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僕はきっと、この日を忘れない。

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「ふふん。ありがと」掛橋沙耶香は笑みを浮かべた。
「ゆんちゃん、ゆんちゃんの周りだけお皿が綺麗に並んでる」風秋夕はにっこりと笑って、柴田柚菜を見つめた。「しっかりさんなんだね、ゆ~んちゃん」
「ふっ」柴田柚菜は吹き出した。
「イナッチ、ご飯はいらないんですか?」遠藤さくらは、不思議そうに稲見瓶を一瞥して言った。「焼肉で、ご飯は食べない人? ですか?」
「うん」稲見瓶は遠藤さくらを一瞥して、薄く微笑んだ。「頼みそこねたよね」

       7

 乃木坂4610thバースデイライブまで残すところ後一週間といった今日この頃、今夜の〈リリィ・アース〉には珍しく白石麻衣が訪れていた。
 彼女を偶然迎えた乃木坂46ファン同盟のメンバーは、風秋夕、稲見瓶、磯野波平、姫野あたる、駅前木葉、天野川雅樂、来栖栗鼠、御輿咲希、宮間兎亜、比鐘蒼空、の十人全員であった。
 十一人は地下二階のエントランスフロア、その東側のラウンジに在るソファ・スペースにて寛いでいる。
 初めて間近に見る本物の白石麻衣の美しさに、乃木坂46ファン同盟の半数は機能していなかった。
 地下二階のフロアには、現在チャーリーの『カモン』が流れている。
「ディズニーにまいやんがいるって、もう、ヤバくない?」風秋夕は笑った。「これ以上可愛いものって何? なんかある?」
「楽しかったよー」白石麻衣は緊張気味に微笑んだ。乃木坂46ファン同盟の新メンバーとは今日が初対面である。「プライベートだからね」
「不思議な事に気付いたんだ」稲見瓶が言った。皆が注目する。「ディズニーでのまいやんなんだけど、サングラスとマスクをつけてても、美しい事がわかった……。まあ、ミッキーの手も頭につけてたけどね。ちなみに、戦利品の獲物を干したり紐を通したりして首や頭に飾るのは、部族やネイティブインディアンの特徴だね」
「インディアンと一緒にすんじゃねえ」磯野波平はソファにふんぞり返って言う。「まいやんよぉ、いつ頃ぉ、籍入れっか?」
「百年早いよ」白石麻衣は苦笑してコーヒーを一口飲む。「てか、何? 人数増えたね!」
「自己紹介はさっきしたよね」風秋夕はにっこりと笑った。「乃木坂をこよなく愛する新人五人衆だよ。まいやんの事、神推しの子もいるんだ」
「え!」白石麻衣は一瞬だけ眼を大きく見開き、集団の中から探す。「誰……」
「わたくしです」御輿咲希は、照れ笑いを浮かべながら、小さく挙手した。「もう、まいやんが好きで好きで、たまらなくて、毎晩考えるんですの。まいやんはもう寝たかな~、て……」
「あっはありがとう」白石麻衣は輝かしい笑みを浮かべた。「凄い、綺麗だね」
「わたくしなんか」御輿咲希は首を振る。「でも、まいやんに言われた事は一生の誇りにして、落ちぶれないように美容に気を付けますわ」
「カレー毎日作るからよ~、なあいいだろぉ? まいや~ん……」磯野波平は白石麻衣に顔をしかめる。「カレー好きだろぉ?」
「え、うん好きだけど……、毎日は嫌ぁ……」白石麻衣は磯野波平の方を見ない。
「あの、マイチャンネル一日中観てる奴がいるんすけど……」天野川雅樂が言った。
「嬉っしい」白石麻衣はそちらを一瞥する。「誰、どなたですか?」
「こいつっす」天野川雅樂は、来栖栗鼠の背中を叩いた。「まー、俺も、なんすけど」
「はーい。僕だよまいやーん」来栖栗鼠はにこやかに微笑む。「マイチャンネルがユーチューブで一番か二番に面白いよー!」
「えーありがと~う」白石麻衣は笑った。「未成、年?」
「うん、十九だよ」
「二十二す」天野川雅樂はついでに言った。「俺は夕さん達とタメっす」
「わっかい」白石麻衣は苦笑する。「私が一番お姉さんだね、たぶん」
「まいやんぐらいの年頃が、なんだか一番可愛らしいでござるな~」姫野あたるはにっこりとした笑みを浮かべて言った。「小生はもうじき二十八でござるが、まあまいやんと同じぐらいの歳でござるな。とっても、可愛いでござるし、真の意味でも美しい年頃に入る時期でござるな」
「大人になりすぎないでほしいんですの」御輿咲希は切なさそうに言った。「今のままの、昔っからのまいやんのままで、いてほしいんですの」
「オッケー」白石麻衣は笑顔になる。「イーサン早くぅ!」
 恐れ入ります。畏まりました――と電脳執事のイーサンが応答した。
 間もなくして、皆のオーダーした品々が届いた。白石麻衣のオーダーは、生クリームたっぷりのショートケーキである。
 地下二階のフロアには、エリーシャ・ラバーンの『アイム・ノット・ドリーミング』が流れている。
「ALP(アルプ)のシルバーリング持ってる人いる?」風秋夕は口元をにやけさせた。
「従妹にプレゼントしたよ」稲見瓶は答えた。
「えー、ほんとに?」白石麻衣は微笑んだ。「ありがと~」
「俺は会社に行くときつけてるよ」風秋夕は白石麻衣に頷いた。「シンプルなデザインので、ふとめだから、男でも使いやすいやつ。人差し指につけてる。だいぶ前に購入したやつね」
「ふん!」磯野波平は注目を浴びてから、前髪をかきあげた。フープピアスをつけた片耳があらわになる。「ALP(アルプ)だわい!」
「こういうところが、やっぱり僕らより強いよね~」来栖栗鼠は悔しそうに苦笑した。
「なーみ平君、そ~うなの~?」白石麻衣は眼を見開いて驚いている様子であった。
「後はティンティンに付けたかったんだけどな! があ~っはっはあいにくサイズが無くってなあ~! があ~っはっは!」
 白石麻衣は困った笑い眼で風秋夕を一瞥してから、黙ってコーヒーを飲んだ。風秋夕は白石麻衣に眼を瞑って、首を横に振っていた。
 それから間もなくして、東側のラウンジに西野七瀬が通りかかったのであった。
 無論、西野七瀬は呼び止められ、現在、この談笑会に参加している。
 地下二階のフロアには、アラウンド・ザ・ウェイの『リアリー・イントゥー・ユー』が流されている。
「なぁちゃんとまいやんだよ、みんな。どうよ、感想とかある?」風秋夕は楽しんで皆に言った。「感想文十枚書けちゃうだろ?」
「すっげー……」天野川雅樂は、ほとんど絶句している。
「そうね~、確かに歴代で最強に数えられるお二人よね~」宮間兎亜はまじまじと二人を見つめて言った。
「アサヒ・スーパードライ! 呑ませていただいておりますわ」御輿咲希は二人に微笑みを浮かべた。「お二人のCMがまた、爽やかで、普通不可能な清潔感がありますの!」
「興奮してつばとか飛ばさないでね、御輿さん」来栖栗鼠は微笑みながら言った。
「何ですの、何か問題でもありまして?」
「ないよー。ただ、なぁちゃんの孤狼の血レベル2を観返したら、やっぱり怖くて眠れなくなっちゃったって話~」来栖栗鼠は笑った。
「あー、あはあ、うん。ちょと怖い、かもね」西野七瀬は苦笑した。
「蒼空、お前なぁちゃん神推しだろ?」風秋夕は面白がって比鐘蒼空に言った。「さあ、念願のなぁちゃんだぞ……」
 比鐘蒼空は、赤面して、何もしゃべれずにいた。それを儚げに西野七瀬が見つめる為、更に比鐘蒼空は緊張(愛情)を増して固まった。
「な、七瀬たん、ぽぽ、ぽっくんは、毎晩七瀬たんを想像して、ハアハア言ってます」磯野波平は声色を変えて言った。