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きざし

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一緒に帰っている帰り道、マサキが急にシュークリーム屋の看板を見ると、タカハルに声をかけた。
「タカハル、ちょっとここでシュークリーム買いたいから待ってくれないか?」
「?いいよ。」

そして、しばらくしてからマサキが戻ってくる。
「ここのシュークリーム、美味しいんだぜ。
タカハルにもやるよ。……あ、保冷剤もらうの忘れた。よーし」
そう言ってマサキは、デビライザーを取り出した。
「……コーーーール!!」
マサキがトリガーを引くと、独特の光が出ていき、空中に丸い円が浮かび上がる。その中に五角形の星形のマークができていく。

そして、その中心部から出てきたデビルは…
「ヒーホー!!」
雪だるまの姿をした、青い独特の頭巾を被ったデビル、ジャックフロストだ。
「ジャックフロスト、保冷剤をもらうの忘れたから、氷の魔法で軽く氷を作ってくれ。」
「ヒーホー」
ジャックフロストは素直に賛成している。
「ヒー!ホー!」
ジャックフロストが指先を少しくるくるさせると、小さな氷が繰り出され、シュークリームの箱が入ったビニール袋の中に氷がパラパラパラとある程度収まった。
「はい」
「ありがとう。そういえばここのシュークリーム屋さん、前はなかったよね。」
「最近できたみたいだぜ。
原宿の街も、少しずつ変わっていってるんだなぁ…」

ジャックフロストは、魔法を出した後ソワソワしていた。
「どうしたんだ?ジャックフロスト。」
「…この前コールされた時より、寒くなってるホー。嬉しいホー!」
「確かに、最近寒くなってきたもんな。
また今度、学校に行く時マラソンでもするか。」
「トーキョーに、もうすぐ雪が、降るのかホ?」
さりげなく五・七・五の流れになっていることに気がついて、タカハルはくすくすと笑った。
「どうしたんだ、タカハル?」
「いや、今のジャックフロストのセリフ、五・七・五だったなと思って…」

ジャックフロストは、少し首を傾げていた。
「…でも、なんか変なんだホー。」
「変…?」
マサキが神妙な顔をする。
「うまく言えないけれど、変なんだホー」


作品名:きざし 作家名:きまま