二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

年年歳歳番外編詰め

INDEX|2ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

「あの嬢ちゃんはいいのかよ。後で知ったらうるさくねぇか?」
「真菰は女だからな。危険性がある以上、教えるわけにはいかない。あ、でも誤解するなよ? 真菰はちゃんと強いぞ。稽古の時だって三本に一本は俺が負ける」
「ふーん?」
 ニヤニヤと笑いだした宇髄に錆兎が怪訝な視線を向けると、宇髄は意味ありげに、禰豆子と一緒に義勇の足にまとわりついている真菰へと視線をやった。
「自分が負けても派手にうれしそうに言えるってのは、アレか? ラブ?」
「なに言ってんだ? おまえ」
 なにを言いだすかと思えば。呆れ返りつつ錆兎も真菰を見る。

「わざわざ当たり前のことを聞くな。真菰は俺の嫁になる女だぞ」

 ラブだと? そんな言葉ごときで言い表せるものか。
 義勇は錆兎にとって宝物で弟で兄で目標だ。一方真菰は、錆兎の空気であり、水であり、光なのだ。あって当たり前で、無くては生きられない。

「なんだよ、お嫁さんになるぅとか言われたりしたのか? ちいせぇころの約束なんて当てになんないぜぇ? 年ごろになってみな、いつも一緒のお前より目新しい男に目移りするかもしんねぇぞ」
 ニヤニヤ笑いをますます深める宇髄に、頼りにはなりそうだが悪趣味な男でもあるなと、錆兎は軽く目をすがめた。どうせ錆兎がムキになるのを見たいだけだろう。
 だから錆兎は堂々と言ってやる。不敵に笑ってみせる。
「たしかに約束したのはもっと小さいときだが、そんなもの、俺が真菰を嫁にするのにふさわしい男であり続ければいいだけだ」

 まぁ、ちゃあくん、と、舌足らずに呼び合い笑っていたころからずっと、今も、これから先も。真菰は錆兎にとっての空気で、水で、光だ。当たり前に傍にいて、手を取り笑い合い、一緒に涙して、一緒に強くなっていく。
 いつまでも続くと思っている日常は、ある日突然覆されることがあると、錆兎はもう知っている。身に染みて今まさに経験している。だから油断などしない。自分も真菰にとっての空気で水で光であるように、あり続けられるように、努力を怠る気は毛頭ない。

「……いいねぇ、派手におもしろいぜ、おまえ。ガキとは思えないほどイイ男だな、錆兎」
 ふふんと笑う宇髄の顔に、けれど茶化すような色はない。初めて名を呼ばれた。認められたことを知る。
「おまえもおもしろいと思うぞ。ちょっとチャラいけどな、天元」
 チャラい言うなと鼻を鳴らす宇髄を見上げ、互いにニヤリと笑い合う。
 自然と突き出した小さな拳が、大きな拳と突き合わされた。
「んじゃ、派手に暗躍開始といこうかね、チビ剣士」
「派手な暗躍っておかしいだろ、銀髪忍者」
 忍者はやめろと顔をしかめる宇髄と、おまえもチビはやめろと眉を寄せる錆兎を見上げて、ハチが仲間に入れろと言うようにオンオンと鳴いた。

作品名:年年歳歳番外編詰め 作家名:オバ/OBA