やきもちとヒーローがいっぱい
子供たちが口々に冨岡を擁護する声を上げ、犬たちが吠えたてる。
そろそろ人が集まってくるかもしれない。宇髄と視線を交わし合う。
「うるせぇガキどもだなぁ。そうだ、こいつらも冨岡と一緒に犬に石投げてたことにしてやろうぜ」
「お、それいいな。注意した俺らに冨岡がいきなり襲いかかってきた、と」
「ガキや頭の狂ったやつの言うことなんか、誰も信じるわけねぇもんな。俺らのほうが被害者でーす、頭おかしいやつらに襲われて怖かったですーってな!」
途端にふわりと冨岡の気配が変わる。ゆらゆらと、目に見えぬ闘気が陽炎のように立ち上った気がした。
そうか。冨岡は自身への侮辱にではなく、守るべき者のためにこそ怒るのか。やっぱり、あの澄んだ瞳は、冨岡の心根そのままだったらしい。好戦的な高揚感はそのままに、煉獄は知らず微笑みかけた。心のなかで穏やかに冨岡に語りかける。
君の剣は、そんな下賤な輩を打ち据えるためにあるのではないだろう? と。
君の剣を、そんな輩のために汚されるのはごめんだ。君は、俺が認めたライバルなのだから!
「さて、そろそろ派手にぶちかますか」
「うむ!」
さぁ、ライバルのピンチを救いにいこうか。
作品名:やきもちとヒーローがいっぱい 作家名:オバ/OBA