二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

君が幸せであるように

INDEX|1ページ/4ページ|

次のページ
 
刀剣乱舞源清麿
刀剣破壊&時間遡行軍化あり
鬱展開
クズと自業自得と可哀想な人がいます
捏造システム搭載政府がクソ
イマジナリー言及あり
審神者♂





君が幸せであるように



「あるじさま。玄関に歓あり。第一部隊が帰還しました」
「報告ありがとう白山。鍛刀中は特に気がつかないときがあるから助かる」
定期的に籠るこの部屋は過ごしやすさとは無縁なのだが、付喪神の剣は熱さを感じないのか我慢強いのか執務室と片時も様子が変わらない。職業柄審神者になる前から鍛錬所に出入りする生活をしているが、受ける消耗は慣れでどうにかなるものではない。本丸での鍛刀は妖精が手伝ってくれるので格段に楽だ。
「主、少しいいか?」
「国広。ごめん今行こうとしてた。軽傷なんてめずらしいな」
「戦線崩壊もいる。全員長柄槍の検非違使部隊が出た。手入部屋に被害順に入れている」
「何だそれ。その変則編成が過去データにないか調べてみる。国広も来てくれるか?」
「ああ、構わない」
「白山、すまないが鍛冶部屋を頼む。今回も長丁場になりそうだからあとで指示を出すよ」
「はい、わたくしにできることなら」

第一部隊は軽傷1名、中傷4名、重傷2名。念のため第一部隊隊長の生の証言を記録しておく。
「後で最新データと照合するが今までの青野原の、いやどの合戦場にも槍だけの検非違使の記録はないね。僕たちが初遭遇になるかもしれない」
男士が書いた政府宛の文章が破綻していることが多く、見かねた歌仙兼定が体裁を整えているうちに彼の執務室ができた。状況を読み取れないときは面談してくれるし、報告代理を頼むときもある。今では要請を受けて独自の本丸記録を編纂していて政府に協力している。
「さすが書記官殿、一発で断言してもらえるとは。俺の経験にもなかったのでな」
「記録を提示しただけだ。僕には敵の作戦はわからないけれど」
自称文系の彼は戦術に踏み込みたがらない。理系かつ軍師であらねばならない僕はなんとか道筋のようなものをこじつける。
「編成以外に、スペックは上がっていたか?」
「おそらくいつも通りだ。重傷2名で仕留められたからな」
「了解。3Dデータでも確認してみよう。政府に報告して当分は青野原への出陣は控える。検非違使の出現記録がない合戦場をピックアップして、これまで通りバイタルアラートで重傷を見逃さないように」
「方針が出たようだね。ところで我が主、昨日から史実通信機の速度が出なくなっていてね。メンテナンスをお願いできるだろうか。検非違使の件は副回線で連絡してくれ」
政府への報告、最新研究史実データのダウンロードなどにも使用する史実通信機は調子如何でかなり運営に支障が出る。本丸の孤立度合いは大侵寇が上限だと信じたいものだが。
「了解した。うちは元々男士のリアルタイムバイタルデータも提供してるし、3D対応通信になってから詰まりやすいか。メンテ係の水心子……、は特命に行ってるな。清麿に頼んでおく」
何度か赴いている放棄された世界で、あの南海太郎朝尊がこともあろうに罠の作成にてこずっているらしく、師匠筋でもある水心子正秀が駆り出されていた。
「戦闘データには3Dの自動記録もいいが、文書の比率を音声データより下げるのはどうなんだ? 必要なものがピックアップできて誤解の可能性が低いデータのほうが軽くて扱いやすいだろう」
「山姥切の報告書も最初は読めたものではなかったし、手習い経験のない新人が書けるようになるまである程度時間がかかる。音声報告は話し慣れている者には手間が省けていい。新刀のくせに頭が固いな」
「そんなに俺の報告書は駄目だったか……?」
「審神者含めてみんなで日誌から始めたよな。国広、そろそろ様子を見てできれば手入れしてきてくれ。付き合ってくれてありがとう」
「承知した……」
心なしか肩を落とした背中が廊下を行く。刀剣男士は僕より文章に触れてこなかった者も多い。そもそも人の身の初心者だ。
「歌仙もありがとう。仕事の邪魔をしたね」
「いや。こちらもメンテナンスの件を連絡しようとしていたところだ。……山姥切が言うように文書のほうが作業が効率的なのも事実だ」
「みなさんも歌で表現の訓練をなさればよろしいでしょう。歌はいいものですよ」
「君の入電映像は歌しかなかったが情報に乏しいこと随一の表現だったぞ古今伝授の太刀。まったく、歌詠みこそ時を選ぶべきだ」
ため息をつく歌仙の隣で飄々と仕事をこなす彼は読み込みも早く解釈も正確、書記室の主力である。かの入電は歌仙に挑戦状を叩きつけたかっただけのようだ。
「相手に最適なものを選びましたよ。やる気が出ませんでしたか?」
「君とやり合う覚悟は、決まったかもしれないね」
「歌仙兼定、今日の書面だ」
最近手練の顔を曇らせる続けている文書が持ち込まれた。
「人間無骨……。筆を持てて嬉しい気持ちはわかるんだが、報告書は記録端末の手習いや音声入力も考えてくれないか。文章構成に問題はないから、こちらも解読速度を上げられるよう努力する」

快く引き受けてくれた源清麿の現状把握は速く、作業も流れるように進む。
「ああ、処理が溜まっているね。こちらの臨時ルートを開けて様子を見よう。数分で流れ出すはずだ」
「さすが対応が早いな。新型が複雑になってしまって陸奥守が悩んでいたところを引き継いでくれて、助かった」
「あはは。本丸の通信機は常時接続じゃないし、張り付かなくてもメンテできるから。お安い御用だよ」
「そういえば水心子と清麿はどうやって通信機の管理を覚えたんだ?」
「僕たちが政府で顕現したばかりのころの話だけれど。水心子が自分の生涯をかけた膨大な研究過程と成果の一切を、見様見真似で個人端末から一度に史実データベースに上げてね。他の水心子の個体も感化されて我先にとアクセスしたし、個々がトライアンドエラーを繰り返して現場が混乱した」
「僕でも閲覧できるあの詳細なデータが水心子のお手製なのか!?」
「そうなるね。僕も配属されたばかりでよく分からなかったから、使命に燃える彼を止めることができなかったんだよ」
清麿がいつも湛えている笑みがいっそうほころぶ。
「水心子に関して清麿に無理なことは誰にもできないと思うな」
「どうだろうね。それで水心子の研究内容をある程度把握できる南海先生と僕と本人が対処チームに加わって情報を整理したんだ。端末に初めて触れるし若いからって機械に強い訳でもないから、必死に勉強しただけなんだけれどね。考え方は性に合っていたかな」
必死で、で技術が習得できてしまう天才付喪神たちの体験談は僕たち一般人には参考にならない。
「水心子は天保江戸の入電で機械に慣れているようには見えなかったから意外だったな」
「入電用の端末は水心子にとって初めてだったから。というよりは知らない本丸に話しかけることに緊張したんじゃないかな。……ところで主、水心子と僕は本当に通信機の管理を続けてもいいんだろうか」
すっと表情が引き締まる。目が水平に開いて僕を捉える。
「何か納得できないことがあるのか?」
作品名:君が幸せであるように 作家名:さかな