは、つるりといともたやすく義勇に飲み込まれた。