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籠の中の鳥

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風紀委員の人に、なんの飾りも無いただの紙切れを渡された。二つ折りになっていたそれを広げると、綺麗に整った文字。たった二行だけ。
『夕方4時、並盛駅改札前』
差出人名は書いていなかったが、これを渡してきた人物を見れば、考えずとも答えはわかった。誰もに恐れられる風紀委員長。風紀委員をパシリに使い人はあの人しかいない。
突然の呼び出しに何か不可解なものを感じながらも、拒否をすればどうなるかが目に見えていたのでツナは素直にその命令を受け入れた。獄寺たちをどうまこうかだけを考える。初めてヒバリに会った時は、足はすくみ、ただひたすら怖くて。何度会っても恐怖心はぬぐえなかったが、最近は怖さよりも際立つ感情があった。自分を見る目が優しい気がして、ツナは安心感ともいえるような、他の人に言ったら絶対奇異の目でみられるような、そんな感情をもてあます。自分でも良く分からないが、ヒバリに対して初めの頃のような危機感はわかない。
そういうわけだから、余計にこのメモを無視する気は全くおきなくて、反対に楽しみにさえしていた。今はまだ昼前。あと何時間もあることに少しじれったさを覚える。
何があるんだろう。どこか連れてってくれるとか。一緒に、ご飯食べに行こうとか、そんな誘いかもしれない。
ヒバリと全く交流がないわけではなかった。学校でも割とよく会うし、休日も、たまたま会ったりする事が多いので、ついでにご飯を食べることもめずらしくはなかった。最初はどんな罠がまちかまえているのかと気が気ではなかったが、何度も会ううちにうちとけてきて、居心地の良ささえ感じるようになった。自分でも驚くぐらいヒバリへの恐怖心がだんだん薄れてきて、友達とも少し違うような、そんな関係をツナは居心地良く思っていた。
待ちわびた放課後、帰りのHRが終わってすぐ獄寺が「一緒に帰りましょう」と言ってきたが、運よく今日は獄寺が日直だ。まだやるべきことが残ってると獄寺を責め、仕事を始めさせてから教室を後にした。ツナは軽い足取りで家とは反対方向の道を歩いていった。

作品名:籠の中の鳥 作家名:七瀬ひな