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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 イシス編

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アルベルトがジャミルを慌てて止める。……確かにダウドは
様子がおかしい。表情は険しく、いつもの、のほほんダウドではない、
まるで誰かが豹変した様な凄まじい顔つきになっていた。
 
「……我は財宝を守る、……全力で!」
 
「あ、ダウドっ!てめえっ!待ちやがれっ!」
 
明らかに何かが取りついたらしいダウド。物凄いスピードで何処かに
走って行ってしまった。
 
「大変だわ!ダウドを追掛けなくちゃ!」
 
「待って、二人とも……、ダウドは確か、我はファラオ国王って
言ってた、ファラオと言うのは、此処に眠る王家の墓の張本人、イシスの
国の初代国王だったらしいよ……、と、言う事はつまり……」
 
アルベルトは其処まで言うと黙り、ジャミルとアイシャの方を見た……。
 
「まさかっ!ダウドに王様の霊が取りついちゃったって言う事なのっ!?」
 
「んな、アホな……」
 
「いいや、ジャミル、もしかしたら君の所為かもよ、……財宝を探すなんて
言うから……」
 
「キャー!……やっぱり呪いだわっ!」
 
……今度はアルベルトとアイシャがジャミルの方を覗う……。一体おま、
どうするんだという目つきで二人はジャミルを見ている……。
 
「うっ……、と、とにかくだっ、まずはダウドの野郎を捕まえねえとっ!
い、イクゾっ!」
 
ジャミルは汗を搔きながらその場を逃げ出す。やっぱりこうなるかと
アルベルトは諦めながらもジャミルの後を追うのだった……。
 
 
……
 
 
「財宝は渡さん……、狙う者には……、我の呪いを……」
 
「ダウドっ!!」
 
ジャミル達は漸く、行方不明のダウドの姿を探し当てる。ダウドは
4階にあった宝箱が沢山並ぶ部屋にいたのである。
 
「ダウドっ!てめえいい加減にしとけっ!早く戻って来いっての!」
 
「……」
 
沢山の宝箱が並ぶ部屋……。ジャミルは唾を飲み込み、一瞬、
宝箱とダウドを天秤に掛けそうになる……。
 
「ジャミルっ!……国王様、どうか落ち着いて下さい!僕達は決して
あなたの宝を荒しに来たのではありません!ピラミッドに有るという
魔法の鍵を探して入らせて貰っただけなんです!もう此処からは撤退します、
ですから、もう僕らの仲間に憑依するのは止めて下さい、お願いします!」
 
「王様、どうかお願いです!」
 
……ジャミルの頭を殴りながらアルベルトが必死でダウド……、
ファラオに頭を下げた。アイシャも必死で。
 
「ジャミルもっ、……ホラ、謝るんだよっ!君が一番の責任者なんだからっ!」
 
「な、何で俺がっ!?あいててててっ!」
 
アルベルトはジャミルの頭を抑え付けながら必死でジャミルを
謝らせようとするが。……彼も毎度毎度大変である……。
 
「……王の財宝を狙う者は許さぬ、……この少年も返さん……」
 
「そんな……」
 
「酷いわ!」
 
ファラオはダウドを返すのを全力で拒否する。彼の怒りは相当の様である……。
 
「……テメー、いい加減にしろっ!元国王だか何だか知らねえけどなあ、
もうアンタは死んでるんだよ!死んでまで財宝守るとか嫌らしい根性
持ってんじゃねえよ!あの世までコレクターなんか出来るかってのっ!!」
 
「何だと……?貴様……、我に向かって……、何と言う口を聞いている……」

「知るかっ!!」
 
「……ジャミルっ!あ、ああーーっ!」
 
ブチ切れジャミル、等々ファラオに啖呵を切る。もう駄目だとアルベルトと
アイシャが思った、その時……。
 
 
 
じょ~……
 
 
「いっ!?ダ、ダウドっ!?」
 
「きゃーっ!?」



ぷうう~……


 
ダウド……、ファラオが少し洩らした。ついでにおならも少し。中のダウドが
脅え始め、生理現象が出たのである。
 
「ぎゃー!怖いよおお!オイラもういやだよおーー!助けてええーっ!!」
 
「あ、暴れるでないっ!こ、こらーっ!!」
 
「……」
 
遂にダウドも錯乱し始め、中の本人の自我が出る様になり、ファラオと
ダウド、二人の人格が暴れ始めた。状況を見ていたトリオはポカーンと……、
口を開けた。
 
「……うう、な、なさけなや……、我がこの様な……、ええいっ!もうこんな者
いらぬわ!返してくれるっ!その代り貴様らっ!二度と此処には近づくでない!
今度財宝に近づいたその時は……、唯では済まさぬぞ!」
 
「プ、何言ってやがる、……屁とおもら……」
 
「国王様、有難うございます!ダウドを返して頂ければ僕らはもう二度と
この場所には近づかない事をお約束致します!」
 
ジャミルの口を塞ぎながらアルベルトが必死でファラオと会話を交わす。
その瞬間……、ダウドがその場にばたっと倒れた。
 
「あ、ダウドっ!おいっ、……しっかりしろってのっ!おーい!」
 
ジャミルが慌てて倒れたダウドに駆け寄る。気を失っているだけの様だった。
 
「ううう~、のろい……、恐いよお~……、ふにゃ……」
 
「大丈夫だよ、元に戻ったみたいだ、いつものダウドだよ……」
 
「良かった、ふふ……」
 
寝言を言うダウドの表情を見てアルベルトとアイシャも一安心。
ファラオの霊も一旦はその場から退散した様で気配がしなくなっていた。
……ダウドに取りついていたとは言え……、国王が失態など、
相当恥ずかしかったのかショックを受けたらしい……。
 
「ふぁ~、一時はどうなる事かと思ったけどな、ま、こうしてダウドも
無事帰って来た事だし、ははは、良かったなあー!」
 
「良くないよ、ジャミル……、君への説教がまだ終わってないんだからね……」
 
「ひ、ひひ?」
 
アルベルトがニヤッと笑ってジャミルの方を見た……。その顔には
邪悪なペルソナの笑みが……。
 
「おい、何だよ、そのツラはよ、おい、オメーこそ何か豹変してんじゃ
ねえのかっ!?おい、コラ!」
 
「お仕置き……、うふふ、うふ、うふふふ!」
 
アルベルトが何かを取り出した。……スリッパである。
 
「……待てーっ!バカジャミルーーっ!!少しは反省しろーーっ!!」
 
「バカーっ!腹黒ーーっ!!……ぎゃあああーーっ!!」
 
アルベルトとジャミルは逃走中状態で何処かへ走っていってしまい、
アイシャと気絶したダウドはその場に取り残され、呆れる……。
 
「全くもう……、二人ともしょうがないんだからっ!……でも、ダウドが本当に
無事で良かった!ね?うふふ!」
 
「ふにゃああ~……」