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僕はきっと、この日を忘れない。

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「美月、筋肉マッチョが好きだって言ってたよねぇ?」向井葉月が言った。
「え。うん」山下美月は微笑む。「好きだよ?」
「来たよ、マッチョが」
向井葉月は店内の出入り口を指差していた。自動ドアの前には、磯野波平と稲見瓶、風秋夕、姫野あたるの姿があった。
「波平君は、ほら、かっきーのものだから……」山下美月は悪戯(いたずら)に微笑む。「手ぇ出しちゃ悪いじゃん?」
「ちょー!」賀喜遥香は過剰に笑顔で嫌がった。「美月さん、意地悪しないで下さぁい」
「せーらさん、お、食ってっか?」
 磯野波平は躊躇なく、入り口から最も近いテーブル席にて脚を止めた。
「たこ焼き~」
「そっか。たこ焼き作りの名人、つったら、俺だかんな。じゃ籍だけ、入れっとくか? なあ?」磯野波平は優しく言う。「たこ焼きいっぱい食わせちゃるぞ!」
「え、えぇ?」早川聖来は苦笑する。「いやぁ、大丈夫」
「今日は聖来ちゃんか」山下美月は呟いた。
「このナンパ野郎~!」梅澤美波は磯野波平を威嚇する。「四期はやめなさい、せめて一期二期三期にしなさいよ~」
「いっぱぁい食ぁべる君が好っき!」磯野波平は歌って、梅澤美波をハンサムに見つめ直した。「梅ちゃん……。君の名は美貌(びぼう)、俺は元貧乏。でも今は金持ち。結婚、しようぜ?」
「しないよー、もう!」
 一方、隣のテーブル席には、稲見瓶と風秋夕と姫野あたるが脚を止めていた。
「矢久保ちゃん、なに、焼肉派?」風秋夕はにこやかに矢久保美緒にきいた。
「えー、別に。好きですよ」矢久保美緒は笑みを浮かべてそう答えてから、林瑠奈を指差した。「林~、そーの肉、私が育ててたんだよ! あ~璃果!」
「知ってる知ってる」林瑠奈は旨そうに肉を食らう。「知ってて食べてるからね」
「うん」佐藤璃果も美味しそうに肉を食らう。「知ってる」
「あ~ずる~い!」矢久保美緒は悲痛に叫んだ。
「さくちゃん達は焼肉か」稲見瓶は遠藤さくらに話しかけた。
「はい」遠藤さくらは、輝かしい薄い笑みを浮かべた。「向こうの席のみんなが、好きな食べ物で、こっちは、焼肉チームです」
「お邪魔していいかな?」稲見瓶は微笑む。
「どうぞ」遠藤さくらは、少しだけ横にずれて席をあけた。
「なおの事今見ました?」弓木奈於は姫野あたるを見上げた。「今見てました?」
「悠理ちゃんのひっくり返したお肉を、食べたでござるな」姫野あたるは笑った。「見てたでござる。衝撃的瞬間を」
「えーうそぉ?」北川悠理は大きな瞳をぱちぱちとする。「あーほんとだー、無くなってる~」
「えへ」弓木奈於は微笑んだ。「美味しく頂きました。さぁちゃん、食べてる?」
「ん? うん。食べてるよ」掛橋沙耶香は微笑む。「お米が美味しい……」
「お米!」弓木奈於は眼をむく。「おいっしいよねー!」
「お米はね、久保ちゃんがオールナイトニッポンで紹介してたお米なんだよ」風秋夕がにこやかに説明した。「なんてブランドだっけな……」
「ホルモンが好き」清宮レイは網の上にホルモンをどんどんと並べていく。「みんな食べていいからね」
「えホルモン、……ここの、美味しい?」筒井あやめは恐る恐るで清宮レイにきいた。
「超美味しいよ!」清宮レイは笑顔になる。「なんかね、新鮮! ま新鮮なのかどうかわかんないけど、とにかく美味しい」
「えー、食べるー」筒井あやめはホルモンを見つめる。
「お松、何が一番美味しい?」掛橋沙耶香は松尾美佑に言った。
「え、名前とかわかんない」松尾美佑は苦笑した。「やわらかいやつ……。この、厚いけど、柔らかいやつがさっきから美味しい」
「シャトーブリアンだね」稲見瓶が教えた。
「麗乃ちゃんこっちなんだ?」風秋夕は可笑しそうに中村麗乃に言った。「四期に混ざって焼肉、可愛すぎる~。そ~んなに焼肉気分だったの?」
「も~う焼肉しか勝たん」中村麗乃は笑った。
「はーいやんちゃん、はいお肉焼けたよ」黒見明香は微笑みながら、金川紗耶の皿に肉を取り分けた。「こげちゃうから」
「お、えあ、ありがと。えーこんなに?」金川紗耶は何やらを検索していたスマーフォンから顔を上げて驚いた。「わっ。いっぱい食べよ~!」
 店内を賑わせていた楽曲が、ブラックボーグ・サウンドシステムの『ファースト・カー(ブラックボーグ・リミックス)』に変わる。
「この曲さ、ファースト・カーって曲なんだけどね、海外のたくっさんのアーティストがこのファースト・カーの原曲をサンプリングしてカバーしたりしてるんだけど、このブラックボーグのファースト・カーがいっちばんいいんだよ~」
 風秋夕はご機嫌で饒舌(じょうぜつ)に語ったが、「ふうん」と唸って聞いている者は金川紗耶と黒見明香だけであった。
「ゆんちゃん殿も、今夜は焼肉気分でござったか?」姫野あたるは柴田柚菜に言った。
「そ~う! もう焼肉食べたくて、ここに来た」柴田柚菜は天使のように微笑んだ。姫野あたるはドキドキする。「ダーリン達も座りなよ~……。はじっこ座れるでしょ?」
「おお……、そうでござるな。これはこれは、ありがたい」
「わ~お、ミュウちゃんと矢久保ちゃんの隣だ、やったね。お邪魔しまーす」
 姫野あたると風秋夕は、あいていた席に腰を落ち着けた。
「このタレって……」稲見瓶は、カルビをタレに付けようとして、止まった。風秋夕の方を見る。「設楽さんのタレ?」
「そう、よく見抜いたな」風秋夕は無邪気に笑った。「これが一番美味しいからな~。イーサン、特上カルビと特上ザブトンと、特上ハラミ、特上サーロイン、特上シャトーブリアンと、タン塩、十人前ずつ、至急お願いね~」
「あ、白米を一人前も、お願いするでござるよ、イーサン」
 畏まりました――と、電脳執事のイーサンのしゃがれた老人の声が応答した。
「しゃくちゃん、美味しい?」風秋夕は笑顔で遠藤さくらにきく。
「美味しい」遠藤さくらは純粋な美少女の笑顔を浮かべた。
「林、今焼肉でラップいける?」北川悠理は林瑠奈に笑みを浮かべた。
「えー、今?」林瑠奈は困ったようにやける。「いや、やめとく」
「ゆりもやめときます」北川悠理は微笑んだ。
「じゃ美央ちゃん、あげる」佐藤璃果は矢久保美緒に肉を提供した。「貰ってばっかりだから」
「あ~んありがと~う」矢久保美緒は嬉しがった。
「レイちゃん、ホルモン……いってみるね」遠藤さくらはホルモンを物色する。「え、どれがどれだろう……」
「どれも美味しいよ!」清宮レイは屈託なく微笑んだ。「脂っこいから気を付けてね」
「はぁい……」遠藤さくらは、勇気を出してホルモンを取ってみる。
「みっちゃんおしんこ、貰っていい?」黒見明香は手を伸ばす。「ごめん、ありがと~」
「あ、おしんこ、追加する?」松尾美佑は黒見明香を見つめる。「もうそれしかないかも」
「奈於ちゃん」黒見明香は弓木奈於をにこやかに見つめた。「どうすればいいと思う?」
「え、頼んじゃおうよ」弓木奈於は躊躇(ためら)いなく答えた。
「さぁちゃんは本当に、可愛い人でござるな」姫野あたるは胸をドキドキさせながら、掛橋沙耶香にうっとりとした視線を向けた。「最初の体力測定の時からの印象とは、ずいぶんと違って、実に落ち着いているでござる……。そんなさぁちゃんも大好きでござるよ」