眩む、怪しい光
その日は、突然やってきた。
キーンコーンカーンコーンと、授業が終了するチャイムが鳴った。
きりーつの声で、マサキは席を立つと、軽く背伸びした。
(はー、やっと今日の授業終わったぜ。)
その後、礼をして、席に着いて、担任の先生から帰る前の連絡が告げられた。
気温や天気がめちゃくちゃなため、体調不良者が続出しているのだ。
担任の先生がクラス全体に呼びかけている。
「みんなインフルエンザもまだ流行っているのでうがいと手洗い忘れないように。隣のクラスでは昨日までの数日の暑さで熱中症になった子も出ています。もし気温が急に上がってきたら水分補給もちゃんとすること。以上で帰りの連絡を終わります。」
そして、教室内がざわざわと動き出す。
「マサキ、行こっか。」
タカハルがマサキの席の近くまで来る。
「ああ。」
マサキとタカハルの後ろには、パートナーのクレイとレイがそれぞれついてきているが、学校や街の人は割と寛容に受け入れてくれていた。
というのも、マサキがデビチルになって以降、原宿の街に野生のデビルが現れるようになっていたのだが、デビルチルドレンやエンゼルチルドレンに対して襲いかかってくる一方、一般の人々に対しては酷いことをしなければ襲ってくることはないため、街にいる野生動物と同じようなものとして生活に馴染んでいた。
数日前にタカハルが天界の見回りから帰ってきており、マサキは廊下を歩きながらタカハルの話を聞いていた。
「…それで、クリスタルリングの方とかはどうだったんだ?」
「クリスタルリングもグラスフィールドも、特に異常なかったよ。…でも、エタニティパレスが襲撃されたことは、もう天界中に広まってるみたいだったかな。そうだ、そして、エタニティパレスの扉が、もう数日したら復旧するみたい。」
「へぇ〜。」
少し遠くにいる2人組の人達が、あの人達に聞いてみる?とこちらに視線を向けて言っているのが聞こえた。
その後、マサキが
「よかったじゃん!」
と続けたところで、その二人がこちらに向かってきて声をかけられた。
「あの〜、ちょっとすみません!」
「?」
見ると、少女と少年の組み合わせだった。
「あ!」
「あ!」
マサキとその少年は同時に声をあげる。
「?もしかして知り合い?」
少女は軽く二人を交互に見ていた。
マサキの後ろにいたクレイが、ぴく、と一瞬反応し、瞳孔を少し小さくさせた。
「この前の…!」
「レナ、この前の不思議クラブの日、学校に向かってる時にこの人とぶつかったんだ!」
レナと呼ばれた少女は、白い服に黄色いジャケット、薄いグレーのスカートを履いた、オレンジ色の髪の活発そうな雰囲気の少女である。
「ああ!あのジンがバトルネットやって約束の時間に遅刻してきた日ね!!」
「なんで楽しそうに言ってんだよ〜。
あ、オレはジン。6年生で、こっちのレナと、あとアキラってやつとも一緒に不思議クラブやってるんだ。」
ジンという少年は、黒いインナーの服に赤と白のジャケットを着ていて、青のショートパンツを履いている。髪は茶色で、こちらも活発そうな少年だ。
マサキとタカハルは5年生なので、ジン達はマサキ達の一つ年上にあたる。
「俺はマサキ。そして、こっちは幼馴染のタカハルなんだ。」
「タカハルです。初めまして。」
レナが話し出した。
「よろしく!っていうより、急にごめんね!
私たち不思議クラブの活動で、最近の異常な天気について学校内でアンケートやってるんだけれど、何か知らない?」
マサキは
「えーと…」と引きつった笑顔になり、
タカハルは、複雑な表情をしたまま沈黙している。
デビルを連れていることは、クラスの人達は知っているが、2人がデビルやテンシを従える力を持っている事は知らない。そしてデビルチルドレンという言葉も知らない。
二人とも自ら家族以外に打ち明けた事がなかったため、急にこのような事態に直面し、戸惑っていた。
打ち明けてもいいのか、そして打ち明けたところでわかってもらえるのか…
そう考えている所へ、ジンがマサキの後ろのクレイに興味深々といった感じで見つめている。
「なぁ、マサキの連れてるデビル、ちょっと見ていいか?」
マサキはクレイの方を見たが、クレイは頷いている。
「いいですよ!」
すると、ジンはクレイの周りを、あちこち色んな角度から観察し始めた。
「うおー!すげー!街中のデビルは見たことあるけれどこのデビルは初めてだ!!
しかもなんか、正面の顔はライオン?みたいなのにヤギの頭やリュウの頭もついてて…あ、尻尾はヘビになってるのか…!」
マサキもタカハルも、ジンのあちこち動き回っている様子をぽかんと眺めていた。
レナが話し出す。
「あはは。ジンってデビルの事になるとあんな風に熱中しちゃうの。…そうだ、ジン、
昨日、図書室でデビルの図鑑を見つけたの。」
「デビル図鑑!?」
ジンががばっと振り向く。
マサキとタカハルも、デビルを知っているだけに驚きの反応を示した。
「そうなのよ。他の本と雰囲気違ってて超ミステリアス。ちょうど今日不思議クラブ活動の日だったし、ジンを驚かせちゃおーって思ってたけど成功だったわ。あ、マサキとタカハルもデビル連れてるんだし、せっかくだから一緒に行ってみる?」
マサキとタカハルも、賛成した。
その時、別の少年が、レナに話しかけてきた。
「レナ!お待たせ。授業が長引いてさ」
見ると、黒いインナーのシャツの上に水色のシャツを着ていて、濃い青の長ズボンを履いた青い髪の少年だった。落ち着いた雰囲気だ。
「アキラ!ちょうどいいところに。ジンにはもう話したんだけど、昨日図書室でデビル図鑑を見つけて、行ってみようって話になってたところよ。」
「へぇ。よかったな、ジン。…ん?その子達は?」
ジンが説明してくれた。
「アキラ、アンケートを受けていたマサキとタカハルだぜ。珍しいデビルを連れていて、一緒にデビル図鑑見に行くことになったんだ!
あ、マサキ達にも紹介するよ。隣のクラスのアキラで、同じ不思議クラブなんだ!」
そして、お互い挨拶を済ませ、図書室へと向かった。
キーンコーンカーンコーンと、授業が終了するチャイムが鳴った。
きりーつの声で、マサキは席を立つと、軽く背伸びした。
(はー、やっと今日の授業終わったぜ。)
その後、礼をして、席に着いて、担任の先生から帰る前の連絡が告げられた。
気温や天気がめちゃくちゃなため、体調不良者が続出しているのだ。
担任の先生がクラス全体に呼びかけている。
「みんなインフルエンザもまだ流行っているのでうがいと手洗い忘れないように。隣のクラスでは昨日までの数日の暑さで熱中症になった子も出ています。もし気温が急に上がってきたら水分補給もちゃんとすること。以上で帰りの連絡を終わります。」
そして、教室内がざわざわと動き出す。
「マサキ、行こっか。」
タカハルがマサキの席の近くまで来る。
「ああ。」
マサキとタカハルの後ろには、パートナーのクレイとレイがそれぞれついてきているが、学校や街の人は割と寛容に受け入れてくれていた。
というのも、マサキがデビチルになって以降、原宿の街に野生のデビルが現れるようになっていたのだが、デビルチルドレンやエンゼルチルドレンに対して襲いかかってくる一方、一般の人々に対しては酷いことをしなければ襲ってくることはないため、街にいる野生動物と同じようなものとして生活に馴染んでいた。
数日前にタカハルが天界の見回りから帰ってきており、マサキは廊下を歩きながらタカハルの話を聞いていた。
「…それで、クリスタルリングの方とかはどうだったんだ?」
「クリスタルリングもグラスフィールドも、特に異常なかったよ。…でも、エタニティパレスが襲撃されたことは、もう天界中に広まってるみたいだったかな。そうだ、そして、エタニティパレスの扉が、もう数日したら復旧するみたい。」
「へぇ〜。」
少し遠くにいる2人組の人達が、あの人達に聞いてみる?とこちらに視線を向けて言っているのが聞こえた。
その後、マサキが
「よかったじゃん!」
と続けたところで、その二人がこちらに向かってきて声をかけられた。
「あの〜、ちょっとすみません!」
「?」
見ると、少女と少年の組み合わせだった。
「あ!」
「あ!」
マサキとその少年は同時に声をあげる。
「?もしかして知り合い?」
少女は軽く二人を交互に見ていた。
マサキの後ろにいたクレイが、ぴく、と一瞬反応し、瞳孔を少し小さくさせた。
「この前の…!」
「レナ、この前の不思議クラブの日、学校に向かってる時にこの人とぶつかったんだ!」
レナと呼ばれた少女は、白い服に黄色いジャケット、薄いグレーのスカートを履いた、オレンジ色の髪の活発そうな雰囲気の少女である。
「ああ!あのジンがバトルネットやって約束の時間に遅刻してきた日ね!!」
「なんで楽しそうに言ってんだよ〜。
あ、オレはジン。6年生で、こっちのレナと、あとアキラってやつとも一緒に不思議クラブやってるんだ。」
ジンという少年は、黒いインナーの服に赤と白のジャケットを着ていて、青のショートパンツを履いている。髪は茶色で、こちらも活発そうな少年だ。
マサキとタカハルは5年生なので、ジン達はマサキ達の一つ年上にあたる。
「俺はマサキ。そして、こっちは幼馴染のタカハルなんだ。」
「タカハルです。初めまして。」
レナが話し出した。
「よろしく!っていうより、急にごめんね!
私たち不思議クラブの活動で、最近の異常な天気について学校内でアンケートやってるんだけれど、何か知らない?」
マサキは
「えーと…」と引きつった笑顔になり、
タカハルは、複雑な表情をしたまま沈黙している。
デビルを連れていることは、クラスの人達は知っているが、2人がデビルやテンシを従える力を持っている事は知らない。そしてデビルチルドレンという言葉も知らない。
二人とも自ら家族以外に打ち明けた事がなかったため、急にこのような事態に直面し、戸惑っていた。
打ち明けてもいいのか、そして打ち明けたところでわかってもらえるのか…
そう考えている所へ、ジンがマサキの後ろのクレイに興味深々といった感じで見つめている。
「なぁ、マサキの連れてるデビル、ちょっと見ていいか?」
マサキはクレイの方を見たが、クレイは頷いている。
「いいですよ!」
すると、ジンはクレイの周りを、あちこち色んな角度から観察し始めた。
「うおー!すげー!街中のデビルは見たことあるけれどこのデビルは初めてだ!!
しかもなんか、正面の顔はライオン?みたいなのにヤギの頭やリュウの頭もついてて…あ、尻尾はヘビになってるのか…!」
マサキもタカハルも、ジンのあちこち動き回っている様子をぽかんと眺めていた。
レナが話し出す。
「あはは。ジンってデビルの事になるとあんな風に熱中しちゃうの。…そうだ、ジン、
昨日、図書室でデビルの図鑑を見つけたの。」
「デビル図鑑!?」
ジンががばっと振り向く。
マサキとタカハルも、デビルを知っているだけに驚きの反応を示した。
「そうなのよ。他の本と雰囲気違ってて超ミステリアス。ちょうど今日不思議クラブ活動の日だったし、ジンを驚かせちゃおーって思ってたけど成功だったわ。あ、マサキとタカハルもデビル連れてるんだし、せっかくだから一緒に行ってみる?」
マサキとタカハルも、賛成した。
その時、別の少年が、レナに話しかけてきた。
「レナ!お待たせ。授業が長引いてさ」
見ると、黒いインナーのシャツの上に水色のシャツを着ていて、濃い青の長ズボンを履いた青い髪の少年だった。落ち着いた雰囲気だ。
「アキラ!ちょうどいいところに。ジンにはもう話したんだけど、昨日図書室でデビル図鑑を見つけて、行ってみようって話になってたところよ。」
「へぇ。よかったな、ジン。…ん?その子達は?」
ジンが説明してくれた。
「アキラ、アンケートを受けていたマサキとタカハルだぜ。珍しいデビルを連れていて、一緒にデビル図鑑見に行くことになったんだ!
あ、マサキ達にも紹介するよ。隣のクラスのアキラで、同じ不思議クラブなんだ!」
そして、お互い挨拶を済ませ、図書室へと向かった。