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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 短編番外編

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番外編1

……何処かの地に有るすごろく場。今日も元気な罵声が場に
響き渡る……。
 
 
「……はあ、ジャミル戻って来ないね……」
 
「ホント、お昼も食べないで……、大丈夫なのかしら……」
 
「みんな食べちゃおうよお!」
 
ピクニックシートを広げて呑気に昼食を取りながら、ジャミルを待つ、
アルベルト、アイシャ、ダウドの3人。
 
 
「……ちーきーしょーおおー!!」
 
 
「残念でしたねえ……、毎度どうも……」
 
「……あの声、また駄目だったみたいだね……」
 
「……ジャミルったら……」
 
「アル……、何とかしないと先に進めないよ……」
 
ダウドが困った顔でアルベルトを見た。
 
「う~ん……」
 
そこへ頭タンコブだらけのジャミルがぬっと現れた。
 
「あ、ジャミルお帰りなさい……」
 
「また凄いね……、どうしたの、その頭……」
 
「アル、べホイミ!」
 
「それはいいけどさ……」
 
アルベルトがしぶしぶジャミルの頭に回復魔法を掛けた。
つまんない事でMPを使いたくないんである。
 
「あー、思い出しても腹立つ!ゴール寸前で落とし穴だ!落とし穴!」
 
「で、今日はもうやめるんでしょ?」
 
「もう一回行ってくる!すごろく券よこせダウド!」
 
「……」
 
「……」
 
アイテム管理はダウドの担当である。
 
「……ハア……」
 
すごろく券を握りしめてジャミルがドタドタ走って行く。
 
「……今日……、何回目のもう一回行ってくる!……だっけ?アル……」
 
「10回目……」
 
「……」
 
 
「えーっと、ダイスの目は6と、6マス……何!?6マス進んで
6戻れだと……!?これじゃ只のアホ……うわわわわ!」
 
6マス進んで6マス戻るジャミル。こんな調子なので一向にゴールへと
たどり着けない。
 
「おっと、宝箱だ!中身はと、ひのきの棒……なめるなあーっ!!」
 
ジャミルの声は相当大きい為、すごろく場全体に声が響き渡り遊びに
来ている人達は皆くすくす笑っている。……アルベルト達他のメンバーは
顔が真っ赤になる……。
 
と、其処へジャミルが再び皆の前に姿を現した。
 
「……また駄目だったんだね……」
 
「もういい加減にした方がいいよお!!」
 
「少し休まないと疲れちゃうわよ……?」
 
「…こんなに頑張ってんのに……、何で駄目なんだよ……、俺……、
俺……、うう……」
 
「ちょ!?ジャミル……?」
 
「どうしたのさ……、いきなり泣き出して……」
 
「!?……待って!何か様子が変だわ!」
 
ジャミルの状態の変化にアイシャがいち早く反応する。
 
「……あの兄さん……、今日はもうお終いかな……、うん……?」
 
「おじさあーーん!」
 
アイシャがジャミルをズルズル引っ張り、受付のおっさんの所まで
連れて行く。
 
「何するんだー、アイシャー!やめろー、はなせー!いたいー!うう……」
 
「どうかしたのかい……?」
 
「はい、この人様子がおかしいんです……」
 
「うう~……」
 
「……これは……、性格変えられたな……」
 
「ええーっ!?」
 
「なきむし……、になってるよ……、元の性格はどんなんだったの……」
 
「おちょうしもの……です」
 
「どうりで……すごろく場ではまれに有るハプニングイベントの
一つだよ……」
 
「そんな……」
 
 
……
 
 
「ううー……」
 
「アルうー!、何とかしてよー!私、こんなジャミル
見てられないわ!!」
 
「気持ち悪……」
 
「うーん……、全くこの馬鹿は毎回毎回……、たく、もう……」
 
……グロ光景にアルベルトも頭を抱える……。
 
「……どうせ俺はバカだよ……、ぐすっ……」
 
「…あっ、でも大丈夫だよ!」
 
アルベルトが思い出した様にポンと手を打った。
 
「えっ……?」
 
「ほら、旅の途中で彼方此方で手に入れた、読むと性格が変わるらしき
本があった筈!」
 
「あ、なーるほどね!」
 
ダウドもうんうんと頷く。別に性格も変える必要もないので、唯の
コレアイテムとして使い道もなく、そのままになっていた。しかし、
こんな処で必要になるとは夢にも思わなかった。
 
「じゃあ……、おちょうしものになる本を読ませれば……」
 
「元に戻るって事だよ!」
 
「……俺わあ……、読書なんか……、ぐす……、嫌いだあー……、
ううう……」
 
「つべこべ言わないのっ!!」
 
「怖いよ~……、鬼ババだあー……、ううううー……」
 
 
「……しゃき~ん……、うふふふっ!」
 
 
「アイシャ落ち着いてっ!ダウド早く!本!本!」
 
アイシャを取り押さえながらアルベルトが喚く。
ダウドが慌てて道具袋から本を探してみるが……。
 
「……うわー!ぐちゃぐちゃで分んないよおー!!」
 
「きちんと整理しておかないからでしょ……!!」
 
「だって……、食べかけのお菓子とか……、の、呪いの藁人形……
???とか、訳わかんない物まで入ってるし……、泣きたいのは
こっちだよお……、あ、一冊あった!」
 
「あった!?」
 
「うん、はい……」
 
ダウドがアルベルトに本を手渡す。
 
「ホラ、読むのっ!」
 
「……うう~……」
 
「どう……?」
 
「アイシャ、ちょっと尻触らせろ……、小せえケツだなあ……」
 
「!きゃーっ!何すんのよーっ!!」
 
「む、むっつりスケベ……?」
 
「……違うじゃないか!バカっ!」
 
「だってえー……、本にタイトルが書いてないんだよおおーっ!」
 
「ジャミルのバカーーっ!!」
 
アイシャにボカスカ殴られ、ジャミル、その場に倒れる……。
 
「次貸して、次!!」
 
「はい……」
 
「今度こそ……」
 
「アイシャ……、今夜、星の見える丘で二人だけでデートしよう……」
 
「ロマンチスト……」
 
「う、うげえええ……、吐き気が……、うわ、くっさ~!!」
 
「きゃー!こんなジャミルいやーっ!!」
 
ジャミル、再びアイシャに殴られる……。
 
「う……、つ、次……!!」
 
「てめっ!!ダウドこの野郎!!殴らせろーっ!!」
 
今度はまるで、ジャ……いあーんである。
 
「……らんぼうもの……」
 
「イタタタタ!これはあんまり元のと変わってないよおーっ!」
 
「でもいやーっ!!」
 
「次……」
 
「俺の名は江戸川……」
 
「きれもの……」
 
「いやーーーっ!!」
 
「……次ーーーっ!!」
 
「な、なにをするー!きさまらーっ!」
 
「!?」
 
 
…夕方になりすごろく場に来ていた人達は皆引き上げていき、
残ったのはジャミル達だけになった……。
 
「……疲れた……」
 
「もういやだよお……」
 
「……ジャミルのバカ……」
 
「皆……、大丈夫かい……?」
 
気を遣って受付のおっさんがアルベルト達に健康茶を差し出す。
 
「あ、有難うございます……」
 
「早く元に戻るといいな……」
 
「……」
 
当の本人はいっぴきおおかみになってしまったらしく皆から離れ
一人で蹲ってしまった。