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zoku勇者 ドラクエⅢ編 完全版 悪徳商人の町編

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……商人、心変わりする

それから数か月後を経て、ジャミル達は再度スー地方へ赴く。
 
 
ドリームバーグ
 
 
「あ、もう街出来てる!」
 
「いやに早ええな……」
 
「早く行ってみよ、ジャミル!」
 
「ああ!」
 
アイシャ達が急かす。皆、楽しみで仕方がない
模様。特にアイシャは街の名付親になった為、
とてもワクワクしている。4人と1匹は街の
入り口までダッシュ。……しかし、そんな4人を
又、とんでもない事態と現実が待ち受けていた……。
 
 
「……止まれええええっ!」
 
「え……?」
 
走っていた4人は足を止める。街の入り口に厳つい
警備兵二人が仁王立ちしていた。
 
「何だお前達は!この街に入る許可証と金は
持っているのか!?」
 
「……別にんなモン持ってねえけど……、
なんなんだよお前ら……」
 
突然の事態にアルベルト達も言葉が出ない。
スラリンは怯えてアイシャに抱かれたまま
しっかりしがみ付いている。
 
「どうかしたのかね?」
 
「あ、珍様……」
 
突如、聞き覚えのある声が聞こえてくる……。
4人の前に現れたのは……。
 
「あんた……、珍さん……?」
 
ジャミルが指差した男は間違いなく珍だった。
しかし、姿は数か月前と明らかに変わっていたのである。
 
「お久しぶりですね、ジャミルさん……と、言っても
ほんの数か月の間だけでしたがね」
 
珍の格好はミンクのコートを纏い、指には
ダイヤモンド、首にはエメラルドのネックレスを
身に着けていた。
 
「……どうしたのさ……、葉巻なんか吸っちゃって……」
 
一体この数か月で珍の身に一体何起きたと言うのか。
ダウドの顔も青ざめていた……。もう頭には商人の
トレードマークであったターバンは着けておらず。
その代り金銀の宝石を鏤めた豪華な王冠を被っている。
 
「お前達、下がりなさい、無礼が過ぎるぞ、この客は
私の友人だ、少し話がある、休んでいたまえ」
 
そう言って警備兵達にチップを渡す。警備兵達は珍に
頭を下げると、チップを受け取り、喜び勇んで一旦、
門前から引きあげた。
 
「……どういう……、事ですか……?」
 
アルベルトの顔も険しくなる……。
 
「ジャミルさん、私は知ってしまったのですよ……、
金の味を……」
 
「……何だと……?」
 
「私はこの街の長になったのです……」
 
「何だって!?」
 
「どうして!?この街の発案者はスーの村の
おじいさんじゃないの!?」
 
アイシャも思わず叫ぶ。本当に何が起きたのか4人は
考えたくもなかった。
 
「事実上、この街を建てたのは私なんですよ?私は
いつかの未来、将来の自分の為に貯めておいた資金を
全てこの街の為に捧げたのです」
 
「その、通り……」
 
「じいさんっ!?」
 
今まで何処にいたのかよろよろとじいさんが
出て来た……。
 
「幾ら街立てたい、思っても理想だけ、どうにもならない、
……金いる……、でも、……珍叶えてくれた……、
わしの大きな夢……、自分の大事な資金、すべて使って
くれた……、手伝ってくれた、この街建ててくれた……」
 
「色んな人が噂を聞きつけて早速この街へ移住して
来たんですよ、夢と希望を求めて……、何せこの街は
夢のある街、……ドリームバーグですからね……」
 
「……」
 
珍はアイシャの方を見て淡々と言葉を述べる。
……アイシャは硬くぎゅっと唇を噛むしかなかった……。
 
「アイシャ……」
 
そんなアイシャの様子を見て、ジャミルは心配になる……。
 
「……でも、珍……、お前変わった……、街の民、
奴隷の様に扱き遣う……、ひどい……」
 
……老人が淋しそうに呟いた。
 
「私は何も変わっておりませんよ?地位と金と言う
絶大な宝を手に入れただけですがね、ふん、ねえ、
みなさん……?」
 
嫌らしそうな顔つきで珍がジャミル達を見た。
 
「……このおじさん……、本当にあの時のおじさん
なのかなあ……、違い過ぎるよお……」
 
「まあ、大金掴んで心変わりするとか、よく有る
パターンじゃねーの?」
 
腕組みをしてジャミルも珍を睨み返した。
 
「此処へいらっしゃった方たちからまず税金を
取りました、街が発展していく為には皆様のご協力が
どうしても必要ですから、それから、毎日長時間労働で
働いて貰っております」
 
「……」
 
「今思えばそれがすべての始まりだったかも
知れませんね、皆様から頂く金額を大量に
増やしていったんですよ、そしたらば、
私はあれよあれよという間にお金持ちになって
いたんですねー!!」
 
「……珍、お前!!」
 
流石にジャミルも大声を上げていた。
 
「別荘に酒場に、ホテルも建てられましたしもう
止められないですねー!!」
 
「ひどいわ!!無茶苦茶よ!」
 
アイシャが泣きそうになる。
 
「この街に住む限り皆さんは私の下部です、死ぬまで
働いて貰わないと!……近々税金の金額も上げる予定です」
 
そう言って持っていた扇子を懐から取り出し
パタパタ仰ぐ珍。街の中を見ると重い石を担いだ
男性がのろのろと歩いていくのが見えた。
 
「な、なんでみんな逃げないのかなあ……、
あわわ……」
 
まるで一昔、何処かの国であった様な、悲惨な現場を
見てしまい、ダウドがオロオロする。
 
「教えて差上げましょうか?この街の住人になった以上
逃げる事は許しません!もし脱走しようものならば
思い罰を与えます、場合によっては死刑です!」
 
「あなたはもう僕達の知っている珍さんじゃない!!」
 
アルベルトも思わず叫んでいた。
 
「人間は所詮金なんですよ、金には勝てません、
もしあなた達だって私と同じ立場なら必ずそうなりますよ」
 
「あーん、珍サマあ~♡」
 
「おこずかいちょうだーい!」
 
美女が二人珍に纏わりついてきた。
 
「よしよし、欲しい物はあるかな?何でも買ってやるよ」
 
「……チッ!!」
 
嫌な物から目を剃らす様にジャミルが舌打ちする。
 
「さあー、みなさんお疲れでしょう、親切な私が素敵な
ホテルをご用意しましたよー!お金にはご縁のない皆様に
最高のお幸せをご提供致します、贅沢の素晴らしさを
あなた達も是非味わって下さい!」
 
「こんなとこ誰が泊まるか!おい皆帰るぞ!!」
 
しかし次の瞬間ジャミル達は厳つい男達に身体を
抑え付けらえた挙句、がっちりと腕を掴まれていた。
 
「放せっ!何すんだっ!」
 
「きゃーえっちー!ちょっとどこさわってんのよー!!」
 
「珍さーん!!」
 
「オイラたち……、大ピンチ……、うう……」
 
「ピキキー?」

ジャミル達は何も抵抗出来ないまま街の中にある
豪華なホテルへとポイされた。顧客の金持ち専用の
高級ホテルで一般人などは見当たらずジャミル達以外には
姿が見えない。
 
「オイラたち……、これからどうすればいいのかなあ……」
 
「ピキー?」
 
「部屋の中にいても落ち着かないし……、どうしようか……」
 
「……」
 
「逃げようにもなあ、警備兵がうぜーし、まあ、
ぶっ飛ばせばいいんだろうけど……、それなら