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無題

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腕をおざなりに叩いてギブを表現。それに気付いたのか「ふわぁ!すまんっス」ようやく抱きつきと称したのしかかりを解除した。
携帯獣育成ゲームでも高威力だろ、あの技。人間にかけるんじゃありません!と説教したいのをぐっと堪えて「用件は」端的に尋ねた。
「とーるとおデートするっス!」
「行き先は」
「病院っス。一樹の」
それは世間一般的にお見舞いと言う。
「みーくん?」
お隣のマユが不思議そうに袖をくいくい引っ張ってきた。見ればとっくに靴を履き変え終わっている。
今まで静かだったのは靴の履き変えに四苦八苦していたからだねまーちゃん。
思わずいいこいいこしたくなる衝動をぐっと堪えて「長瀬、今日は無理だから」一方的に会話を打ち切って下駄箱へダッシュした。
「あ、待つっスとーる!」
待てない待てない。捕まってたまるものかと上履きのまままーちゃんの手をとって走り出した。
駆け落ち逃避行だぜ、うひょーい!という心情ではなかったけれど。
制靴は明日にでも取りに行けばいいさ。
ぜいぜい息を切らしながらアパートまで駆け戻って懐かしき我らが城にただいまを言う。
以前は僕と奈月さんが会っていただけで「死ね」とまでおっしゃったまーちゃんだ。今回はどんなお言葉が飛び出すのやらと恐る恐る「まーちゃん?大丈夫?」一緒におてて繋いで駆けだした相手の顔色をそっと伺った。
まーちゃんはふるふると小刻みに痙攣している。
一応のフォローは入れるか、と思い直し「急に駆け落ちなんてしてごめんね」と口先だけで謝った。
「駆け落ち!?」
途端にマユがこちらに向き直る。
若干後ろめたい思いを抱えながらも「そうだよまーちゃん!僕らは学校から二人で駆け落ちしてきたのだー!」
どぎゃーん、効果音付きだ。
「おおお、なんと!」
なんと納得してくださった。
駆け落ち、駆け落ちかあとまーちゃんは両手を会わせて夢見る乙女のポーズを取る。
「ぬふふのふー。みーきゅんと駆け落ちだなんてえいがみたいですねじょわー」
機嫌はすっかり治っていた。むしろ上昇気流のように立ち上っていた、と表現するのが正しいかもしれない。
「あー疲れた」
ふかふかのベッドにルパンダイブでもしたい気分だ。もちろん先客はまーちゃんで。
埃っぽいソファにごろんと寝ころんで目を瞑った。今日は反省会は抜きでお願いします。

作品名:無題 作家名:nini