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和と緑のスイート

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「青葉公園は僕が行きたかった所だけれど、達哉が来たかった場所ってここ…?」
「そうだ。」

達哉が足を止めたのは、落ち着いた雰囲気の喫茶店だった。
「達哉がこういう所に来ようとするの、意外だよ。」
「そうだな。いつもはこういう場所へはあまり入らないんだが…。この前の獅子宮の中がやたら熱かったから、今は瑞々しい物が食べたいんだ。」
「そうなんだ。」
淳はそう言って店の外に出ているメニューの食品サンプルに目を向ける。
コーヒーゼリーやプリンアラモード、ほうじ茶パフェやメロンソーダ等が並んでいる。

入って、席について、それぞれ抹茶ゼリーの入ったパフェと新茶のドリンク、ソフトクリームの乗ったコーヒーゼリーと緑茶を注文した。

「おしゃれなカフェだと、女性客が多そうだからな。淳はここで大丈夫だったか…?」
淳は、うん、と頷く。
「僕も騒々しい所は苦手だから、こういう落ち着いた雰囲気の所は好きだな。」

そして、デザートが来たので食べ始める。
ゼリーの瑞々しさが、身体を染み渡るように潤していく。
店員に勧められてなんとなく流れで注文した新茶は、お茶の良い香りがした。

「美味しいね。」
「そうだな。」

そして、雑談をしながら時間を過ごした。
「…達哉、達哉のシャドウと戦う時、皆が魔法攻撃している中達哉だけひたすらギガンフィストばかり放ってたよね。ちょっと笑ったよ。」
「わ、笑わないでくれ…。アポロの姿をしているし、炎攻撃は効かないと思ったんだ。」


「水晶髑髏も、あと二つだね…。」
「そうだな。」

そのような話をして、店を出る。
夕方で、空の色が少し変わってきていた。

シャドウ達哉を倒し、シャドウギンコを倒し、あとは永吉のシャドウが、残りの神殿のどちらかにいる。もう一つの神殿には、誰がいるのだろう…
というよりも、どんどん世界がおかしくなっていって、これは敵を倒して、どうにかなるんだろうか…?

「達哉。」
淳がこちらに歩み寄ってくる。

「…何か、心配しているのかもしれないけれど、大丈夫だよ。」
軽く抱擁された。一人より二人になることで伝わる体温。軽減される不安感。上がる安心感。
慈しみの温度は、温かい。

「ありがとう、淳。」
「うん。」

「…僕達は、きっと大丈夫だよ。」
作品名:和と緑のスイート 作家名:きまま