交差する通路
数日後───
マサキは、学校でセツナと未来と会うために地下街の通路を歩いていた。
続けて並ぶお店の前を一つ一つ通り過ぎて行った時、急に左側のお店のドアが開き、わーーーという声が聞こえてきた。
何だ?とマサキが思った瞬間、人にぶつかられた。
「!いてて…」
マサキが呆然としながら辺りを見回すと、同じぐらいの年の少年が尻もちをついていたところだった。しかし、その少年は素早く立ち上がる。
「はっ!すみません、バトルネットやっていたら夢中になってて約束の時間に遅れそうで…大丈夫ですか!?」
「あぁ、こっちは大丈夫だけど…」
「よかった〜。それじゃ、先を急ぐんで!」
学校へ、急げ〜と言いながら少年は走って行ってしまった。
(もしかして、同じ小学校かなぁ…)と思いながら、マサキは再び歩き始めたのだった。
「あ、マサキ、こっちよ!」
学校の校庭で、セツナと未来がすでに待っていた。未来の後ろにパートナーのグリフォンのベールはいるが、セツナのパートナー、ケルベロスのクールの姿が見当たらない。
マサキはその事を少し気になりながら近づいて行ったが、セツナが話しかけてきた。
「よぉ、マサキ。調子はどうだ?」
セツナと未来は初代デビルチルドレンで、マサキの冒険時にも度々現れては助言をしてくれたのだ。
「セツナ先輩、未来先輩!俺は相変わらず元気ですよ。」
未来が神妙な顔つきで話し出す。
「この前から、東京の天気が変だわ。…まるで、私達がデビチルになった日みたいな、変な天気…」
「あ!それなんですけれど、未来先輩…」
そしてマサキは、ナタナエルから聞いた事をセツナと未来に話した。
「それじゃあ、この天気は新しいデビチルの兆候なのね…。」
「…まぁ、納得だぜ。俺達がデビチルになった日も、似たような状況だったしな。」
そこで未来が話し出す。
「そうだセツナ、この前まで魔界を見回りしてたんでしょう?魔界の方では未知のデビルには遭わなかった?」
セツナは首を軽く横に振った。
「いや、そういったデビルはいなかったな。」
「そう…。」
マサキは気になっていた事を聞いてみる事にした。
「…そうだ、セツナ先輩、ケルベロスのクールがいないみたいですけれど…。」
セツナは何でもない風に答えた。
「ああ!クールは、魔界を見回りし終わった後に、地獄の門番にいる仲魔のケルベロスの様子を見に行くと言って、別々に帰ることにしたんだよ。…あ、ちょうど帰ってきた。」
ちょうどセツナの向かい側から、たったったっと駆けてくるクールの姿があった。
「待たせたな、セツナ。」
「そろそろ戻って来るんじゃないかと思ってたぜ。」
「仲魔のケルベロスも元気そうだったぞ。そして、ケルベロスの一族を冒険に連れ出してくれて感謝していると言っていた。」
セツナはへへっと笑って答えた。
「俺も、クールと一緒に冒険できてよかったよ。…そうだ、クール、門番の方で今まで見た事がないデビルとかいなかったか?」
「いや…、特に門番の方も特に変わった様子はなかったんだが…。」
「そっか。サンキュー。」
未来が、軽くため息をついてから話した。
「うーん、とにかく今は、私達もいつ急に狙われるかわからないから、引き続き気をつけるしかないわね。」
また何かあったら連絡取り合いましょう、という未来の言葉に、セツナとマサキも賛成し、解散する事になった。