zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 エジンベア編
朝一番で早く目が覚めてしまったジャミルはする事がないので
上機嫌で甲板に出て大声で鼻歌を歌い始める。特に彼は最近、
アイシャとバカップルになった為、毎日頭が花畑状態で異様に
機嫌が良かった。最も今までとは特に何も変わらず、暇さえあれば
相変わらず彼女とは喧嘩ばかりの日々であり、その耽美、アルベルトと
ダウドは苦笑する。
「……ジャミル、こんな朝っぱらから何やってんの……?」
そこへタイミング悪くダウドが2番手で起きてきた。
「い、いや……、別に何も……、き、聞こえたか……?」
「?」
「何か、まーた変な夢見ちまってよ……」
「また例の夢?今度は何だい?」
「先に最後の鍵を探せだとさ」
「最後の鍵?」
「ああ、それなくしては先に進めませーん、……だとさ」
「最後の鍵……、ねえ……」
「全く、人の夢ん中に勝手に出てくんなっつーの!プライバシーの
侵害だわっ!けど、どっかで聞いた事ある様な……、その鍵の名称……」
それは一番最初の時、ナジミの塔の時の事である。性悪盗賊集団が
盗賊の鍵と、どんな扉でも開けてしまうらしい最後の鍵とやらを
間違って狙い、塔に侵入した過程の話はアイシャから以前に聞いて
いたのだが。しかし、ジャミルは今一、その時の話を良く思い出せないでいた。
「……と、とにかく、アル達にも言っといた方がいいよ、オイラがゆっとくね」
汗ふきふきダウドが船室に戻って行った数分後。ジャミルの夢の話を聞きに、
アイシャとアルベルトも甲板に顔を出す。
「その最後の鍵って言うのを探せばいいんだね……」
アルベルトがふんふんと頷く。
「ねえ……、ジャミル、いつもその夢の中に出てくる人って……、
女の人?」
なんとなーく、怖い顔をしてアイシャがジャミルをじっと見ている。
「えーと、はっきりとは判んねえけど、声の感じからして
多分女だな……」
「……スケベーっ!ばかあ~っ!!」
「いてーなっ!何だよっ!俺だって見たくて見た訳じゃねえやい!」
「ぶーぶーぶー!」
このようにして、いつにも増して、何かあるとすぐにアイシャが
嫉妬する回数も増えたのも事実。
「ふふ、仲がいいねえ、二人は……」
にっこりと笑うアルベルト。しかし、その顔は……。
「そ、そうかな……?って、何か……」
「うふふ♡」
……邪悪な笑みが浮かんでいる……、様にダウドには見えた。
(なんかアルってこの二人がアホな喧嘩すると異様に喜んでる様な
気がするんだけど、オイラだけかな……)
と、其処へ……、突然海から甲羅を纏ったスライム、マリンスライムの
集団が飛び上がって甲板に上がってきた。
「……うんこ」
「マリンスライムだよ……」
「ジャミルったら……、もう!」
アルベルトとアイシャが呆れる。
マリンスライムは固まって何かしようともぞもぞと動いている。
一見みると外見だけは可愛いが、こいつはスクルトで守備力を
上げてくるとんでもない敵である。これも地獄のハサミの如く、
スクルトで守備力を上げられたら最後、手に負えなくなる。
「……させねえっ!」
素早くジャミルが鉄の斧で甲羅を叩き切る。……鉄の斧の重さの扱いにも
大分慣れて来たのか。
「ジャミルう~……、助けてえええ~!潰されるうううー!」
ヘタレなダウドがマリンスライムの大群に押し潰されそうになっていた。
「どこまでトロいんだよ!オメーはっ!」
「あ~うう~……」
怒りながらもダウドに集っているマリンスライムの甲羅を次々と
叩き切ってやる。甲羅が無くなったマリンスライムは只のスライムと
化す……。
「おーい、アイシャー、ちょっと袋持ってこい」
「……どうするの?」
「お前らも手伝え、こいつを袋に詰めて……、うっし、出来たっと!」
「それで、これをどうするの?」
「ま、適当な陸を探して袋ごと捨てるのさ……」
「なんかオイラ達、ゴミ出しのおばさんみたいだね……」
……ぎゅうぎゅう袋詰めにされた哀れな姿のマリンスライム達を見つめ、
ぽつりとダウドが呟く。
「一丁上がりィ!よしっ、捨ててくるぞおーっ!」
ゴミを捨て終わったジャミル達は次の町を探し求める。幾つもの道が
枝分かれする運河を上っていくとやがて小さな村が見えてきた。
ースーの村
「オー、いらっしゃい、あなたタチよくきたヨー、おきゃくさんコンニチワ、
ここスーの村いう」
今までの村とはうって変わった感じで人々は皆インディオ族風の村だった。
「ここ、しゃべる馬いる」
「へえー、馬がしゃべんのか」
「ねえ、行ってみよ、ジャミルー!」
アイシャ達が急かす。特に馬が大好きなアイシャが一番ウズウズしている。
「でも今、馬気ィ立ってる、気をつけて……」
村の人に案内されて馬を見に行く事にした。……が。
「……これか……?」
「俺は喋る馬のエドだ!……豆って言うな!」
「やると思ったよ……、は、はは……」
「うふふ、お馬さん大好きなの~!可愛いー!」
アイシャが馬をなでなでする。馬は撫でられていいご気分のご様子。
「……いいか、手っ取り早く説明するぞ!いいか、まず渇きの壺を探せ!
エジンべアっつー城に有る、壺を見つけたらどっかの浅瀬に投げろ、
そーすっとほこらが出てくるから行け、そこに多分、お前らの探してる
モンがある、以上!」
馬はそれだけ喋るとごろりと横になって寝てしまった。
「……とにかく、まずはエジンベアとやらに行けばいいっちゅーこったな、
次の目的地は決まったな……」
「お礼ぐらい言えよ!このモンキーパンチ!」
「……ああ~っ!?」
「ジャミルうー!だめだよおー!折角情報教えてくれたんだからー!」
ダウド達が慌てて馬と喧嘩腰になりそうなジャミルを押さえた。
「うまさーん、本当にどうもありがとうー!またねー!」
アイシャが代表でお礼を言いアルベルト達が暴れるジャミルを引っ張って
連れて行く。
「……ギャースギャース!!」
渇きの壺は元々この村の宝で、ある日何者かの手によって盗まれ
それが今は何故かエジンベア城へと渡り保管されているらしかった。
「……ったく!あの馬と言い、こいつらといい、一体なんだっつーんじゃ!」
「こいつらって、……僕の事?」
「うわあ!」
アルベルトが突然ぬっとホラーアップで迫ってきた……。
「……私の事?」
「……オイラの事か~い?」
「……なんでもないですうー!めんごなさーい!」
「おい、そこのにいちゃん、しってる?」
「……何を……?」
村人が話し掛けてくるが、疲れ切った表情のジャミル。
「消え去りそうって言う草がランシールいう町にあるらしいネ、
これ体にかけるとすがたみえなくなる!すごーい!おぼえておいてネ!
……この村にも売ってる筈だケド、今は店、在庫切れヨ!
誰かが買い占めて行っちゃったんだヨ!だから、この村には今、在庫ない!」
上機嫌で甲板に出て大声で鼻歌を歌い始める。特に彼は最近、
アイシャとバカップルになった為、毎日頭が花畑状態で異様に
機嫌が良かった。最も今までとは特に何も変わらず、暇さえあれば
相変わらず彼女とは喧嘩ばかりの日々であり、その耽美、アルベルトと
ダウドは苦笑する。
「……ジャミル、こんな朝っぱらから何やってんの……?」
そこへタイミング悪くダウドが2番手で起きてきた。
「い、いや……、別に何も……、き、聞こえたか……?」
「?」
「何か、まーた変な夢見ちまってよ……」
「また例の夢?今度は何だい?」
「先に最後の鍵を探せだとさ」
「最後の鍵?」
「ああ、それなくしては先に進めませーん、……だとさ」
「最後の鍵……、ねえ……」
「全く、人の夢ん中に勝手に出てくんなっつーの!プライバシーの
侵害だわっ!けど、どっかで聞いた事ある様な……、その鍵の名称……」
それは一番最初の時、ナジミの塔の時の事である。性悪盗賊集団が
盗賊の鍵と、どんな扉でも開けてしまうらしい最後の鍵とやらを
間違って狙い、塔に侵入した過程の話はアイシャから以前に聞いて
いたのだが。しかし、ジャミルは今一、その時の話を良く思い出せないでいた。
「……と、とにかく、アル達にも言っといた方がいいよ、オイラがゆっとくね」
汗ふきふきダウドが船室に戻って行った数分後。ジャミルの夢の話を聞きに、
アイシャとアルベルトも甲板に顔を出す。
「その最後の鍵って言うのを探せばいいんだね……」
アルベルトがふんふんと頷く。
「ねえ……、ジャミル、いつもその夢の中に出てくる人って……、
女の人?」
なんとなーく、怖い顔をしてアイシャがジャミルをじっと見ている。
「えーと、はっきりとは判んねえけど、声の感じからして
多分女だな……」
「……スケベーっ!ばかあ~っ!!」
「いてーなっ!何だよっ!俺だって見たくて見た訳じゃねえやい!」
「ぶーぶーぶー!」
このようにして、いつにも増して、何かあるとすぐにアイシャが
嫉妬する回数も増えたのも事実。
「ふふ、仲がいいねえ、二人は……」
にっこりと笑うアルベルト。しかし、その顔は……。
「そ、そうかな……?って、何か……」
「うふふ♡」
……邪悪な笑みが浮かんでいる……、様にダウドには見えた。
(なんかアルってこの二人がアホな喧嘩すると異様に喜んでる様な
気がするんだけど、オイラだけかな……)
と、其処へ……、突然海から甲羅を纏ったスライム、マリンスライムの
集団が飛び上がって甲板に上がってきた。
「……うんこ」
「マリンスライムだよ……」
「ジャミルったら……、もう!」
アルベルトとアイシャが呆れる。
マリンスライムは固まって何かしようともぞもぞと動いている。
一見みると外見だけは可愛いが、こいつはスクルトで守備力を
上げてくるとんでもない敵である。これも地獄のハサミの如く、
スクルトで守備力を上げられたら最後、手に負えなくなる。
「……させねえっ!」
素早くジャミルが鉄の斧で甲羅を叩き切る。……鉄の斧の重さの扱いにも
大分慣れて来たのか。
「ジャミルう~……、助けてえええ~!潰されるうううー!」
ヘタレなダウドがマリンスライムの大群に押し潰されそうになっていた。
「どこまでトロいんだよ!オメーはっ!」
「あ~うう~……」
怒りながらもダウドに集っているマリンスライムの甲羅を次々と
叩き切ってやる。甲羅が無くなったマリンスライムは只のスライムと
化す……。
「おーい、アイシャー、ちょっと袋持ってこい」
「……どうするの?」
「お前らも手伝え、こいつを袋に詰めて……、うっし、出来たっと!」
「それで、これをどうするの?」
「ま、適当な陸を探して袋ごと捨てるのさ……」
「なんかオイラ達、ゴミ出しのおばさんみたいだね……」
……ぎゅうぎゅう袋詰めにされた哀れな姿のマリンスライム達を見つめ、
ぽつりとダウドが呟く。
「一丁上がりィ!よしっ、捨ててくるぞおーっ!」
ゴミを捨て終わったジャミル達は次の町を探し求める。幾つもの道が
枝分かれする運河を上っていくとやがて小さな村が見えてきた。
ースーの村
「オー、いらっしゃい、あなたタチよくきたヨー、おきゃくさんコンニチワ、
ここスーの村いう」
今までの村とはうって変わった感じで人々は皆インディオ族風の村だった。
「ここ、しゃべる馬いる」
「へえー、馬がしゃべんのか」
「ねえ、行ってみよ、ジャミルー!」
アイシャ達が急かす。特に馬が大好きなアイシャが一番ウズウズしている。
「でも今、馬気ィ立ってる、気をつけて……」
村の人に案内されて馬を見に行く事にした。……が。
「……これか……?」
「俺は喋る馬のエドだ!……豆って言うな!」
「やると思ったよ……、は、はは……」
「うふふ、お馬さん大好きなの~!可愛いー!」
アイシャが馬をなでなでする。馬は撫でられていいご気分のご様子。
「……いいか、手っ取り早く説明するぞ!いいか、まず渇きの壺を探せ!
エジンべアっつー城に有る、壺を見つけたらどっかの浅瀬に投げろ、
そーすっとほこらが出てくるから行け、そこに多分、お前らの探してる
モンがある、以上!」
馬はそれだけ喋るとごろりと横になって寝てしまった。
「……とにかく、まずはエジンベアとやらに行けばいいっちゅーこったな、
次の目的地は決まったな……」
「お礼ぐらい言えよ!このモンキーパンチ!」
「……ああ~っ!?」
「ジャミルうー!だめだよおー!折角情報教えてくれたんだからー!」
ダウド達が慌てて馬と喧嘩腰になりそうなジャミルを押さえた。
「うまさーん、本当にどうもありがとうー!またねー!」
アイシャが代表でお礼を言いアルベルト達が暴れるジャミルを引っ張って
連れて行く。
「……ギャースギャース!!」
渇きの壺は元々この村の宝で、ある日何者かの手によって盗まれ
それが今は何故かエジンベア城へと渡り保管されているらしかった。
「……ったく!あの馬と言い、こいつらといい、一体なんだっつーんじゃ!」
「こいつらって、……僕の事?」
「うわあ!」
アルベルトが突然ぬっとホラーアップで迫ってきた……。
「……私の事?」
「……オイラの事か~い?」
「……なんでもないですうー!めんごなさーい!」
「おい、そこのにいちゃん、しってる?」
「……何を……?」
村人が話し掛けてくるが、疲れ切った表情のジャミル。
「消え去りそうって言う草がランシールいう町にあるらしいネ、
これ体にかけるとすがたみえなくなる!すごーい!おぼえておいてネ!
……この村にも売ってる筈だケド、今は店、在庫切れヨ!
誰かが買い占めて行っちゃったんだヨ!だから、この村には今、在庫ない!」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 エジンベア編 作家名:流れ者