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恐竜の歩き方

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『私は、こういう発言の場を頂いても、自身がないところを見せてしまったり、後は、頼りないところも沢山あると思うし……――』

 賀喜遥香は、涙を浮かべ、声を詰まらせる……。
 温かなファンの拍手が、彼女を支えていた――。

『でも……。思う事もあるけど、これからの乃木坂46を作っていく一人になりたいなと思いました。本当にありがとうございます。本当に、ツアーをやってきて、へなへなしたところが多かったかもしれないけど、この夏の間支えて下さった皆さん、応援して下さった皆さん、ありがとうございました。そして、貴重な、かけがえのない経験をさせて下さって、本当にありがとうございました――』

『改めて……、言わせて下さい……――。私は、本当に、この愛の詰まった乃木坂46が大好きです――』

 オーディエンスからの盛大な拍手がわき上がった――。

『メンバーも好きだし、ファンの皆さんも大好きだし、スタッフの皆さんも大好きだし、もう、乃木坂っていう言葉知ってる事だけでも大好きだし、もぅ……、衣装さんも大好きだし、もう、もうここにいる人みんな大好きです。もう本当にありがとうございます……。そんな大好きな気持ちと、感謝の気持ちを、次の曲に乗せて、皆さんにお届けできたらなと思います……――』

 それでは、最後の曲聴いて下さい……。

『君に叱られた』――。

 賀喜遥香のセンターで『君に叱られた』が始まった――。彼女達は歌い、踊り、微笑み、泣いている……。打ち上げ花火が炸裂する――。この夏に花開いた、夜に咲く打ち上げ花火……。それは歴史を形作る彼女達を鼓舞するかのように美しく、盛大に発破する。

「こっこで、来るかぁ、気に叱られた!」風秋夕は、ひとりでに走った鳥肌に、口元を笑わせた。「かっきーーーーっ‼」
「ここで……」稲見瓶は驚愕している。「そういえば、かっきーには君に叱られたもあったね!」
「君しか来たなぁーー‼ かあっきぃあああーーーーっ‼」磯野波平は狂ったように大声を叫び散らす。
「来た来た、世界最強に可愛い曲ぅ~!」来栖栗鼠は、跳び上がって大喜びした。
「かっきーーー‼」天野川雅樂は、涙を浮かべて叫んだ。
「凄い、なんで、かっきーは、こんなに感動するんだろ……」比鐘蒼空は、涙をぬぐって囁いた。
「かっきーーーー!」御輿咲希は涙ぐんで叫ぶ。
「やだ、感動して、叫べないじゃん……」宮間兎亜は、泣きべそを浮かべながら囁いた。
「小生は忘れぬっ、この偉大なる感動をっ‼ これこそが生きる実感であろう!」姫野あたるは、涙をそのままに、叫ぶ。「かあっきー――――っ‼」

 皆さんありがとうございました――。キャプテンの秋元真夏が、花火師が造り、打ち上った花火が460発であった事を教えてくれた。
 皆さん本当に、ありがとうございました――と、その言葉を連呼して、乃木坂46は笑顔のままで、ステージを後にする。
 最後、賀喜遥香が、大きな笑顔で『ありがとうございました――』と深く一礼をして、ステージから見えなくなった。

 クラップが自然発生する。
 それは鼓動のように、止まらない。
 まるで生き物のように、意図ある行為。
 何かを強く求める意思。
 そう、オーディエンスは知っている。
 一度幕を下げた彼女達が……、
 再びその幕を上げるその瞬間を――。

 クラップ。クラップ。クラップ。
 クラップ。クラップ。クラップ。

 伝説は、まだ終わらない……。

 とりんぎょが歌いながらナレーションを開始した……。正体は齋藤飛鳥である。とりんぎょはお友達を呼ぶ――。梅澤美波と久保史緒里と与田祐希がステージに登場した。
 とりんぎょは自身が人気を博し、グッズ展開をしていると告白する。与田祐希がそれに頷くと、とりんぎょが『観てるよ、量産型リコ!』と発言し、与田祐希は量産型リコの最終回を堂々と番宣した。
 とりんぎょは『好きというのはロックだぜ!』とか言いながら、全然好きが足りないと言い出し、与田祐希、梅澤美波、久保史緒里と、三人に一人ずつ『好き』を言わせていった。最後にはナレーションの秋元真夏(あきや)に『好き、ズッキュン! みーきゅんきゅん!』をやらせた。
 とりんぎょは、突然、星に帰ると言い出した――。山下美月が突然に登場し『そんなのやだよ~!』と叫び『このコーナーの、一番の功労者って、私のはずなんだよね……』と呟き、泣きまねをして叫んだ。『なんで神宮では出番がないんだよ~~!』と――。
 とりんぎょは山下美月に、とりんぎょの声(音声の変換マイク)を渡した。山下美月は変わり果てた声に苛立ちを露(あら)わにして、とりんぎょを『おい、鳥。おい小顔の鳥。おい、小さい鳥』などと悪態をつき、結局、とりんぎょに声を返した。更にとりんぎょは、唐突に『みんな、ありがとう、さようなら~! バ~イバ~イ!』と叫び、何処にあるのかも不明確な星へと帰っていった。
 なぜか、与田祐希がとりんぎょの最後を嘆き、その後、冷静に戻って、とりんぎょの最後をナレーションした。そして、アンコールの開幕を告げる――。

「よっしゃ最後だみんな、盛り上がって行こうぜぇ‼」風秋夕は強い笑みで叫んだ。
「声を出して行こう!」稲見瓶は叫ぶ。
「部活みてえだなお前の言い方ぁ、があ~っはっは!」磯野波平は笑う。
「雅樂さん来るよ来るよっ!」来栖栗鼠は、全身に走った鳥肌を心地良く感じる。
「おっし、むっちゃくちゃ盛り上がろうぜ来栖ぅ‼」天野川雅樂はにやけた。
「ラストスパート! 比鐘殿、命がけで頼むでござる‼」姫野あたるは微笑んだ。
「はいっ!」比鐘蒼空は真剣に声を返した。
「いっくわよ~~!」宮間兎亜はにんまり、と笑った。
「キャ――美月ちゃーーーーーんっ‼」御輿咲希は悲鳴を上げた。

 山下美月のセンター曲『好きになってみた』が始まった――。黒のツアーTシャツと黒のスカートで、会場中に広がりをみせる乃木坂46……。カニやタコやイルカのトロッコに乗り込んで。ズッキュンをプレゼントしたり、キス顔をプレゼントするメンバー達。手を振り、ファンへの笑顔を絶やさない。
 久保史緒里のセンターで『ダンケシェーン』が始まる――。イルカのトロッコに乗り込んだメンバー達は大きくオーディエンスに手を振り続ける。ステージ上では、和田まあやに抱きしめられた井上和が泣いていた。齋藤飛鳥と遠藤さくらは互いに手を繋ぎ合っていた。
 最後――。ステージに集結した乃木坂46は、秋元真夏の『やっぱ乃木坂だな!』の声に、元気よく『だな!』と決め、その楽曲を終了とした。
 秋元真夏が挨拶をし――、梅澤美波にツアーの感想を聞いた。
 梅澤美波は笑顔でツアーを振り返る。

『走り切りましたね~! 7都市今年は回らせて頂いて、個人的には副キャプテンになって初めての全国ツアーだったので、メンバーのみんなを観察する時間を増やしたりしていたんですけど、みんなの良さを知っていたつもりだったけど、それ以上にどんどん、いい部分が見えてきて。それを私は、責任をもって色んな人に伝えていきたいなって思いました』
作品名:恐竜の歩き方 作家名:タンポポ