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恩送り 飛ぶ鳥・飛鳥―2011~2023―

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「そういえば、豚の丸焼き……、懐かしいでござるな? ほら、鉄棒でござるよ」
「ぶらだがってたなあ! があっはっは!」
「かなり初期の頃だなそれ」風秋夕も席に座って、グラスを置いた。切り分けていたステーキと前菜を、齋藤飛鳥の多角的な皿へと載せていく。「あれから、俺達って何歳大人になったなんだ?」
「飛鳥ちゃんさんは、12歳、13歳でしたね、ふふ」駅前木葉は気品良く口元をナプキンでぬぐいながら微笑んだ。「今は24……。私はとうとう、二十代が終わりましたし。そうですね……。これは、ちょっと本当に永い永い、青春の時間だったんですね」
 秋元真夏と生田絵梨花はぎゃーぎゃーと喚(わめ)き散らしながら、齋藤飛鳥への切り分けた料理をどちらのを先に皿に載せるかを争っている。
 齋藤飛鳥は、それを一瞥して、「な~にあんたたちは」と苦笑している。
 中村麗乃は、山下美月に引き連れられて、齋藤飛鳥の斜め後ろで脚を止めて、息を呑んだ。
 山下美月は笑顔を浮かべる。
「よしなさいよ、どっちでもいいでしょうが、けっきょく食べんのは私なんだから~」
「飛鳥さん」
 齋藤飛鳥は背後を振り返った。
「あ、おうおうおう……」
 山下美月は、中村麗乃の肩を押して微笑んだ。
 中村麗乃は、畏まって、その表情に緊張を醸し出していた。
「飛鳥さん、私、…舞台のスケジュールで、ここで全然、会えなかったから……」
「おうおう、へえへえ……、うん。ありがと」齋藤飛鳥は温かな笑顔で、中村麗乃の肩をさすった。「来てくれたのね、ありがと」
「私も来ました」山下美月は己を指差して微笑む。
「はいはい、ありがと」齋藤飛鳥は可笑しそうに笑う。
 山下美月も可笑しそうに笑った。
 続いて集まってきたのは、もじもじとした与田祐希と、向井葉月であった。
 向井葉月は、「ほら、しゃんとせい!」と与田祐希の背を叩いた。
 齋藤飛鳥は、与田祐希に笑顔を向けている。
 与田祐希は、もじもじと、俯けていた顔を上げて、齋藤飛鳥に脆弱な笑みをみせた。
「飛鳥さん……、写真、撮りましょう?」
「なんだよ、写真かよ」齋藤飛鳥は笑う。「何かと思ったよ」
 向井葉月が与田祐希のスマートフォンで撮影をした。そのテーブルに座る皆も、続いて撮影に参加した。
 遠藤さくらは、しゅんとした所作で、齋藤飛鳥の肩をちょこん、と触った。
 齋藤飛鳥は振り返る。
「おう、えんちゃん……、ふふ、どした?」
「あの……、あ、の………。大好きです!」
 次の瞬間、遠藤さくらは真後ろへと、蒼い幾何学絨毯の上を走って逃げだした。齋藤飛鳥はぽかん、としてそれを見つめてから、笑った。
 岩本蓮加は吉田綾乃クリスティーと肩を組んで、齋藤飛鳥の前に登場した。
「お前らメシは食ったのか」齋藤飛鳥は2人に言った。
「メシの前に、なんか、顔見たくなって。だって同じ会場にいるのに、顔見れないなんて、あります?」岩本蓮加はスマートフォンを操作しながら必死に言った。「そりゃ会いにも来ますだあよ」
「飛鳥さんだ~い好き!」
吉田綾乃クリスティーはにっこりと笑いながら、齋藤飛鳥にくっついた。齋藤飛鳥は「よしよし」と、吉田綾乃クリスティーの頭をさすった。
 岩本蓮加がスマートフォンで写真撮影をする中、近寄って来た筒井あやめと清宮レイが、同じくスマートフォンで齋藤飛鳥を撮影し始めた。
「飛鳥さ~ん、笑ってくださ~い」筒井あやめはスマートフォンを構えながら言った。
「えへへ、飛鳥さんとも~、一緒に~、撮りたぁいな、へふふ」清宮レイは屈託なく微笑みながら、小首を傾げて齋藤飛鳥を見つめていた。
「おいおい、こちとらまだメシも食ってないんだよ」齋藤飛鳥はぼそぼそと言った。
 賀喜遥香は、柴田柚菜と同時に、齋藤飛鳥の背中に笑顔で抱きついた。
「わっ‼‼」齋藤飛鳥は腕にうずまったままで驚いた顔をする。「びいっくり、したぁ~~。なにぃ、なんなのぉ~」
 梅澤美波と久保史緒里も賀喜遥香と柴田柚菜の上から、齋藤飛鳥を抱きしめた。
「飛鳥さん大好きぃ!」梅澤美波は眼を閉じて微笑む。
「大好き!」久保史緒里も、幸せそうに微笑んだ。
 齋藤飛鳥は、せっせとそれらをはがしながら、近くにて齋藤飛鳥を見つめて恐縮しながらその場で佇んでいる、井上和と菅原咲月と川﨑桜を見つけた。
「なに……、こっちおいで」
 齋藤飛鳥が優しく手招くと、井上和と菅原咲月と川﨑桜は、嬉しそうにとことこと小走りして、齋藤飛鳥のそばまで駆け寄った。
「飛鳥さん大好きです! ほんとに……、お疲れ様でした、永久に、飛鳥さんの背中を追い続けます!」
 井上和はそう言って、凛々(りり)しく微笑んだ。
 菅原咲月は涙ぐんで、潤(うる)んだ瞳で齋藤飛鳥を見つめる。
「大すぅきぃですぅぅ……、えへ……。さみじい……」
 川﨑桜は、ゆっくりとした口調と笑顔で、齋藤飛鳥にはにかむ。
「私も大好きです………。んふ、飛鳥さんを、見習って……、これから……、んふがんばります」
「ありがと……。がんばれ」
 齋藤飛鳥は大人らしく、優しい笑みで微笑んだ。
 そのテーブルに、5期生と4期生と3期生の集団が集まってきた。
 齋藤飛鳥は眉を顰めて、ぽかんと、口を開けて、笑った。
「みいんな、飛鳥ちゃん大好きだな、はっは」
 風秋夕は笑った。
 齋藤飛鳥は顔をしかめる。
「む~り無理無理……、てか、いっぺんに来られても………。ふふん、ありがと」
 大きな花束をかかえ持った乃木坂46に、齋藤飛鳥は「ありがと。後は任せたぞ」と、慣れ親しんだ風景を見つめる少女のように、純粋な笑みを浮かべた。



  2023・6・14~END~