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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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Chapter1.5 生き残り SKY and others



Phase1 生き残り

 何億何兆の星々が煌めく宇宙空間のような場所。シュウは再びこの世界へと呼び立てられていた。
ーー初めの帝竜を退けたか。戦う力に目覚めた、と言った所か……ーー
 頭に直接伝わるような不思議な声には、最早シュウは慣れ始めていた。
「あなたは一体誰なの? 姿を見せなさいよ!」
 シュウは、どこまでも続く宙(そら)に向かって叫んだ。しかし、答えは帰って来ず、謎の声は一方的に話すだけであった。
ーー次なる帝竜は、雷鳴の竜。果たして来る悲劇に耐えられようか? 汝の選択で救われる生命が増えようーー
「……帝竜はまだいると言うのね……」
 また沢山の犠牲を出しうる戦いが待っている事実に、シュウは辛い気持ちになった。
ーーだが、帝竜の前に、汝に敵対するヒトの存在がある。それらに遅れを取らぬ事だーー
「敵対するヒトって、どういうこと!?」
ーー汝の運命は動き出している。逃げること能わず、ただその力を以て戦うべし……ーー
 謎の声は遠くなり、やがて聞こえなくなった。
「……一体どういうことなのよ……」
 シュウは理解しきれなかった。
    ※※※
 チロチロという音を聞き、シュウは目を覚ました。
「ゆ、め……?」
 シュウは目覚め、殺風景な天井が目に入ってきた。
 チロチロ音は尚も続いた。
『コール十三班』
 音の発生源は、部屋に取り付けられたターミナルからするものだった。
 眠い眼を擦りながら、シュウはベッドから出て、ターミナルまで歩いた。
『やっと起きたのですね』
 ターミナルからの声は、ミイナのものだった。
「あー、おはよー、ミイナ」
『おはよー、じゃありません。ナビを目覚まし時計代わりにしないでください』
「あはは、ごめんごめん……」
『それよりも急いでください。会議の時間はとっくに過ぎていますからね』
「ふえ、会議……?」
『まさか忘れたのですか? 今後のドラゴン対策に向けて、政府の人も交えて会議を行う手筈だったではありませんか』
 寝ぼけた状態のシュウの脳裏に、ありありと記憶が甦ってきた。
「いっけない! リアン、トウジ君! 
遅刻よ!」
『二人なら既に会議室に来ています。遅刻しているのは、あなただけです、シュウ』
「そ、そんな!? なんで起こしてくれなかったのよ!」
『だから私が目覚まし時計代わりになったんです。分かったのなら早く会議室に来てください』
 シュウは、急ぎ身支度を整え、会議室へ向かうのだった。
「遅れてすみません!」
 シュウは会議室へと駆け込んだ。
 会議室ではイヌヅカ総理を始めとする政府の重役。ナツメとキリノ、ミロク、ミイナのムラクモ機関の人間。そしてトウジとリアンが座していた。
「おはようございます、シュウ君。三十六分の遅刻ですが、まあいいでしょう」
 キリノは言った。
「すまんな、四季。一応起こしはしたんだがな」
「シュウちゃんってば、ちっとも起きないんだもん」
 トウジとリアンは、シュウを起こそうとしていた。しかし、いくら揺り起こしても、大声を出してもシュウは起きなかった。そうこうしているうちに会議の時間となり、二人は仕方なしにシュウを置いていったのだった。
「もう、今回だけよ?」
 ナツメが続いた。
「本当にすみませんでした……」
「もういいわ。早く席に着きなさい。キリノ、アメリカとの衛星通信はもう少しで始まるのよね?」
 会議の始まる一時間前にアメリカから通信が入っていた。
「ええ、まもなく来ると思うのですが」
「通信、入りました!」
 マカベ国防長官が告げた。
「僕が繋げます。衛星通信による国家会談を開始します」
 キリノは通信を受け、会談の準備を進めた。
 会議室の大型モニターにアメリカホワイトハウスの一室が映し出された。
「おはよう、日本は今朝だったね?」
 モニターに映った先に姿を表した、恰幅のよい大統領が挨拶した。傍らには金髪で、古風な騎士服を身に纏い、腰には細剣を差した女性が控えていた。
ーーあの女、どこかで……ーー
 ナツメだけは大統領ではなく、側近に目をやった。
「ジャック・ミュラー大統領!」
「久しぶりだ、イヌヅカ総理。まずはこの竜災害の中、こうして再会できた事を喜ぼう」
「世界は今どうなっているのですか!?」
「少し落ち着きたまえ、イヌヅカ総理。少しずつ説明するよ」
 ミュラーは一息つくと、状況説明を始めた。
 現状、世界の主要国はドラゴンの支配下となり、連絡がつかない状態であった。
 唯一EUとだけは連絡が取れたが、EUも崩壊寸前であった。
「何とか生き残る事ができた我々だが、戦力は拮抗している。予断を許さない状況が続いている」
 ミュラーは話を終えた。
「では、アメリカの戦力を日本に! 援軍を要請します!」
 イヌヅカ総理は嘆願する。
「それはできない、イヌヅカ総理。我々の母国を守るのに手一杯なのだよ」
 ミュラーの答えは非であった。
「そんな、では昨年締結した条約は!?」
「イヌヅカ総理。事は今やそのような次元ではないのだよ」
 ミュラーの答えは変わらなかった。
「運がよければまた相見えよう。では」
 通信は切られた。
「何ということだ! 日本の少ない戦力だけでは、とてもドラゴンに対抗するなど不可能に近いというのに!」
 イヌヅカ総理は頭を抱えた。
「イヌヅカ総理」
 ナツメが呼び掛けた。
「ドラゴンは、普通の人間ではとても敵わない事は分かっていますね? しかし、ムラクモ機関は別です。ドラゴンと戦えるのは彼女らS級能力者のみ……」
 ナツメは、シュウに目配せした。
「そこで総理、お願いがございます。目下の目標を達成するためにも、全権を我々ムラクモ機関に委譲してはいただけないでしょうか?」
 状況はもう、政府の人間でどうにかできるものではなかった。故にイヌヅカ総理の答えは一つしかなかった。
「……分かった。我々政界の人間ではなにもできない。君たちの足手まといにしかならないだろう。都庁の全権は君たちに譲渡しよう。好きにしてくれたまえ」
「英断、心より感謝しますわ」
「では我々は出ていこう。君たちの会議の邪魔にならぬようにな」
 イヌヅカ総理は、仲間の議員を連れて会議室をあとにした。
「さて、会議の続きをしましょう」
 イヌヅカ総理らが出たあと、ナツメは会議の進行をした。
「キリノ」
「はい、ナツメさん」
 ナツメは、キリノに発言権を渡した。
「ドラゴン討伐という目下の目標達成のため、するべき大きな仕事がふたつあります」
 二つの大仕事、それはドラゴンという地球外生命体に対抗するための研究室の拡充、情報管理のためのムラクモ本部の新設であった。
「今ガトウは動けないわ。なのでこの大仕事は十三班、あなたたちに行ってもらいます」
 シュウたち十三班に求められる任務は、渋谷へと赴き、ドラゴンを倒してDzを集める事だった。
「それから、もう一つ。ダンジョン化した渋谷で生き残りを探してちょうだい」
 もう既に地球上では何億もの人間が死んでいる。今更生き残りなどいるのかと三人は疑問に思った。
「ナツメ、生き残りを探すにしても、ドラゴン討伐を優先させてもらうぞ。二兎を追う者は一兎をも得ずだ」
 トウジは言った。