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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 29

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 一頻り咆哮を上げると、オロチはデュラハンに訊ねた。
「その通りだ。そしてその体、いただくぞ」
「なにゆえ我が体を欲する?」
「貴様の再生力だ。壊れた我が体を貴様の力で取り戻すのだ」
「……素直に差し出すと思っているのか?」
 オロチは、四足で立ち上がり、翼を羽ばたかせてデュラハンを威嚇した。
「もとより覚悟の上、力ずくで貴様を吸収してくれる!」
「面白い、やれるものならやってみるがいい。魔龍オロチの力、なめるなよ!」
 オロチとデュラハンの戦いが始まった。
 方や封印から解放させられたばかり、方や片腕を飛ばされた状態と言う、お互いハンデの大きい戦いになりそうだった。
 しかし、戦いは戦いの体をなさず、一瞬で決着がついた。
「何が魔龍だ。貴様と我、力の差は歴然。再生能力だけが貴様の恐れるべき所だ」
「グアア……! こんなはずでは……!」
 オロチの再生力が発動した。オロチの傷はみるみる内に塞がっていった。
「そうだ、その再生力。我が最も欲する力だ」
 デュラハンは、オロチに歩み寄った。
「ではその力、ありがたく頂戴するとしよう……」
 デュラハンは、残った左腕をオロチに向けた。
「魔の融合、『ネオ・メタモルフォーゼ!』」
 デュラハンが詠唱すると、オロチの体は赤黒いの光へと姿を変え、光る粒子となった。
「いただくぞ、フハハハハ!」
「グアアアア!」
 デュラハンの左手にオロチは吸い込まれていった。
 やがてオロチを吸い尽くすと、デュラハンもまた赤黒いオーラを纏った。すると、デュラハンの体に変化が生じた。
 肉体は、オロチと同様に深緑ものとなり、筋肉が隆起した。
 ロビンに弾き飛ばされた右腕も、ドラゴンの鱗が尖るものに再生した。
 そして驚くべきことに、デュラハンに、オロチの首が生えてきたのだ。さらに背中にはオロチと同じ翼が出現した。
 デュラハンをベースにしつつ、オロチというドラゴンの特徴を捉えた魔物が誕生した瞬間であった。
「これは素晴らしいパワーだ!」
 デュラハンは、試しに左手の指を一本右手の爪で切り飛ばしてみた。十秒とかからず再生した。
「この力であの小僧を屠ってくれようぞ。このデュラハン・オロチの力でなぁ、フハハハハ……!」
 融合は成り、永遠の生命力を持つ、厄介な力を持つ大悪魔が出来てしまったのだった。