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僕はきっと、この日を忘れない。

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「イナッチに言われたくねえわ」齋藤飛鳥は呟いた。
「乃木坂の人達には、色んな個性がある。それは、本当に様々だ」稲見瓶は言う。「一人一人、性格やオーラがあるけど、でも、女子としては統一的に女子だ。その中でも、女子として特異的なのが、飛鳥ちゃんや、与田ちゃんや、美月ちゃんや、あやめちゃんだね」
「それ超わっかる」風秋夕は笑った。
「そのトップの人」稲見瓶は手の平を上に向けて、指先を齋藤飛鳥に向けた。
「そうなの?」齋藤飛鳥はグラスに口をつけて言った。
「男子に意識あるのか、ていうか、大抵の男子を男子として見てないとか」風秋夕は難しい表情で言葉を探す。「興味すら、あるのか、ないのか、わからん」
「ルーリード好きですよ」齋藤飛鳥はそう言ってから、小首を傾げた。「いや、んー、まあ……、好きっちゃ、好きか……」
「るーりーど?」稲見瓶はきき返した。「誰?」
「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのヴォーカル」風秋夕が説明した。「アメリカのバンドだよ。ずいぶん年季入ってっけど」
「カッコイイんだ?」稲見瓶はきく。
「カッコイイ?」齋藤飛鳥は反芻(はんすう)した。「カッコイイ?」
「デヴィットボウイとか、その辺の感じだよな」風秋夕は言った。
「なるほど、あの人だ」稲見瓶は齋藤飛鳥を見つめる。「飛鳥ちゃん、ハマスカ放送部で、トレーナー着てたね。ルーリードのプリントされてるトレーナーじゃあないのかな、あれは」
「はいはい、そう。着てた着てた」齋藤飛鳥は驚いたようにはにかんだ。「よくわかったねえ。そうですよ、あれがルーリード」
「飛鳥ちゃん音楽好きだからね」風秋夕はにっこりと言う。「DJだから、飛鳥ちゃん。乃木坂の楽曲とかで回すんだぜ?」
「へー」
「趣味、程度に、ね」齋藤飛鳥はグラスを口元まで持ち上げて、呟いた。

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 一方、カウンター席の背中側のテーブル席では――。
 店内にはザ・ブラン・ニュー・ヘヴァーズの『ユー・アー・ユニバース』が流れていた。
「うちはほら、もう身体に沁みついてたからね。それでも、けっこう念入りにリハやったんだけど」生駒里奈は苦笑しながら言った。
「もう忘れてたよ」伊藤万理華は呟いた。
「いや~、見事だったぜ~! 生駒っちゃんも、まりっかもよお」磯野波平は下品に笑い、ビールを呑み込む。「なぁちゃん出て来た時ぁ、マジかと思ったしなあ?」
「緊張した」西野七瀬はえくぼを作ってはにかんで言った。「でも最高だった。ひっさしぶりのステージでぇ、うん……。お客さんも入ってて……、気持ちよかった」
「あーしとまちゅまでは想像してなかったっしょ?」高山一実は可愛らしくにやけて言った。
「いやっ、全てのサプライズを想像すらしていなかったでござるよ!」姫野あたるは顔を驚かせながら言った。「かずみん殿とまっちゅん殿が登場した時には、すでに気を失いかけてたでござるっ……。小生はそのぐらい嬉しかったでござる」
「設楽お兄ちゃんも、日村お兄ちゃんも来てくれたしね~」松村沙友理ははにかんだ。
「私は、来ると思った?」生田絵梨花は己を指差して皆を見る。「来るって思った人?」
「いませんよ、おそらく」駅前木葉は微笑んだ。「十年間のライブのやり方で、完全に意表を突かれていましたから……。あれはもう、あれこそが本当のサプライズです」
「でもさ、やっぱいいよね、ライブ」白石麻衣は女神のように微笑んだ。「ちょ~う、テンション、上がった!」

脚本・原作・執筆・タンポポ

「まいやん可愛すぎるんですも~ん……」御輿咲希はうっとりと白石麻衣を見つめる。「まいやんの笑顔が、またああいう最高のステージに綺麗に咲くんですの!」
「あはは、ありがと」白石麻衣ははにかむ。
「ま、まちゅ、さん。なな、せさん……」比鐘蒼空はがちがちと硬直しながら二人に語りかける。二人は比鐘蒼空の発言に気が付いた。「おいら、お二人の、神、推しです……。ひ、ひかねそらと、いい言います………。よろしく、です……」
「知ってます」西野七瀬ははにかむ。「よろしくです」
「えーなぁちゃん知ってんのやぁ?」松村沙友理はにこやかに、それから比鐘蒼空を見つめた。「比鐘、さん? えーまちゅのファンなん?」
「はあは、はい!」
「嬉しい~。ありがと~」松村沙友理は口元を隠すように握り拳を二つ揃えて、可愛らしく小首を傾げた。「好きなん?」
「待った待ったまっちゅん!」磯野波平はたまらず立ち上がる。「サービスがすぎるぜ~、そのぐれえにしないとこいつ気絶とかすんぞ……」
「え、そうなん?」松村沙友理はにやける。
 比鐘蒼空は、荒い呼吸を必死に整えていた。
「でもさ~、すっごいメンツが今日集まってるんだね~」来栖栗鼠は笑みをこぼして言った。「まいやんにぃ、まっちゅんにぃ、なぁちゃんにぃ、かずみんにぃ、生駒ちゃんにぃ、まりっかさんにぃ、いくちゃん!」
「飛鳥ちゃんもあっちにいるしな……」天野川雅樂が補足した。
「ええ!」宮間兎亜は驚愕の声を上げた。「飛鳥ちゃん来てるの何処に!」
「カウンターにいるよ」白石麻衣は眼を笑わせて言った。
「そうなんですか!」宮間兎亜はその場を立ち上がった。「ちょっと、あたい、そっち行ってきます……」
「まあ~、いいライブだったんじゃない?」生駒里奈はききっと笑った。
「うん……。まさか、また乃木坂に戻れるとは、思ってもなかったから……」伊藤万理華は真面目の表情で呟いた。
「またやりたいねえ? 何年後? また十年後?」白石麻衣はふざけて笑った。
「十年後~、私いくつだ?」松村沙友理は考えないように、笑った。
「いい経験だった。それこそ感動もしたしね」生田絵梨花は満足そうに言った。
「うん。出る前ドキドキした……、でもぉ、楽しかった」西野七瀬はにこやかに微笑んだ。
「一生涯……。忘れる事のないステージでござった……」姫野あたるは満面の笑みで、そう言った。


  二千二十二年六月七日 ―完―