二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ズッキュン‼‼

INDEX|35ページ/36ページ|

次のページ前のページ
 

 確かにそうだった。俺の『好き』とは、ひとりよがりそのままだ。
 だけど、乃木坂がいて、初めてできるひとりよがりでああり、それは、そこでずっと輝いてくれるまなったん達がいたからこそ、芽生えたプロセスなんだ。
 これからも俺は、まなったん、君を好きだろう――。止める事はできないよ。
 だってそれは、すでに、俺のひとりよがりなんだから。

 稲見瓶は、深く深く、感謝の意を込めながら、秋元真夏の笑顔にお礼を口ずさみ、頭を下げる。鼻先から、大粒の涙が垂れ落ちていった。

『僕たちのサヨナラ』を、秋元真夏のセンターで歌う――。秋元真夏へと寄り添うようにして、抱き合い、入れ替わっては、また寄り添う乃木坂46のメンバー。
 メンバーのアーチをくぐっていき、手と手を合わせていく……。涙するメンバーの肩や頭をさすり、優しく受け止めていく秋元真夏……。
 背景には、大宇宙が広がり――。会場はピンク色のサイリュウムに染まる――。
 大宇宙の中心に、ピンク色の光星が輝いていた……。

 『二度目のキスから気を付けろ』が秋元真夏のセンターで始まった――。手を振り、会場の外周をピンク色のロングドレスでゆっくりと歩く秋元真夏に、光芒のように連なり、歩く乃木坂46……――。
 秋元真夏は、楽曲が終了したのちも、外周を歩く……。
 やがて、メインステージに、秋元真夏は立った。
 秋元真夏へと、涙を浮かべた5期生の菅原咲月が、メッセージを贈る。菅原咲月はこれからへと続く強い決意の意志を語った。
 4期生の賀喜遥香から、秋元真夏へとメッセージが贈られる。笑顔で語り始めた賀喜遥香であるが、途中から堪えられぬ涙を浮かべて、計り知れぬ感謝の念を伝えた。
 5期生、4期生共に、『お疲れ様でした』が告げられる。
 最後は、3期生の久保史緒里が、涙を浮かべながら、秋元真夏との思い出と、秋元真夏への深い感謝と、秋元真夏から受け取った温かな情愛を語る。
 秋元真夏は口元を手で隠して、嗚咽を上げていた。

『11年間、お疲れ様でした。そして、本当に、卒業おめでとうございます――』

 秋元真夏から、メンバー1人1人に、手紙を書いてきたと告げた。
 代表して、秋元真夏は、梅澤美波への手紙を読み上げる――。

 次の曲で、乃木坂46として最後の曲です――。と伝える途中、秋元真夏は最後まで秋元真夏らしく、ユニークに、可愛らしく言葉を噛んだ。

 これまでの秋元真夏とファンとの歴史がそうであったように、会場は温かく笑った。

 『乃木坂の詩』が秋元真夏をセンターとして、始まった――。メンバーは『ばいばい きゃぷてん』というロゴのTシャツと黒いスカート姿になっていた。紫一色の会場――。

 秋元真夏は笑顔で言う。

『11年間本当に、ありがとうございました‼‼――』

 梅澤美波は言う。

『真夏さん、改めてご卒業おめでとうございます‼‼』

『横浜アリーナの皆さん、そして、配信を見守っている皆さんのハートにぃ――』

 ズッキュン‼‼

 会場が胸を痛がって、その膨らんだ愛情を破裂させるように、歓声を上げた――。
 風秋夕は、撃ち抜かれた胸に手を当てて、その涙を流していく……。

 夜もすがら、君をゆっくりと思い出していきたい……。今日と明日は、とりあえずそれですっかり埋まりそうだ。
 最後の一期生。それは、同時に、俺にとっての、最初の乃木坂の、最後の1人という意味になる。
 2期にも、3期にも4期にも、そして5期にも、恋をしたのは本当で。それは真実なんだけどね。
 1期生は本当に、特別な存在で……。まだろくすっぽ恋さえよくわかってない俺に、人を好きになるという強さを教え、与えてくれた最初の人達なんだ。
 そんな人達の中の、最後の一人である君が行く事を、俺は恐れたりしない。悲観もしない。そして、引きとめたりもしないから……。
 だから、最後にもう一度、見せてくればいかな……。
 その可愛らしい、11年間変わる事のなかった、笑顔を――。
 さあ、君の順番が来たね。かつて乃木坂だったみんなが行った道のりだ。
 卒業式だ。
 卒業式には、花束と、おめでとうを贈る――。
 それがどんなに過酷な別れでも。それがどんなに、引き止めたい相手だとしても。

 風秋夕は、ぎゅっと強く眼を閉じたまま、肩を激しく嗚咽させながら、涙をほっぺたへと落としていく……。

 卒業には、笑顔と花束と、おめでとうを――。
 11年間、ありがとうな、まなったん。
 1ミリも忘れない。
 卒業、おめでとう――。

 風秋夕は指先で両の瞼をふいて、その砕けた笑顔を向けた。楽しそうに微笑んでいる、乃木坂46の秋元真夏へと――。

 『真夏さん 大好き♡』というメッセージカードをかかげるオーディエンスに、泣きべそを浮かべる秋元真夏……。
 ここまで、乃木坂46を支えて下さって、ありがとうございました。
 これからも乃木坂46を、よろしくお願いいたします――。
 乃木坂に入って、みんなに出逢えて、本当に幸せでした。
 皆さん本当にありがとうございました。
 バイバイーー。
 また何処かで会いましょう――。

『バイバ~~イ‼‼』

 秋元真夏の笑顔と共に、その幕は閉じられた――。

 乃木坂――。
 46――。
 乃木坂――。
 46――。

 クラップは、鳴り止まない……。

 終了のアナウンスが流れてもそれは止まらない……。

 クラップ、クラップ、クラップ。
 クラップ、クラップ、クラップ。

 クラップ、クラップ、クラップ。
 クラップ、クラップ、クラップ。

 再度、秋元真夏がステージに戻ってきた。大大大歓声――。

 最後の一曲として、『ハウス!』が流れる――。ピンク色のロングドレスで、オーディエンスに手を振りながら外周を歩き。笑顔を振りまく秋元真夏――。その時間は、今、永遠となる――。

 秋元真夏の背中を追いかけるようにして歩く乃木坂46――。
 メインステージ還った乃木坂46は、秋元真夏と梅澤美波のトークを始める。秋元真夏はダブル・アンコールに感謝した。

 会場は止まらない。
 アンコールの嵐――。
 オーディエンスのリクエストで、『ガールズルール』がトリプル・アンコールの楽曲に決定した。

 『ガールズルール』が秋元真夏、最後の楽曲として開始された――。オーディエンスの超絶特大のコールが場内に、配信に、乃木坂46の歴史に、木霊する――。
 ピンク色一色と染まり果てた会場――。秋元真夏は1人1人を愛しむように、抱きしめていく……。
 オーディエンスに笑顔を浮かべ、手を振り続ける――。

『皆さん本当にありがとうございました! これからの乃木坂もよろしくお願いします‼』

 本日は、ありがとうございました――。伝統である、深々とした一例を残し、メンバーがはけ、そして、大コールの中、秋元真夏は『はけるところを間違えました~』と微笑みながら、『皆さん本当にありがとうございました~‼』『大好きです‼』と、その卒業コンサートと、11年間にも及ぶ乃木坂46としての秋元真夏の人生に幕を下ろした。
作品名:ズッキュン‼‼ 作家名:タンポポ