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ワクワクドキドキときどきプンプン 3日目

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 なんということだ、我が友にしてライバルが……なんだか、怖い。主にホラー映画な方向で。

「と、冨岡? 大丈夫か……?」
「……絶対に大きくなってやる俺は女じゃない華奢ってなんだ可憐だとふざけるな絶対に宇髄ぐらい大きくなってやるエロチシズムだの色気だのってなんなんだ俺にあるわけないだろそんなもの絶対に煉獄より腕も脚も逞しくなってやるからな畜生気持ち悪い気色悪い服の上からでもわかるってなにが見えてるんだこの変態たたきのめしたい切り刻みたいそうだそうしよう」
「義勇さんっ!? 迷子? 心が迷子になっちゃってますか!? 大丈夫ですよ、俺が一緒にいますからぁ! 義勇さん戻ってきてぇ!!」
「ぎゆさん、なんか怖いよぉ。いつものぎゆさんじゃないよぉ」
 うわーんと禰豆子は泣き出すし、炭治郎は必死に義勇を揺すぶってるし、義勇は揺すぶられるままに死んだ魚の目を虚空に向けてぶつぶつ呟いてるし。
「義勇!? おい、しっかりしろ! 義勇になにすんだ、おまえ! 精神攻撃は卑怯だぞ!」
「義勇大丈夫だよ、今すぐこの変態は退治してあげるからね! だから戻ってきてぇ!!」
 錆兎は般若の顔して変態に詰め寄ってるし、真菰は悲壮な顔で叫んでるし。

 なんなんだ、この修羅場。ここは牧歌的な自然公園で、今は楽しい休暇中じゃなかったのか?
 ……あぁ、空が青いなぁっ! じつにいい天気だ! うむ、絶好の素振り日和だ!

 なんて。ガラにもなく現実逃避をしたくとも、決して許されそうにないこの現状。引いた血の気を戻せないまま、しかたなく煉獄は事の発端である宇髄に詰め寄った。
「おいっ、宇髄! これどうしたらいいんだ!?」
「俺様に聞くんじゃねぇ! あぁぁぁっ、もぉぉぉっ!! だから派手に嫌だったんだこの変態と関わんの!! ロクなことがありゃしねぇ!」
「失敬な。僕は美の信望者であり表現者なだけです。宇髄くんだって芸術を志すなら僕のこの感性、おわかりいただけると思ってましたのに、残念です」
 第一、バイトを紹介された借りを返すって言いだしたの、宇髄くんのほうじゃないですか。と、しれっと言う前田は、いい度胸をしていると思う。こんな場でなければ感心してしまったかもしれない。
「テメェに借りを作ったままなんて怖くて嫌だったんだよっ! なにやらされっかわかんねぇからな!」
「えー、嫌だ嫌だって逃げまわるから、出演してもらうのはちゃんとあきらめたじゃないですかぁ。宇髄くんの審美眼やセンスは僕も買ってますしね。美術スタッフとして参加してもらえただけでも、ありがたいと思ってますよ? おまけにこんなにお美しいヒロインを紹介していただけるなんて、感無量です」
「誰が紹介なんぞしたてんだっ、寝ぼけたこと言ってんじゃねぇ!! 人の話をちっとは聞けやぁ!!」
 どんなに宇髄が凄んでも柳に風の前田は、ある意味最強かもしれないが、義勇の精神状態だけでなく子供たちにもたいそう悪影響である。
 もうこうなったら申し訳ないが宇髄を生贄に置いて、さっさとお暇したほうがよさそうだと、煉獄が帰宅をうながそうとしたとき。前田の一言が、事態をさらに思いがけない方向へと導いた。

「あ、この子たちにも出演してもらっていいですか? ヒロインと並んでも見劣りしない、絵面のいい子たちばかりですし、セリフはなしにしますから」

 よもや。そうくるか。