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セブンスドラゴン2020 episode GAD 3

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「もちろんドラゴンは優先すべきだわ。けれど現状生き残っている者は必ず何かの力を持ってるわ。必ずね」
 逃げ遅れた一般人は死んでいようものであろうが、まだ生き残る者は何らかの能力を持つ者に違いがなかった。
「だから今回だけは二兎を追ってほしいの」
 ナツメからの願いは、過酷なものとなりうるものだった。
 いくら帝竜を倒した経験のある十三班であっても、日を跨いで力を付けているドラゴンを相手取るのは過酷な戦いになるに違いなかった。
「大丈夫よ。ドラゴンも力を付けているけれど、あなたたちだって、帝竜を倒して実力は確実に付けているわ。怖がる事はないわ」
 ナツメは、十三班以上に自信に満ちていた。
「頼んだわよ、三人とも」
 十三班に選択の余地はなかった。
「ああ、出発の前に建築班のミヤ君の所へ行ってくれますか? 十三班」
 キリノが言った。
「恐らく、いや、確実にお世話になる人だ。一言挨拶した方がいい」
「分かったわ、その人はどこに?」
「都庁のエントランスで事務作業をしているはずです」
「了解。行きましょう、二人とも」
 シュウたちはエントランスに向かった。
 エントランスに行くと、窓口が設営されており、そこでパソコンを打っている女性がいた。
「お忙しいところ失礼します」
 シュウが声をかけると、スーツ姿の女性が、パソコンから目を離してシュウの方を向いた。
「ああ、君たちが十三班か」
 女性は言うと、デスクから離れ、シュウたちへと近付いた。
「一応初めまして、だな。私は野々原美弥(ののはらみや)だ。君たちの事はよく知っているよ。都庁奪還した立役者だとな」
「そんな、都庁を取り返せたのはみんなのおかげですよ」
「謙遜することじゃないぞ。君たちが帝竜を倒してくれたおかげで狭いシェルター生活から解放され、この広い環境で仕事ができているのだからな」
 ミヤは、十三班に深く感謝していた。
「だが、まだ都庁はお世辞にも人が快適に過ごせる環境ではない。まだ立ち入ることすらままならない状態の階ばかりだ。そこで君たち十三班にお願いがある。ドラゴンを倒し手に入れたDzは、私の所に持ってきてほしい」
「Dzをミヤさんの所に、ですか?」
「そうだ。私が厳重な管理をする。避難民の暮らす階層、開発班の装備拡充などいくらあっても足りないくらいだ」
 事実、帝竜から手に入れたDzは、必要最低限の改修で使いきってしまった。
「私の厳重な管理のもと、適切な改修を行なっていく。だから頼んだぞ十三班……」
「第一小隊整列!」
 十三班がミヤからの説明を受けていると、エントランス中に響くような大きな声がした。
「地下道へ向かうぞ! ムラクモに遅れを取るな!」
 声の主はリンであった。
「ドラゴンには敵わぬがあの士気、負けてはいられないな十三班」
 十三班は、自衛隊から強い対抗意識を持たれていた。
「ではドラゴン退治、武運を祈っているぞ」
 十三班の新たな戦いが、始まろうとしていた。
    ※※※
「こ、これは……!?」
 三人は、しばらく絶句してしまった。
 ポイント四二八に当たる渋谷センター街が、巨大なイバラに貫かれ、鉄筋コンクリートから養分を吸い取って咲いた花の咲き乱れる異世界になっていたのだ。
「これが渋谷だと? 木々、草花が乱れているではないか」
「まるでジャングルだね。迷っちゃいそう」
 トウジとリアンがそれぞれ驚きを見せた。
『コール十三班』
 そろそろ聞き慣れてきた声が、三人の籠手からした。
『ポイント四二八にたどり着いたようですね。これから先も私がシュウたちのナビを務めます。よろしくお願いいたします』
 ミイナが丁寧に挨拶した。
『今回は私も作戦に参加するわ。まだガトウは動けない。ドラゴンとの戦いにまだ完全に慣れていないあなたたちだけでは危険が伴うでしょうからね』
 ナツメもサポーターとして作戦に参加するようだった。
『今右方向は、何者かが立てたバリケードの撤去作業で通れません。十三班には左方面、道玄坂方面を目指していただきます』
『了解した。樹海のような場所だ。ナビを頼りにしているぞ』
 トウジが言うと、通信は切られた。
 十三班は、ミイナのナビ通り、樹海と化した道玄坂を目指した。
「ねーねー、シュウちゃん、トウジくん」
 リアンが二人に声をかけた。
「どうかしたか、本宮?」
「うん、ドラゴンが来てからもう一ヶ月もたつよね? 地下シェルターに逃げ込めた人たちだけが、日本の生き残りだと思ったけど、これ以上生き残りなんているのかなぁ?」
 リアンの言う通り、地球にドラゴンが来襲してから一ヶ月の時が経っている。 ドラゴンとフロワロにより、何億の人間が死んでいた。
 普通に考えれば、生き残りなどという存在はあり得ないものだった。
「本宮、確かにお前の言う通りだ。だが、ナツメの言葉を借りれば、何らかの能力のある者ならば生きていられる確率は高い」
 トウジはシュウを見た。
「四季、お前ならばどう考える?」
「え、私?」
 シュウは、不意の質問に少し驚いてしまった。
「そうね……」
 シュウは、生き残りの存在の有無を考えてみた。
 リアンの言うように、ドラゴン来襲から経った日数を考えてみれば、生き残りの存在は絶望的である。
 しかし、トウジの言葉を借りれば、自分たちのように何らかの能力を持っていれば、ドラゴンに勝てないにしてもマモノとは戦える。そこで生存率は上がると思われる。
「私は……」
 シュウが答えを出そうとした瞬間、その言葉はトウジに遮られた。
「二人とも、招かれざる客人のお出ましだ!」
 少し離れた先に、真っ赤な体躯をしたドラゴンが歩いていた。
「トウジくん、しずかに。相手はまだ気づいてないみたいだよ」
 リアンは、ナイフを抜き放ちながら言った。
「あれは……確か都庁にもいたドラゴンだな」
 トウジの言う通り、真っ赤で、手が翼のようになっているドラゴンであり、識別名をサラマンドラといった。
「火の効き目が薄いやつだ。俺の攻撃では分が悪い。四季、本宮、悪いが討伐を頼む」
「まっかせてよ! わたし一人でたおしちゃうから!」
 リアンは言うと、ドラゴンへと駆けていった。
「後ろからぶすっといくよ!」
 リアンは毒をナイフに纏わせ、がら空きのドラゴンの背中に突き刺した。
 不意打ちは見事に決まり、一瞬にして毒がドラゴンの全身に回り、やがてドラゴンは地に伏した。
「あれ? 一撃でたおれちゃった……」
 リアンは一人で、それも一太刀でドラゴンを倒してしまった。リアン自身拍子抜けしてしまう結果であった。
「本宮!」
 トウジとシュウは、リアンに駆け寄った。
「あっ、トウジくん。このドラゴンこんなに弱かったっけ?」
「帝竜を倒して戦闘レベルが上がっていたのだろう。そう驚くことはない」
 トウジは言った。
「それよりも新種のドラゴン反応があるらしい。ミイナ、説明を」
 籠手にミイナの姿が映った。
「はい、渋谷道玄坂付近に未確認のドラゴン反応がありました。識別名をケミカルドラグといいます」
 新種のドラゴンの姿は、玉に乗ったトカゲのようなもので、毒攻撃を得意とするドラゴンであった。