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恐竜の歩き方

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『大好きな憧れの女性が、乃木坂46を卒業されました。私はいつも、引っ込み思案で、ライブ中も卒業を控えた先輩を遠くから見守る事しかできない。モニターも遠くからしか見れない。私何てって言葉、何年も使わないようにしていたけど、そんな私です。なのに、なのに、ライブ前私を見つけるなり、ぎゅっと抱きしめてくれた樋口さん……。自分でもびっくりしたのだけど、その時出た言葉は『こんなにも大好きな感情が溢れて、送り出せる事が嬉しいです』って言葉でした……。本当に、人間として、女性として、先輩として、尊敬してやまない先輩です。3期生一同、何度も助けられてきましたし、我々には珠美がいたので、珠美が喜んでいると、私達みんなで喜ぶぐらい、それもまた不思議な話なのですが、ふふふん。なんだか二人の心のやりとりを少し近くで見守る事ができた事で、更に樋口さんの素敵さを知ったような……。伝えたい事が多すぎて、伝わり切らない。本当に、幸せでいて欲しいです。いつまでもずっと。大好きです……。ちゃんと伝えられたか不安だけど、こんな私をずっと見ていて下さり、下さって、見てくれている人っているんだなって思わせてくれたのは紛れもなく樋口さんでした……。思いのままにしゃべったけど、もっとしゃべりたいぐらい……。大好きな先輩へ。11年間、本当にお疲れ様でした。大好きです』

 樋口日奈は笑顔で、目尻を指先でぬぐう。
 続いて大型ディスプレイに映ったのは、私服姿の、矢久保美緒であった。
 樋口日奈は、真剣な眼差しで、大型ディスプレイを見つめる……。

『昨日はありがとうございました。沢山学ぶ事があってよい時間だったと思います。日奈さんは、やっぱりどこまでも優しい方でした。キラキラしてたなぁ~かっこよかったなぁ~……。見送る事ができて幸せでした。……ひなちまあやさんの孤独兄弟、ほんとにほんとに感動した! 泣きながら見てました! 日奈さんとまあやさん、お二人の存在は乃木坂にとってかけがえのないもので、後輩ながら図々しいけれど、どうか幸せであってほしい方々なんです』

 樋口日奈は「みお~……。なぁにこれ、ダメだよほんとぉ~」と笑っていた。
 大型ディスプレイに、私服姿の、山下美月の姿が映し出される。

『はい。昨日の樋口さんの卒業セレモニー、アンコールのみの参加になってしまいましたが、終わってからお話しできました。うふふ、とっても美しいお姉さまです。私もがんばろって思った。本当にご卒業、おめでとうございます』

 樋口日奈は大型ディスプレイを見つめながら、美しく微笑む。
「え~なに~、みんなこれ何に使われるか知ってて撮ってるの~? なんかさっき、知らない子もいたよねえ?」
 風秋夕は無邪気に笑う。
「とりあえずカメラだけ、メンバーにリレーしてもらうように渡しといたんだよ。ひなちまに一言、とだけ伝えてね」
「ん~、ずぅるい……。感動するよぉ、これはぁ……」
 樋口日奈はまた、どんどんと入れ替わっていく大型ディスプレイの中のメンバーを見上げる。
 大型ディスプレイには、私服姿で、照れ笑いを浮かべた、清宮レイが映っていた。

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『泣いてしまう弱い私をも、許してくれて……、大きな愛で包み込んでくれる方でした……。大好きという言葉では足りないほど、とても大きな存在です。幸せになってほしいな』

 大型ディスプレイに、私服姿の、満面の笑みを浮かべた岩本蓮加が映し出される。

『ずっと大好きなんだ!』

 風秋夕は、左手で頬杖をついて、樋口日奈に笑みを向ける。
 樋口日奈は次々に入れ代わり立ち代わるメンバーの樋口日奈の卒業へと贈られたコメントを聞き入るように見つめている。
「ひなちま……」
 樋口日奈は、ふいに風秋夕の方を見つめた。
「卒業、おめでとう」
「あぁりがと~」
 稲見瓶の、樋口日奈を呼ぶ声が聞こえた。
 樋口日奈は振り返る。
 稲見瓶は、微笑んでいた。
「本当に、お疲れ様でした、凄い、なんていうのかな……。凄い11年間だったよ。卒業、おめでとうございます」
「イナッチ~、ありがとう!」
 磯野波平はこちらを向いている樋口日奈に、右手で頬(ほお)杖(づえ)をついて、にやけづらで囁(ささや)く。
「とにっかくさあ、この先も、ずっとよろっしくな! ひなちま! 卒業おめでと~な」
「ありがとお!」
 姫野あたるも、こちらを向いている樋口日奈に、磯野波平に続いて笑顔と言葉を贈る。
「小生はいつまでもひなちま殿の大ファンであり、理解者でいるでござるよ。つまづいた時は、小生の肩を貸すでござる」
「つまづいてばっかなんはおめえだろうが……」
 磯野波平のしらけづらの言葉に、姫野あたるは大きく声を上げて笑った。
「卒業! おめでとうございますでござるよ! ひなちま殿~っ!」
「ん。ありがと。ダーリン……」
 笑顔を向けている樋口日奈に、駅前木葉も笑顔で言葉を贈る。
「ひなちまさん、ご卒業おめでとうございます……。私、ひなちまさんと、お友達に、なれるでしょうか……」
 樋口日奈は、にっこりと笑った。
「ライン、交換しよ?」
「はい!」

脚本・原作・執筆・タンポポ

 樋口日奈は、その顔に優しい女神のような笑みを浮かべる。
 大型ディスプレイには、私服姿の、涙ぐんだ阪口珠美が映し出されていた。

『日奈さんがいなかったら、今の私はこのグループにいなかったかもと思います。珠美の人生を変えてくれた方です……。12歳の夏、初めて握手をしてもらった時の衝撃を、今でも鮮明に憶えています……。ひまわりのような笑顔で、小さいお顔と可愛い声で『嬉しいー! ありがとー!』と言っていたお姿は、それはそれは……、アイドルってこんなにもキラキラしていて可愛いのか! と衝撃的でした……。加入後も、ひまわりのような笑顔で優しく抱きしめて、話しかけて下さいました。そんな加入前から憧れていた先輩と、4曲一緒に活動させて頂いた経験や思い出は、私の一生の宝です……。こんなにも私の事をわかってくれて、いつも心配事を解決に導いてくれる、ほんとにリアル女神様です……。日奈さん、一生大好きです! ご卒業、おめでとうございます!』

 樋口日奈は、涙を浮かべて笑っていた。大型ディスプレイの音声を聞き取りやすく調節されたボリュームで、〈BARノギー〉の店内には、乃木坂46の『乃木坂の詩』が、その軽快なメロディを奏で始めていた。



    2022年11月10日 ~完~
作品名:恐竜の歩き方 作家名:タンポポ