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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 ムオル~番外編

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ダーマを離れて数日が過ぎた日の事。アイシャが甲板で座り込んで
何やら黙々と作業をしているジャミルに声を掛けた。
 
「ジャミル、何してるの?」
 
「ん~?魚でも釣ろうかなと思ってさ、準備してんだよ、ほれ!」
 
ジャミルはそう言い、餌を仕掛けた竿をアイシャに見せた。
 
「わあ、おさかな?釣るの?」
 
「宿屋にばっか泊まる訳にいかねーかんな、……飯代もちったあ
節約しねーと」
 
「えらいっ!君の口からそんな言葉が出るとは……、見直したよ……」
 
感極まってアルベルトが感激して感心する。
 
「……褒めてんのか馬鹿にしてんのか……」
 
複雑そうな表情をし、竿を海に投げ込むジャミル。
 
「あ、ジャミル!引いてるよ!」
 
いつの間にかダウドも側に寄って来ていた。
 
「どれどれ?よっと!」
 
急いで竿を引いてみるが敵は物凄い力である。
 
「……グッ……、ぐぐぐぐぐ……、ふんぐっ!」
 
力を入れようとすると、おならが出そうになり困るジャミル。
 
「ジャミルー!頑張ってー!!ファイトよー!」
 
「きっと大物だよおー!」
 
「……おーい、見てねえでさあ、てめえらも手伝……、え?
あわわわわわ!」
 
敵のあまりの手強さにジャミルが竿ごと海に引きずり込まれそうになる。
 
「……キャー大変っ!」
 
アイシャ達が慌ててようやくジャミルに加担し、4人でやっとこさ
獲物を釣り上げるが……。
 
 
「……オーマイガットおおおおーー!!」
 
 
何と。ジャミルがうっかり釣ってしまったのは巨大な大王イカであった……。
 
「うぎゃー!変なジャミルが変なの釣ったよおーー!」
 
「ダウド、お願い、落ち着いてったら!」
 
パニくって甲板を走り回り、海に落ちそうな勢いのダウドを
アイシャが止めようとするが……。
 
「ジャミル!早く釣竿を放すんだ!じゃないと海に引きずり込まれるぞ!」
 
竿を海に捨てて急いで逃走する。……船は勝手にスピードを上げ
自動でどんどん走る。が。
 
ドゴッ!!
 
怒り狂った大王イカが船を追掛け船体に体当たりしてきた。
 
「……うわっ!?」
 
船は振動で大きく揺れ、バランスを崩した4人は甲板に転がってしまう。
 
「いっ、……畜生ーー!」
 
「……ジャミルぅ~、どうしよ~……、このままじゃ船が
壊されちゃうよお~……!」
 
今までと桁が違う、海上での初めての強大な敵にメソメソ
半泣きになるダウド。
 
「壊される前にシメるんだよっ!泣いてる場合じゃねえぞ!」
 
「殿下からお借りした大事な船を……、壊させてたまるか!」
 
「行くわよーーっ!」
 
脅えるダウドに喝を入れ、ジャミルが鉄の斧を構える。
アルベルトも戦闘態勢をとりアイシャも呪文の詠唱を始めた。
 
「……が、頑張って、皆……、オイラ此処で祈ってます……」
 
ダウドはさっさとマストの柱の陰に隠れた。
 
「……ダウド、オメー今日は夕飯抜きだかんな……」
 
「え~!?そんなあ……、ひどいよお、ジャミルぅ~!!」
 
「食らえーっ!」
 
アルベルトが大王イカ目掛けモーニングスターをぶんぶん振り回す。
結果、見事に大王イカの脳天へとぶち当たる。
 
「……プ~ッ!アルベルトさん、よーくお似合いで……、
鉄球魔人みたい……」
 
(ジャミルめ……、あとで覚えてろ……)
 
「きゃっ!?……あ、あはあーんっ!!」
 
大王イカの触手がアイシャの体を捕えきつく拘束する。
 
「大丈夫か!アイシャ!」
 
ジャミルがすかさず鉄の斧で大王イカの触手を切り裂く。
 
「もーいやー!生臭いしぬるぬるしてるー!」
 
大王イカは再びアイシャを捕えようと残った触手をアイシャへと向ける。
 
「……えっち!いい加減にしてよ!もうーーっ!」
 
アイシャのメラミが残りの触手を焼き尽くす。触手が無くなって
しまった大王イカは慌てて海へと逃げ帰った。今日の処はバトルは
終了したが、海上バトルも段々と難易度が増して来た模様。
 
「ふう、先へ進めば進むほど、やっぱり敵も強くなるね……」
 
モーニングスターを磨きながらアルベルトが一言言葉を洩らした。
 
「ううう……、この先もあんなのがごろごろいるのかなあ……」
 
「なんだ?マストの陰に隠れてたダウド君」
 
「あう、ごめんてばぁ~!次からちゃんと戦うからさあ~!」
 
「……何度でも言ってやる!マストの陰で震えてしっこ漏らしてた
ダウド君!!」
 
「ひ、ひど~い!オイラ漏らしてなんかないよお~!!」
 
ジャミルはダウドが一人で隠れていた事をよっぽど根に
持っている様だった。
 
「もうそのくらいで許してやりなよ、君も大人げないぞ……」
 
「そうだよ~!もういいじゃないの!次から頑張るって
言ってるんだから!」
 
「ふーんっ!そう言って何回騙された事か!」
 
アルベルトとアイシャはダウドをフォローし庇うが、バカ殿は
機嫌が悪い。……この先も奴はヘタレるのが分かっていたからである。
しかし、ヘタレではなくなったらそれはもうダウドではないだろう。
 
「ハア……」
 
アイシャとアルベルトが揃って大きなため息をつく。……いつもの
光景だが。尚、ダウド君、しっかり夕飯もケロッと頂いて問題なく
平らげた模様。
 
そして、その夜……。
 
大王イカとのバトルで疲れ切ったジャミルは船室で爆睡していた。
疲れ切って眠るジャミルの頭の中に……、不思議な声が聞こえてきた……。
 
 
ジャミル……、私の声が……、聴こえますか……?
 
 
……誰だよ……、俺を呼ぶのは……
 
 
あなたはようやく来たる時への最初の一歩を踏み出したのですね……
 
 
!?だ、だから……、誰……?
 
 
まずは世界に散らばる6つのオーブ全て……、レッド、パープル、
イエロー、ブルー、グリーン、シルバー、これら全てを集めるのです……
 
 
6つのオーブ……?
 
 
いつか必ずあなたに会える時が来る事を信じています……、信じて前に
進みなさい……
 
 
おい、ちょっと待っ……!
 
 
ジャミルを呼ぶ不思議な夢の中の声はそれきり聞こえなくなってしまった。
 
「待ってくれってばあー!」
 
「う、ううう……、ジャミル……、あ、足……、重いよおお~」
 
……ダウドはジャミルの足に潰されていた。
 
 
翌朝……。
 
「ジャミル、どうしたの?昨夜あまり寝られなかった?」
 
アルベルトが聞いてくる。
 
「なーんか、変な夢見ちまってさ、俺に変な声が語り掛けてきたんだよ、
6つのオーブを集めろとか……」
 
「何だか不思議な夢ねえ……」
 
「それって、予知夢って言うんじゃないの?」
 
ジャミルは夢で聞いた声の主の話を皆に話す。ダウドも興奮し、話に
夢中で身を乗り出してくる。
 
「……そうなのかな……、何だか分かんねえけどよ……」
 
「とにかくもう少し色々情報を集めてみよう、本当にその、
オーブって言う物があるのかもね、はい……」
 
「だと、いいんだけどな、サンキュー、アル」
 
疲れ気味のジャミルにアルベルトがコップにミルクを淹れてくれた。