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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 29

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第九十五章 大悪魔と不死身の龍、オロチ


 ロビンとの戦いで、すっかり満身創痍となった大悪魔デュラハンは空を進んでいた。
 デュラハンをその再生力によって最強の悪魔としていた源、四つの魔脈の内三つが破壊されてしまい、デュラハンはわずか一つの魔脈からの魔力で辛うじて生きていた。
 デュラハンが、アテカ大陸の神殿、アネモス神殿から逃げ延びて、向かっていた先は東の方角である。
 デュラハンには、かつてのしもべであったスターマジシャン、シレーネから聞き及んでいたことがあった。
 それは、大イースト海に存在する極東の島、ジパン島であった。
 その島には四元素を司る岩山、ガイアロックがあり、そこには永遠の命を持つドラゴンが存在しているとのことだった。
 既に魔脈によって永遠の命を持っていたデュラハンは、シレーネの話を聞いた時は聞き流していたが、今になって思い出していた。
 四つの内三つの魔脈を潰され、永遠の生命力を失った今、同じく永遠の命を持つドラゴンは、デュラハンにとって死中に活を求める事になった。
 不死身のドラゴンと融合する事で永遠の命を再び手に入れる。これこそがデュラハンの目的であった。
 シレーネへの寵愛もどきが永遠の命を手に入れることができる事に繋がった。デュラハンの野望はまだ潰えていなかった。
    ※※※
 ロビンたち一行は、アネモス神殿を後にし、空飛ぶ船へと帰還していた。
 船室の卓を囲い話し合いを行っていた。
「なるほど、オレが死んでいる間にそんな事が。本当にギリギリのところだったんだな」
 ロビンは言った。
「闘霊とか言ったか? そんなすげぇものがあるなんてな」
 ジェラルドは素直に驚きを見せていた。
「ロビンが来てくれなければ、間違いなく僕らは全滅していました」
 ピカードは言った。
「けれど、デュラハンの術中にはまっちまって、野郎の居場所が分からなくなってしまったな。奴め、同士討ちを狙う術なんか持っていやがったんだな」
 シンは、怒りを露にしていた。
「ですが、私の力を使えば、同じ轍を踏むことはないでしょう」
 イリスは言った。
「ああ、イリスがいれば百人力だな! 天界の神や騎士も、なによりロビンがいるんだ。もうデュラハンなんか余裕じゃねえか?」
 ジェラルドは嬉々として言った。
「油断は大敵よ、ジェラルド。デュラハンは今気配を隠して何かを企んでいるのは確実よ。早くデュラハンの居場所を見つけ出さないと」
 ヒナは、用心を重ねて言った。
「そのお役目は私にお任せください」
 ハモが前に出た。
「姉さんの予知能力ですね?」
 イワンが言った。
「ええ、そうよイワン。これも闘霊の力。必ず見つけて見せる……」
 ハモは目を閉じ、エナジーを発動した。
『プリディクト』
 閉じて闇となったハモの目に、光景が浮かんだ。
 空を行く鳥のような視界がハモの目に広がった。
 その視界の中に深傷を負ったデュラハンの姿が入ってきた。
「見つけました。大イースト海上空を西に進むデュラハンの姿を捉えました」
「大イースト海上空を?」
「奴め、何を企んでいやがる……!?」
 イワンとジェラルドはそれぞれ反応を示した。
 大イースト海の方向と言えば、アンガラ大陸東にある、シーアン村や海沿いのチャンパ村など変わった文化をした場所があるところである。
 それらを更に東に行くと、魔龍の伝説のあるイズモ村がある。
 ハモの目には、相変わらずウェイアードを東に進み続ける風景が写っている。
 大海原を進むデュラハンと繋がったハモの目に、島が見えてきた。
「陸が見えてきました。デュラハンは下降し始めました」
「ちょっと待てハモさん。そこはオレと姉貴の故郷、イズモ村じゃないのか?」
 シンは言った。
「天眼・改!」
 ヒナは、天眼の能力を特殊なものにし、発動した。
「デュラハン……!」
「姉貴、何か分かったのか?」
「ええ、奴の目的がね。奴の目的はフジ山よ」
「フジ山といえば、エレメンタルロックのガイアロックの事ですか?」
 ロビンが訊ねた。
「そうよ、あなたたち島の外の人はそう言うのだったわね」
「デュラハンの目的とはなんでしょう?」
 イワンが訊ねた。
「魔龍オロチ。あなたたちも覚えがあるでしょ? 永遠の命を持ち、決して死ぬことのない、イズモの龍」
 実際に戦った事のあるロビンたちは、その姿が頭に浮かんだ。
 そしてかなりの苦戦を強いられ、更に何をしても死ぬ様子がなかった戦いの記憶が。
「まさか、デュラハンの目的はオロチ? けれどなんでまたオロチの所に?」
「デュラハンの目的は、オロチの身体よ、ロビン」
「オロチの身体?」
 ロビンは、しばし思考を凝らしてみた。
 オロチは不死身の身体を持つ魔龍である。切っても突いても、決して死ぬことはない。実際に戦ったロビンの記憶に焼き付いていることである。
ーー不死身の身体……オロチの特性……デュラハン……待て、デュラハンも……!?ーー
 デュラハンも魔脈という器官によって、ダメージをすぐに回復してしまうことができていた。オロチの身体も魔脈を大幅に超える速さで再生することができた。
 加えてデュラハンには、未遂に終わったとはいえ、何かと融合する能力もあった。ここから導かれる答えが、ロビンの頭に浮かんだ。
「デュラハンは、オロチと融合するつもりなんじゃ……!?」
 デュラハンは、永劫の命を手にして、死なない体で、全てを支配するつもりなのではないかと考えられた。
「その可能性は高いわね、ロビン。あたしもハモの能力に付いていって天眼を使ったんだけど、奴は永遠の命を得るつもりよ」
 デュラハンの身体を主とするならば、オロチの唯一の弱点、太陽も克服されてしまい、手がつけられなくなってしまう。
「こうしちゃいられないわ。この船飛べるんだったわよね? 急いでジパン島へ向かいましょう!」
 ヒナは、空飛ぶレムリアの船で、一気にジパン島に向かう手段に出ようとした。
「いや、ここは戦闘要因とサポート要因に別れた方がいい」
 提案したのはシンである。
 当然の如く何故か、と仲間の中で疑問の声が上がったので、シンは説明を始める。
「ロビン以外の全員がデュラハンと戦った。けどオレたちの力じゃどうにもならないほどに奴は強かった。深傷を負った今でも通用するか分からない……」
 シンの言うことは、戦えるのはロビンとイリスほどの実力者のみであり、他の面々がいてはかえって足手まといになるとのことだった。
「特にもドラゴンと戦えるロビンの力が最重要になる。オレたち全員で向かっては間違いなくロビンの邪魔になる」
 シンの言うには戦闘要因は最小限に留めるべきである事であった。
「そう、ね……シンの言う通りだわ」
 ヒナは自分の非を認めた。
「それで、戦闘要因とサポート要因、おおよそ検討は付けているのよね? シン」
「ああ、オレの天眼でどっちがいいか決めている。ロビンとイリス、この二人は間違いなく戦闘要因だ。姉貴、あんたはちょっと変わった戦闘要因だ」
 ヒナは驚いた。天眼の能力は役立つ自信があったが、武器を失っている以上戦いの役には立たないと考えていた。
「オロチが復活するであろう今、姉貴の特殊な力が必要だ。天眼以外のな」