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【Buddy Daddies】NEVER LOST YOU

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「パパ達、いってきま~す!」

 「本当に一人で大丈夫か?」カウンターから身を乗り出し、不安そうな顔をした零がミリに尋ねる。
 
 「大丈夫だよなぁ~。(グイっと零をもとの位置に引き戻し)なぁミリ?」
 そういう一騎も不安を隠せていないが、無理やり明るい笑顔を顔に張り付け、
 「いってらっしゃい、気をつけろよ!」とミリを送り出した。


 
 一騎たちはDiner Nest を始動させるべく少しずつ動き始めていた。

  今は、居室になる2階の改装に向けて片付けをしたり、店の調理器具などで使えるものと使えないものを仕分けしたり、改修が必要な個所をチェックしたりしている。
  
  平日は、一騎が先に来て零はミリを保育園に送ってから店に来るのだが、
  今日は休日なので3人一緒に来た。

 


  実は店を譲り受ける契約や改装のための準備と並行して、ミリの友達作り大作戦も進行していた。

 一騎はまず、保育園のママ友にこっちの小学校に行くことになったと話し、ミリにどうやって友達を作ったらいいかを相談した。

 もともとママ友達に受けの良かった一騎に、あっという間に何人もの協力者が現れ、いろいろなつてを使ってミリの友達になってくれそうな子のママを紹介してくれた。
 そして、休みの度にみんなで公園に通いミリには沢山の友達ができた。抜かりない一騎は、近々店をオープンすると宣伝も欠かさなかった。 
 イケメン店長とイケメン店員がいるDinnerが近々開店すると聞き、「オープンしたら教えてね、絶対行くから!」と声かけられることも多かった。
 ミリは、新しい友達と広い公園で遊べることがよほど楽しいらしく、休みの度に遊ぶ約束を取り付けていた。
 
  
 
 今日までにすでに何度か店に来ているミリは、最近では公園まで一人で遊びに行くようになっていた。
 始めは、一騎もレイも、ミリを一人で外出させるのが不安で、どちらかがこっそりを後をつけて行ったりしていたが、小学校にあがれば一人で歩いて通学するようになることを考え、今から少しずつ慣れさせようとしているのだ。


 その代わりミリとは決まり事を作った。
 「いいかミリ、この前も言ったけど、影が長くなってきたら暗くなる前に帰ってくるんだぞ!あと、困ったことがあったら必ずお巡りさんのところに行くこと!」 
 「うんわかった!」
 「よし、じゃあ約束だ」 
  「「ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんの~ます♪」」


 「ミリは大丈夫だよ」
 ミリが出かけて行ったドアを、心配そうにいつまでも見ている零にむかって「今は信じて見守ってやろうよ」と一騎は言った。




 

 「なあ、ミリ遅くないか?」 
 零に声をかけられて一騎が顔を上げると、陽はかなり傾いて空はオレンジ色に染まっていた。
 「ほんとだ、俺買い物がてら迎えに行って来るよ」
 一騎は仕入れ用の大きなトートバッグを肩にかけると店を後にした。
 公園にはまだ子供たちの楽しそうに遊ぶ声が響いている。ふと見ると、公園の入り口近くのベンチに座るミリの後ろ姿が見えた。
 「ミリ!ミ~リ!」 
 一騎が声をかけてもミリは振り返ろうとしなかった。仕方なく一騎は近づき
  「こんなところで何してんだ?ほら、帰るぞミリ!」とミリの頭に手を伸ばした。


 すると……
 「何をする無礼者!!」
 「☆?!」
  バシンと音がして一騎の手が振り払われるのと同時に、一騎の目の前に黒い影が躍り出て少女をかばうように立ちはだかった。 
 「え?……」
 一騎は、さっと視線だけを周囲に走らせ公園の茂みのあちこちから一騎を狙う銃口を確認すると、視線を目の前に落とした。
 黒い影は、パンツスーツを身にまとった小柄な女性で、その向こう側に髪型はミリにそっくりだがミリとは全く違う勝気な瞳の少女がいた。
 ベンチの背もたれで分からなかったが、よく見ると高級ブランドのものらしいレースのワンピースに身を包んでいた。

 一騎はとっさに無抵抗を示すように両手をあげる。と、そこに少し離れたところから
 「ミリちゃん見~ぃつけた!」と女の子の声がし、
 「えへへ見つかっちゃった~」とミリの声がする。

 「あ、ミリ!」一騎は怪しいものではありません、と笑顔で示しながらミリを呼ぶ。
 「すいません、うちの子と間違えてしまって。あ、あれうちの子。……失礼しました」
 謝るのもそこそこにミリに向かって駆け出した。
 「ミリ~。そろそろ帰るぞ~!」
 「あ、カズパパ!」一騎の姿を見つけたミリは駆け出して抱き着いてきた。
 「いつも言ってるだろ?影が長くなったら帰ってきなさいって」ミリの頭にぽんぽんっと手を置く一騎。
 「ごめんなさ~い」ちょっとばつが悪そうに首をすくめながらミリは謝った。
 「ほら、帰るぞ!零が待ってるから」
 「うん。じゃあね~ばいば~い」一騎と手をつないだミリが、一緒に遊んでいた友達に手を振る。 
 「みんなも遅くならないうちに帰るんだよ~」一騎も、周の子たちに一声かける。
  「「はぁ~い。ミリちゃん、カズパパ、バイバ~イ」」
 仲良く手をつないで公園を後にする、一騎とミリの後ろ姿を、ミリによく似た少女はずっと見つめていた。


 
 その日の夜の事。
 「だから、約束しただろ?影が長くなったら暗くなる前に帰って来いって!」夕飯後のリビングで一騎がミリを叱っていた。
 「……」むっすとむくれたミリは、返事もせずにそっぽを向いた。
 「約束守れないのか?ミリは?」 
 隣で零は、どっちをどう取りなすべきかわからず、二人の顔を交互に見ている。
 「だって……」
 「だってじゃない!約束が守れないんだったら一人で公園に遊びに行くのは禁止にする!」
 「え~~!ひどいよカズパパ!」
 「ひどくない!はじめからそういう約束だっただろう?俺たちのどちらかが一緒に行けないときは、ちゃんと約束をまもるっていうから一人で行ってもいいって言ったんだ俺は」
 「約束が守れないんじゃぁしょうがない。今度から、俺達のどちらかが付いていけないときは公園にいっちゃだめだ。わかったなミリ!」
 顔を真っ赤にして怒るミリの目から、メリメリっと音がしそうな勢いで涙があふれだす、そして
 「カズパパのバカ!カズパパなんて大嫌い!」そう叫ぶとミリはバタバタとリビングを出て行った。
 「え、あ、おい!ミリ……」
 ミリの涙に慌てた一騎は取り繕おうと手を伸ばすが間に合わない。
 思わず涙目になる一騎の肩に、お疲れという感じで零が手を置く。
 「だって、もしだよ?もしミリに何かあったら。あいつの母親に顔向けできないだろ?」
 「わかってるよ。ただちょっと……」言い方がきつかったんじゃないかという言葉を飲み込み、「ちょっと見てくるよ」と言って零もリビングを後にした。


 トントンっとドアをノックして「ミリ?」と零が声をかけるが反応はなかった。
 「入るぞ」と言ってからドアを開けると、ミリはベッドにもぐりこんでドアに背を向けていた。
 零は、ふぅっと小さく息を吐いてから、ミリのベッドに寄りかかるようにして床に座った。