【Buddy Daddies】1.FOR YOUR SMIL
「多分これから、その地域の保育園に入りなおそうとしても空きがないと思いますし。できれば、卒園まではここで過ごして、小学校はそちらに通うようにされたらどうですか」
「そうなりますかね」
「でも、小学校に上がる前にお友達がいた方がいいと思いますから、例えばお休みの日にその学校の近くの公園に遊びに行くようにしてお友達を作っておくとか。この保育園の保護者の方でそちらに知り合いがいるかもしれないので、紹介してもらうようにするとかしたらどうですか」
「ああ、そっか。それいいですね!いろいろとアドバイスありがとうございました」
「何かあったら、また相談に乗りますから。ミリちゃんには、笑顔で小学生になって欲しいですものね」
「ええ」
ふんわりと包むような笑顔のアンナ先生に、一騎は安どの笑みを返した。
ミリはこれから中学や高校に進みいろんな人との出会いと別れを経験していくのだ。
心配の種は尽きないが、ただ怖がってばかりいるのではなく、そのたびにミリが力強く歩いていけるように手助けをしてやることが大事なんだなと一騎は思った。
「あ、もしもし久ちゃん。ああ、ああ、うん、この前行ってきた。あそこで決めさせて欲しいと思って……。うん。うん。サンキュ……」
かくして、どこにも帰る場所がなかった3人に、いつもで心置きなく戻ることができる場所ができたのだ。
一騎は店の名を「Diner Nest(巣、居心地のよい避難所、休み場所、ねぐら)」に決めた。
これからは、自分達でお互いの笑顔を守るために、その場所を居心地ののよい暖かい場所にしていかなくてはならないのだ。
そのためにやらなくてはいけないことは山積みだが、まずは無事に一歩踏み出せた。
今日はミリが好きなハンバーグを作ろう。ケーキも買って帰ろうかな?
ミリはきっと大喜びするだろう!
ほっぺたをピンク色に染めて、満面の笑みを浮かべるミリの顔を思い浮かべながら、一騎は家路を急いだ。
1.FOR YOUR SMILE 完
作品名:【Buddy Daddies】1.FOR YOUR SMIL 作家名:はれまま