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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ポルトガ~ダーマ編

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ポルトガ
 
 
4人はロマリアの関所を抜け、港町ポルトガへと辿り着いた。
 
「ん~っ、潮風が気持ちいい~、海の匂いがする~!」
 
潮風を受け、気持ち良さそうにアイシャが大きく伸びをする。
 
「とりあえず船を何とかしないとな、港へ行ってみるか……」
 
町の通りを歩いて行くと、中央に屋台が並んでいた。威勢のいい
おじさん達がパンパン手を叩いて通るお客さんを誘導している。
 
「はいはい、イカ焼きだよ、取れたての海の幸だから美味しいよっ!」
 
「ホタテ貝のバター焼きもあるよ!お兄さん達、お一ついかが?」
 
流石、沿岸国、海の近くの町だけあり、海産物の特産品も半端ではない。
ずらっと並んだ屋台から美味しそうな匂いが漂ってくる……。
 
「おいしそうだねえ~……」
 
「だな、腹へったなあ~……」
 
ジャミルとダウド、二人して指を銜え、アホ顔全快で涎を垂らす。
 
「おほん、……二人共、まずは港へ行くのが先だよ!
その後は、うん、多分……、ふふ……」
 
アルベルトが咳払いし、二人に注意するが、何故かアルベルトは
嬉しそうである。
 
「どうしたの、アル?」
 
「ん?ア、アイシャ……、何でもない、何でもないから……」
 
「そう……?」
 
アルベルトは顔を赤くし、何故かモジモジしている。何かを
隠している様にもアイシャには見えた。
 
「変なアルねえ……」
 
そして、4人は港へ向かう。これから海に出ようとしていた
漁師さんを捕まえて少し話を聞いてみた。
 
「……船え!?」
 
「貸してくれるか、作って貰えるかどっちでもいいんだけど、
けど、専用の船を作って貰うとなると、相当金も掛るよな……」
 
「う~ん、借りるのも作るのもこの国の王様の許可がいるだよ……」
 
「また王様ねえ……、ここにも王族がいるのか……」
 
「ジャミル、アイシャがいないけど……」
 
アルベルトがジャミルを突く。ジャミル達が港で漁師と
話をしているちょっと……、の間に又何処かへ消えて
しまったらしい。
 
「え……?あ、まーたどこ行きやがった、あんにゃろ!……何回言っても
分かんねえなっ!」
 
「えへへ、やっほー!」
 
通りの向こうからアイシャが何やら紙袋を抱えてパタパタと走ってきた……。
 
「……どこ行ってたんだい?駄目だよ、知らない町で単独行動しちゃ……、
本当に何があるか判らないからね……」
 
「ごめんなさい……、でも、大きな町ってつい嬉しくて!ふふ!」
 
「う~ん、まあ、いいか、今度から気を付けてね……」
 
「はあ~いっ!」
 
アイシャの笑顔に釣られ、つい、アルベルトも許してしまうのである。
 
「アルって先生みたいだねえ~」
 
「……面白くねえ……」
 
ピラミッドの時に続き、又もジャミルが後ろで口を尖らせる。
 
「で……、何してたの?」
 
「水着買ってきたの~、えへへ!海水浴の準備!」
 
「はあ?」
 
「かわいいでしょ~、ワンピースだよ、あと、ビーチボールとね、
それから、念の為の浮き輪も!」
 
アイシャがご機嫌で先程買ったばかりの水着を皆に見せる。
 
「うん、確かに可愛いけど……」
 
「気が早ええな~、ったく……、あ、オメー、アッサラームの時は
キーキー言ってたじゃねえか!」
 
「ぶー!あれはえっちだもん!あんなの水着じゃないわっ!
セクハラ下着よっ!」
 
「ねえ~、早く船貸してもらおうよお~!」
 
「そうだね、……さ、さあ、皆、お城へ行こう!」
 
「!?」
 
アルベルトは先頭を切り、再び歩き出す。やはり何処か様子がおかしかった……。
 
 
ポルトガ城
 
 
「話は聞いているぞ、そなたらが勇者達か、遠い処をよくぞ参った、
……私はポルトガ国王ナイトハルトだ……」
 
黒い鎧を纏いし金髪ロングヘアーの若きイケメン国王。ナイトハルトである。
 
(……こいつ絶対裏がある……、黒ゴキゴキちゃん……、うわわわっ!?)
 
ジャミルをぐいぐい押しのけアルベルトが前に出る。
 
「殿下、……ナイトハルト様、お久しぶりでございます……、
アルベルトです……」
 
「おお、アルベルトか!久しぶりだな、ルドルフもマリアも……、
ディアナにも変わりはないか?」
 
「はい、父上も母上も……、姉も変わらず皆元気でございます……」
 
ジャミルは頬を膨らませる。どうやら。アルベルトの家系はこの
ポルトガの国王と顔なじみで非常に大事な知り合いの関係らしい。
アルベルトはナイトハルトに謁見するのを心待ちにしており、先程、
町で異様にモジモジしていたのはこの所為であった。
 
「そっか、アルと国王様って……、家族ぐるみでお知り合いだったのね……」
 
「はえ~、アルってやっぱり凄いお家の出身だったんだあ~!」
 
「うん、黙っててごめんね、何だか照れくさくて……」
 
「……でしゃばってんじゃねえよ、このシスコ……、あいたっ!」
 
「駄目っ!」
 
アイシャがジャミルの手を抓る。……ジャミルはますます面白くなさそうな
ツラをした。
 
「必要ならば私の船を譲ってやってもよいが……」
 
「殿下、……本当ですか!?」
 
「但し、お前達に一つ、頼み事があるのだが……」
 
(……そうらきた……、お使いきたよ~……)
 
「東の大陸にある黒胡椒と言う調味料を使った絶品料理を是非とも、
味わってみたいのだよ、手配を宜しく頼みたいのだ……」
 
「分りました、殿下のご命令とあれば、このアルベルト、何でも致します……」
 
アルベルトが国王に向かって恭しく頭を下げた。
 
「……主人公は俺なんだけど……、ちぇっ……!」
 
「東の大陸を渡るにはアッサラーム東の洞窟を抜けなければならんのだ、
だが、其処にはホビットがいて、普通の者は通してくれないであろう、
しかし、私とそのホビットは知り合いで旧知の仲なのだ……」
 
「ふんふん」
 
「これを持っていけ……」
 
「なんだ、これ?」
 
「私の紹介状だ、これを洞窟にいるホビットのノルドに渡してくれ、
通して貰える筈だ……」
 
ジャミルはナイトハルトから受け取った紹介状に目を通す。……そして。
 
 
※ ええー、わたすのしりあいガアー、がーがーがー、いまからそちらえ
まいるのでぇ~、  とおしてやてくれォ、おなまえ、でんか、ないとはると、
ぺ、イクゾー
 
 
「……ふ、ふぁーっふぁっふぁっ……!!……ふぁーーっ!!」
 
笑いを堪え切れず、大爆笑するのであった……。
 
「どうかしたのかね?」
 
「ん~っ!ん~!」
 
「ああ、黒胡椒はバハラタと言う町にあるらしいぞ……」
 
「はい、分りました、殿下、それでは失礼致します!」
 
アルベルトはジャミルを抱えて口を塞いだまま、一目散に慌てて
城を飛び出した。
 
「……ぷっは~っ!あー……、苦しかった……、畜生!アル、いきなり
何すんだテメー!」
 
「失礼じゃないか!ナイトハルト様に向かって……!!」
 
「だって、あいつ見た目と手紙のギャップが凄すぎんだもん!
普通、笑うだろ!」
 
「……うるさい!黙ってろ!馬鹿ジャミルっ!!」